夏の思い出 総決算 -1-

気がつけば9月も下旬です。ここしばらくクローバー会会員とともに、鉄道誌への寄稿・校正作業に追われ、やっと終わったのが、一昨日の午前5時でした。

この間、ずっと家に籠ったままの生活が続き、外は暑いのに、撮影にはとんと熱くならないまま夏が終わってしまいました。

掲示板では役立たずの状態が続いていましたが、これまでの埋め合わせのため、少ない材料を駆使して、夏の報告、総ざらえです。

この夏、珍しく海外旅行が相次ぎました。と言っても、台湾ですが…。

ただ台湾は、本欄でも、準特急さん、ぶんしゅうさんはじめ、デカンショさん、ブキウギさんから、その良さを刷り込まれています。別の用務が発生し、急遽、台湾行きとなりましたが、用務の間に、しっかりカメラに収めてきました。

確かに今も、日本の国鉄時代の懐かしい光景が見られる台湾鉄路ですが、そのなかでも客車急行列車は、まさに国鉄時代の東北本線・山陽本線の再来を思わせる列車で、すっかり魅せられました。今回は、客車急行列車に絞って紹介しましょう。

台湾鉄路には4種類の運賃タイプがあり、日本で言えば、特急、急行、準急、普通列車に相当する。日本のような運賃+料金の概念はない。時刻表に莒光號Chu Kuang Haoと表示されているのが、この急行列車である。すべて客車編成で、電化区間はEL、非電化区間はDL牽引となる。客車は、冷房付き、リクライニング転換クロスシートで、日本で言えば14系客車に当たる。日車・日立で製造されたが、1970年以降の増備車は台湾製もあり、総数は400両を超える。客車の形式は、数字2桁(自重)+英文(種別)+数字5桁(形式区分)の表し方、種別のうち、FPは商務車(1等車)、SPは普通車(2等車)、Kは車掌室付きとなる。製作年代によって細部は異なる。

写真は、台湾高鉄(新幹線)台中駅との乗換駅、新烏日NewWurihiに到着する莒光號655次、台湾高鉄開業に伴い、相互乗換駅として新設された。655次は、台東発高雄行きの夜行列車で、台湾一周路線のうち、10分の9を走破する台湾鉄路最長距離の列車、オール座席車なので台湾版「八甲田」「桜島・高千穂」と言ったところ。

今回は電化区間しか行けなかったので、先頭に立っていたのは電気機関車のE200型である。1976年GE社製で、ほかにも同系としてE300・E400がある。高運転台で、オレンジ部に腹掛けラインが入って、いかにも米国製らしい無骨なスタイルだ。

写真は、平渓線との分岐駅、三貂嶺Sandiaolingを通過する莒光號。付近は、まるで国鉄時代の保津峡か武田尾の趣きだ。

集集線に少し前から動態保存運転されているDT688(D51)を撮影後、乗換駅の二水Ershueiへ。ビンロウ(檳椰子)の樹がいかにも、南国へ来たことを感じさせてくれる。1両目の青色車は、行李車(荷物車)の45WBK80009、2両目も同型車の45WBK80001である。このように1~2両の荷物車の連結が常で、これも国鉄時代である。時刻表には記載がないが、一日数本の荷物専用列車も走っている。

莒光號を駅撮りではなく、駅間で撮りたくなった。台北から2時間程度で行けるお立ち台として、宜蘭線の大里Dali を選んだ。駅から10分も歩けば、太平洋の大海原が見える。沖にはカメの姿に似た亀山島が見える。ポジションも並行する道路から簡単に収まる。おまけに、東部幹線の一部だけあって列車本数も多い。まさに、新幹線開業前の山陽本線須磨下車徒歩10分の気分だった。

夏の思い出 総決算 -1-」への3件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
    海外嫌いの総本家さんから日本国鉄ムードの残る台湾鉄路連続訪問、特に今回は急行旅客列車を中心にレポートされました。私も本年4月に訪台した折、台湾の須磨浦海岸大里で2度目の撮影をしております。複々線になった現在の須磨と異なり大里は複線で海が近いため、大里の方が絵になり易い感じがしました。しかし、私は2回とも曇天雨天でさっぱりでした。また、台湾の武田尾三貂嶺もムードのある駅でしたが生憎雨がパラつき駅横の廃虚のような建物で雨宿りをしました。この時はでかんしょさんやそのお友達がデジ青でも報告された南廻線客車列車に枋山から台東まで乗車しました。窓が開くのが懐かしく気分爽快でした。私も今後台湾の「八甲田」や「桜島・高千穂」をじっくり撮りたいと思っております。

  2.  台湾の客車急行には、今夏何度かお世話になりました。ついつい乗車することに執着してしまうのですが、次回行く時は駅間でぜひ撮影してみたいと思います。また台湾の優等車両はシートピッチがゆったりとして快適でもあります。リクライニングも十分で、スロ54など国鉄時代のグリーン車と比べても遜色がないように感じました。客車急行やディーゼル特急は時に12両の長編成となり、これも優等列車らしく魅力を感じます。私もまた時間を作って訪問したいと考えております。

  3. 準特急様
    大里も行かれましたか。須磨は新幹線開業前から複々線ですから、大里は、光-下松間か、富海-戸田間でしょうか。いずれにしろ、複線区間の長大編成は、王者たる鉄道の存在を感じさせて、大好きです。

    ブギウギ様
    コメント、ありがとうございます。そうですね、シートピッチだけ見ますと、日本より広いようにも見えました。末期の日本の客車急行のように、手入れが悪く、床にゴミが散乱、ということもなく、清潔に整備されていました。古いものを大事に使い続ける国民性も好きになりました。

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