久留里線の旅

8月12日(水曜日)夏休みを取り、「青春18」を利用して久留里線に乗車した。東京都内の千葉県に最も近いところに住みながら久留里線は初乗車であった。他にも小湊鉄道の上総牛久~上総中野間、いすみ鉄道全線が未乗区間として残っているので近々乗車したいと思っている。

今回の目的は、久留里線の乗車のみであるため、いつもより1時間以上遅く、8時に出発。仕事で千葉市や市原市に行く時は、金町から千葉まで京成で行くが、今回は新松戸から武蔵野線、西船橋経由千葉へ。千葉駅で降りると9時32分発木更津行(155M)が湘南色に塗り替えられた113系4連+スカ色の4連で停車しており乗車予定の電車を1本遅らせて撮影。撮影後この電車に乗ったが、間に合うと思っていた木更津駅10時6分発の上総亀山行(929D)にタッチの差で接続しないことが判明し、一旦蘇我で降りて駅撮りをすることにした。京葉線の201系、205系の初期車、電留線のE257系を撮影後、横須賀線から直通のE217系15連で木更津に到着。車両基地(正式名称は幕張車両センター木更津派出所)に、旧国鉄色に塗り替えられたキハ3098が停まっており、駐輪場から撮影した。エンジンが駆動しており、次の運用に入ることは間違いなく、時刻表を確認の上、帰りに久留里駅で撮影することにした。

11時52分発上総亀山行(931D)は、キハ381002+キハ384の2連で座席ほぼ満席であった。次の駅は「祇園」。住宅街の無人駅であるが、由来は京都の「祇園」から来ており、平 影清が京を偲んで住居のあった付近を「祇園村」と呼んだと伝えられている。京都出身者としては、ストレートに「祇園」ではなく「上総祇園」にしてもらいたいところ。上総清川、東清川と棒線の無人駅に停車して、次の横田は交換駅であるが、対向列車はなくタブレットを交換して直ぐ発車。東横田、馬来田、下郡、小櫃、俵田と棒線の駅(馬来田が簡易委託の他は無人)が続き、ほどなく久留里に到着して上りの木更津行(キハ371002+キハ383)と交換。駅の手前に県立高校があり、ここの通学客が久留里線最大のお得意様である。この先の乗客は数える程で、山間部に入り、平山、上総松丘と棒線の無人駅を過ぎ、トンネルを抜けて終点の上総亀山に到着した。降りたのは約10名で、同業者が1人、親子鉄が2人、亀山温泉に行くと思われる観光客が2人、残りが地元客で、おばさん1人が駅前から黄和田車庫行のバスに乗り継いだ。一昨年まではここから安房鴨川行の路線バスがあり、房総半島の横断が可能であったが、千葉駅~安房鴨川間の高速バス「カピーナ号」が途中からローカルバスに変身して役割を引き継いでいる。(バス停は駅前にはなく徒歩5分位のところにある)折り返しの938Dまで1時間以上あり周辺を散策して時間を潰した。

帰りは旧国鉄色のキハ3098を撮るため久留里で一旦降りたが、ここでも待ち時間が約1時間あり、久留里城を見学しようと思ったが、片道30分もかかるので周辺の散策に切り替えた。久留里止まりの937Dは、予想通りキハ3098+キハ381001であった。駅舎側の上総亀山方面行のホームに停まったので、駅長氏に上りホームから撮影してもよいか尋ねたところ「向こうのホームには行かないで」とのこと。同業者が5名程おり、一般客も携帯電話で盛んに撮影していた。そのキハ30であるが今時珍しい非冷房車であった。横田での交換はこちらが先着で、3分停車のため急ぎ下りホームから撮影したがモロ逆光であった。交換した下り列車はキハ372+キハ381であった。

木更津到着後、折り返しの941Dを駅の千葉寄りの踏切で撮影するべく時刻表を確認すると、内房線の198Mと同時発車である。加速は電車の方が良いので先に通過するだろうと思ったが、電車は8両編成のため、タッチの差でキハ30は撮影できなかった。今回の主目的は久留里線の乗り潰しであったが、千葉駅で湘南色の113系を撮影したため乗車が1本遅れてしまい、走行写真は撮影できなかった。次の「18」の時には走行を中心に撮影したいと思っている。横田~東清川間の小櫃川鉄橋あたりが狙い目と思われ、馬来田までは日東交通の路線バスが並行して走っているため利用可能である。久留里以遠の山間区間は、景色は良いが列車本数が少なく時間のロスが大きいのが難点である。

 

湘南色のマリ117編成(Tc111-2152M113-2072M112-2072Tc111-2056)千葉

 

クハ201-110他10連  蘇我/関西ではリニューアルされて新車のような顔をして走っている201系であるが、JR東日本では京葉線に10連×4本、中央線に10連×2本の60両が残るのみ。

 

クハ205-3他10連  蘇我/205系の1次車で窓が上段下降、下段上昇の2段窓が特徴

上総亀山駅で折り返し発車待ちのキハ384+キハ381002

 

上総亀山駅

 

黄和田車庫行の君津市コミニュテイーバス。道路交通法80条適用のため白ナンバー。

久留里駅

 

横田駅で交換したキハ372+キハ381

 

木更津駅を発車したキハ3098+キハ381001であるが、同時発車の電車のためキハ3098は撮れなかった。

歴 史

明治43年6月千葉県の臨時県議会決議で千葉県営久留里軽便鉄道として建設が決まり、大正元年12月28日、木更津~久留里間を762㎜で開業。大正12年9月1日、関東大震災による被害の復旧費の増大と大正11年に制定された改正鉄道敷設法の「木更津より久留里、大多喜を経て大原に至る鉄道」のルート上にあるため無償で国に譲渡され、鉄道省久留里線となった。昭和5年8月20日762㎜から1067㎜に改軌。昭和11年3月25日久留里~上総亀山間が延伸開業したが、昭和19年12月16日不要不急路線として休止され、昭和22年4月1日営業を再開した。

現 状

木更津~上総亀山間13往復、木更津~久留里間4往復、計17往復運転されている。終日ほぼ1時間間隔であるが時間帯により2時間近く空くことがあり、本数が減る久留里~上総亀山間はその傾向が強い。

首都圏では珍しくタブレット閉塞方式を採用しており、交換可能駅は横田と久留里の2ヶ所のため最高3列車しか運行ができない。以前は馬来田、小櫃、上総松丘も交換可能で、駅構内やホームにその痕跡が残っている。乗客は通勤、通学での利用が多く、特に久留里の県立高校の生徒は他に公共交通機関の通学手段がない。列車の編成は平日ラッシュ時3~4連、昼間2連で、学休期は終日2連である。但し、行楽シーズンの休日は昼間でも4連になることがある。昼間は乗客が少ないためワンマン化されても不思議でないが、全便ツーマンで運行されているのは、人員削減に反対している千葉動労との関係であろう。久留里線に限らず千葉支社管轄の各線では、3月中旬に毎年のようにストライキが行われ、間引き運転や運休が行われるが、久留里線は運休となる。

地元の人は久留里線のことを「パー線」と呼んでおり、語源は「久留里線」→「クルクルパー線」→「パー線」から来ている。速度が遅い上、本数が少なく不便であることから、このような表現になったのであろう。

車 両

幕張車両センター木更津派出所にキハ30形3両、キハ37形3両、キハ38形7両、計13両が配置されている。いずれも久留里線のみで見られる形式である。

キハ30形(62、98、100)

昭和36年~41年に非電化通勤路線向けに製作されたキハ35、36の両運転台バージョンである。キハ35(片運トイレ付)が258両、キハ36(片運トイレ無)が49両、キハ30(両運トイレ無)が106両、合計413両作られたが、JRで生き残っているのは上記3両のみである。98は旧国鉄色に塗り替えられ7月4日から運転され、残り2両も塗装変更される予定である。今時珍しい非冷房車である。

 

キハ3896/上 木更津、下 横田

キハ37形(2、1002、1003)

キハ37形は、昭和58年地方交通線用の量産先行車として新製された気動車で、1、1001が新潟鉄工、2、1002、1003が富士重工で新製され、前車が加古川線、後車が久留里線に配置された。1、2はトイレ付で1000番台はトイレ無しである。その後の増備はなく5両の新製で終わってしまった。加古川線の2両は山陰の後藤総合運転所に転属し、山陰本線、境港線で使用されたが今年1月に廃車となった。久留里線の3両は平成10年に冷房改造され引続き使用されているがトイレは閉鎖されている。

 

キハ371002/久留里

キハ38形(1~4、1001~1003)

昭和61年から62年にかけてキハ35の改造名義で台車、主要部品を流用して、トイレ付4両、トイレ無し3両の計7両が国鉄工場で作られた。

当初は高崎区に配置され八高線で使用されていたが、平成8年3月、高麗川~八王子間電化時に、非電化区間の高麗川~高崎間の車両も新系列のキハ110系に置き換えられたため、久留里線に転属してきた。冷房は改造当初から付いている。トイレは閉鎖されている。

 

キハ383/久留里

 

キハ381002/上総亀山

小櫃駅の直ぐ近くの公民館にC12287が保存されているのが見える。ちなみにC12287は昭和22年9月日本車輛製で当初後藤寺区に配置され、その後鹿児島区に転属し、昭和59年6月南延岡区で廃車となった機関車で、今回は時間の関係で見に行けなかったが、次回は是非訪れたいと思っている。久留里線の気動車化以前や貨物列車にC12が使用されていたということで保存されている。

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