2012年 春の中国鉄路の旅 Part3 鄭州世紀歓楽園の満鉄展望車トク2形

第3日目 4月21日

今日は朝5時半に起きて、鄭州駅で4月25日に乗車する瀋陽から平庄までの切符を買いに参りました。上海で買うのを忘れたからで、残席が十分ある列車ですので、昨日鄭州到着後で良いなあと思っていましたら、降りたメインの東口では何と前日の切符しか売っていません。
鄭州鉄道日記さんによると、裏の西口では10日前からの切符を売っているとのことですが、通り抜けの通路がありません。大きく迂回していかなければならないとの言われましたので、夜道は危ないと昨夜は断念して今日の朝にしたわけです。

▲ 駅前のホテルから歩くこと約30分余りで西口に到着しましたが、開いている窓口は1つだけです。そして早朝にも関わらず、約50人以上が並んでいます。丁度、労働節休暇(4月29日~5月1日)の3連休があって、小旅行に出かける人民達が多くなっているためだそうです。

途中で別の1つの窓口も開きましたので、ダッシュで前に並んで20分後には購入できましたが、軟臥下鋪2枚と書いた紙を渡しているのに、上下です。おまけにコンパートメントの部屋が別々です。これはダメだと申し立てるのですが、窓口のおばさんは頑として聞き入れず、途中からは次の客の発券をやりだし、完全無視です。困ったおばさんです。
諦めてホテルにトボトボと戻り、まだ終わっていない前回の旅日記の投稿作業をやりだしましたら、瞬く間に時間が過ぎていきました。

昼過ぎに今日は、次の講義の準備に追われているので同行できないと言っていた鄭州鉄道日記さんに電話しますと、「ぶんしゅうさん、明日朝の列車に乗るのを忘れていませんか、鄭州世紀歓楽園へは今日行かないといけませんよ。」と、注意を受けました。投稿作業に夢中になっていて、もう1日鄭州でゆっくりできると勘違いしていました。だいぶボケてきたようです。

慌てて準備をして、フロントで場所を聞いてから、Taxiで向かいました。
▲ ホテルから約8キロ余りで 、鄭州世紀歓楽園に着きました。求める満鉄客車の展示写真しか見ていなかったので、街角にある小さな公園かと思っておりましたら、数々のアトラクションが設置された広大な遊園地でした。

入場門正面には、中国初の電気機関車韶山1型が展示されていました。後ろの客車は、入場券売り場になっています。120元(約1,500円)です。年金生活者にとっては多大な出費です。しかしよく見ますと、「三」に60歳以上の老人は無料と書いてあるではありませんか。パスポートを出して窓口に提示すると、何やら相談してから、「入場改札で、再度パスポートを提示ください。無料です。」との快答をいただきました。以前に同じようなケースがありましたが、外国人は別ですと断られていましたのでラッキーです。早速、遊園地内に入りました。



▲ 入って直ぐの正面には、建設型蒸気機関車がドカーンと展示してありました。


▲ 先に進みますと、鄭州に来た目的のトク2形が展示されていました。1940年(昭和15年)1月に、満鉄皇姑屯工場で製造されたGW97350GW97351です。瀋陽鉄道博物館で見たテンイネ2形とそっくりです。2両は、一緒に運用されたようで、豪華な造りです。中国解放後は、革命家孫文の奥さん宋庆齢の特別専用列車にも使われたとの表示がありました

【GW97351】

▲ 展望席は、曲面ガラスで、カーブした乗降ドアも設置されていました。テンイネ2形は3軸ボギー台車でしたが、この車両は住友製の2軸台車です。


▲ 車内に入りますと、会議室仕様になっていました。厨房もありますので、食事もしたのでしょうね。
続いての部屋は、幅1.5mほどのダブルベットになっています。この部屋には扉を開けるとバスタブとトイレが付いた浴室兼洗面所がありました。


▲ ①も大きめのベットが1台設置されています。②は、約70㎝幅の2段ベッツが、③では、②と同じ幅の2段ベットの設置です。④は厨房で、本格的な石炭炊きのレンジ設置されています。これなら、高熱を必要とする中華料理も大丈夫です。

【GW97350】


▲ もう1両の客車には、展望室の設置はありませんが、同じように会議室があります。③隣の部屋は、約70㎝幅の2段ベットと、閉めれば机、開ければ洗面台があります。室内は、あじあ号の客車とは違って、2両とも非冷房で扇風機が設置されていました。

▲ ①は、GW97351とは違って会議室とは離れていました。トイレの設置はなく、バスタブの形も違っています。秘書室との表示がありました。ベットは約1m幅です。②の室内は、③より見た目広く、ベット幅も広く感じました。洗面台は同じ仕様です。

▲ 真ん中は、乗務員室で、狭いながらも2段ベットが設置されています。厨房も GW97351 と同様の設備でした。


▲ 台車は、2両とも同じ住友製の台車です。


▲ 遊園地内には、ぐるりと一回りの762㎜の鉄路が敷設されています。走るのは、C2型蒸気機関車を改造して、ウエスタン調になっています。客車は、片デッキで板張り椅子でした。



▲ 1970年代に開発された液体式ディーゼル機関車。


▲ 客車は、現在も使用されているY22形の緑皮車。下は、60トン起重機が付いた救援車。

14時半に着いて、閉園の5時半まで約3時間を堪能しました。展示されている車両は他にも客車数両がありましたが、ここでの紹介は長くなりますので、止めておきます。土曜日とあって 恋人たちや家族連れでの入場者は多ったのですが、園内は広大で、ゆっくりと楽しめました 。

▲  帰りはバスにしようと思いましたが、中々来ません。Taxiも通りません。出口道路で「火車站、 火車站 」と大きな声で客を呼び込むおばさんの方向を見ると、遊園地内で走っているような、オープンデッキの電気自動車がありました。しかし、これで一般道路を走る事ははないだろう、どこか近くまでいくのかな?と思っていると、スイスイと発車していきます。えぇ~と思い、次のバスの運転手に、本当に鄭州駅に行くのかと聞いてみると、そうだと言います。半信半疑で乗車しますと、約40km/h以上のスピードで、約8キロの広い道路を駆け抜け、往路のTaxiより早く、安く(5元)着きました。

日本では、こんな乗合自動車は、一般道を走る事は安全性の面からも許されないでしょうね。さすが、中国ですね。
夕食は軽くビールと麺にしました。麺は、昨夜、鄭州鉄道日記さんと食べた鍋に入れた、鄭州名物のフイ麺です。  Part4  へ続く

 

2012年 春の中国鉄路の旅 Part3 鄭州世紀歓楽園の満鉄展望車トク2形」への1件のフィードバック

  1. 突然の情報で申し訳ありません。この展望車、どうもトク2とは別の車ではないかという情報が一部で出ているようです。確かに「満州鉄道写真集」に載っているトク2の写真を見ると3軸ボギー台車をはいていますし GW 97351 とは明らかに窓割りが違います。ただ、曲面ガラスを全面に用いた展望室形状からGW 97351 が満鉄か系列の鉄道会社をルーツとする車であるのはほぼ確実なので今後の調整研究に期待ですね。一方、GW97350は住友製台車やデッキまわりの形態から考えて、このおそらく満鉄の木造客車の鋼体化改造車ではないかと推測できますが如何でしょうか。

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