はこぶら・津軽の雪飛ばし 2016年冬 Part8 弘南鉄道の空雪ラッセル、津軽鉄道ストーブ列車

函館へ向かう飛行機では風雪・視界不良のため着陸不可能、伊丹新千歳に着陸地変更するかもとの案内がありました。雲間を抜けて何とか着いた函館では幸運に恵まれて日中にササラ電車に逢え、白い道行く函館市電も撮れました。順調と思われた旅が始まっていましたが、天候が急変して思わぬ雪解けになってしまいました。

青森ではそれでも5時起きで急行「はまなす」を撮影に行かれた方々もおられましたが、すっかり撮影意欲をそがれた私はホテルで朝食をとってから合流しました。向かうは弘南鉄道大鰐線です。
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第4日目 2月20日

DSC_6239002_1▲ 9:34 宿川原~鯖石 前回の雪飛ばしツアーは、2013年3月2日に訪問しました。
その時は1面の雪の原でラッセルされた雪の小高い山に上って撮りましたが今日は雨と暖気で溶けてしまい雪解け光景にしかなりません。

現在の温度は2℃、雪が溶けた田には薄く氷が張っていました。撮影場所を決めて待つと、チャーターしたラッセルED221号機に押されてやって来ました。まるで試運転を撮っているかのようだとツアーの皆さんは正直に申されます。

今日のツアー参加者は20数名、半数は顔なじみで、レンタカーを借りて3~4名が1組になってそれぞれが自由に好きな場所で撮影します。他の撮影地から合流された方、当日参加の方は別途レンタカーをお借りです。また遠く三重や東京から一人で自家用車に乗ってこられたプロの方もおられます。皆さん何度も津軽に訪問されていて撮影場所、道も熟知しておられますので安心してハンドルを任せました。DSC_9641020▲ 9:45 石川プール前~石川 せめて雪山をバックに撮りたいと移動しました。

DSC_0408001▲ 2013年3月3日に撮った正面撮りです。この時は記録的な豪雪になって雪飛ばしを堪能できました。降ってくれればこんな豪快なシーンが撮影できたのですが・・、残念です。

DSC_9665021▲ 10:00 石川~義塾高校前 奥羽本線をオーバークロスして行きます。高架橋は老朽化のため2007年(平成19年)7月~10月、同区間を運休し改修工事が行われています。

大鰐線は約800年の歴史を誇る名湯大鰐温泉と弘前市内を結ぶために戦後の1952年(昭和27年)1月26日に弘前電気鉄道として開業しました。ローカル私鉄としては比較的遅くの開業ですが、既に国鉄奥羽本線があり、並走を避け周辺の集落を経由してリンゴ園が広がる中に建設されました。そのため、カーブや勾配の多い路線になっています。

利用客のピークは1974年度(昭和49年)の約390万人でしたが、道路整備が進むと頻繁に走るバス、ドアツードアの自家用車に客を奪われて近年の2014年(平成26年)には約48万人と、わずか全盛期の約12.3%にまで激減を続けました。
2013年(平成25年)6月の株主総会で大株主の弘前市への根回しなく、社長から「2017年3月限りで廃止する。」との突然の発表があり紛糾しました。直ぐの7月に白紙撤回とはなり、「存続戦略協議会」が結成されましたが廃止問題はくすぶり続けているのが現状です。

DSC_9677022▲ 10:17 津軽大沢~松木平 秋には赤いリンゴがたわわに実るリンゴ園の中に突入していきます。

006▲ 2012年10月13日に撮った6000系復活走行とリンゴとのコラボです。回りの光景は季節が変われば白から赤に変貌します。

DSC_9684024 DSC_6240_100▲ 10:41 弘前学院大前のラッセル車、踏切前を通り過ぎるこのアングルで撮った姿は挑戦的な鉄仮面のようで印象的でした。使用したレンズは11~16㎜広角で設定は11㎜です。この顔で豪快にラッセルしていたら良いでしょうね。

DSC_9698025▲ 松木平~津軽大沢 ラッセルの返しです。空雪ラッセルでしたが頑張って走ってくれました。今日は本来の活躍ぶりが見えませんでしたが、豪雪時には頑張って欲しいと次回の再開を望みながら見送りました。

DSC_6246004▲ 12:17 昼食タイムです。次の目的地の津軽鉄道に向かう途中でラーメン屋さんを見つけました。私が注文したのは右側のセロリ塩ラーメンですが、もう少し透き通ったスープが欲しかった。年寄りはどちらかと言うとあっさり系が好みです。

雨が降る天候に変わっていきました。これでは最悪の状況です。食後のラーメン会議にて午後からの撮影は諦めて、普段は撮るDL牽引ストーブ列車に乗ろうと4人一致で決議されました。
そう決まれば運転する者が飲めないのは不公平です。車は今日の宿泊ホテルに置く事にしました。

DSC_6248005▲ 13:17 JRとの接続駅、津軽五所川原に到着です。着いてみると、他の2組も同じ決議になったようです。皆さん終点の津軽中里までの往復きっぷを買われました。
01_津軽鉄道きっぷDSC_6257001DSC_6258002▲ 津軽鉄道のきっぷ売場兼待合室です。色々とグッズ等も販売されています。お酒とスルメは車内でも売っているとの事でしたが売切れもあります。乗車必需品は買ってホームに向かいました。

DSC_6263006DSC_6266003▲ 14:05 この時期珍しく雪のないホームです。DC20形+ストーブ客車2両+DCの編成に乗車です。ストーブ客車1両は客扱いなし、帰路で金木からの団体客の予約が入っているのでしょうね。

① 津軽五所川原 14:10⇒14:58 津軽中里

DSC_6306017DSC_6269008▲ 車内では早速アテンダントさんがお客さんから預かったスルメ焼きの実演です。オッと彼女は・・・と、向こうから「お客様、よくお会いしていますね。何回目かな?」とお声がかかります。「4回目です。」と返答しました。よく覚えていらっしゃるアテンダントさんです。訪れる客の顔を覚えているのはとても大事な事です。

津軽鉄道がアテンダントを採用したのはえちぜん鉄道に次いで全国2番目です。2003年の運行再開から全国で初めてアテンダントを採用したえちぜん鉄道では利用客が減少する事が多いローカル鉄道にあって逆に地元民の利用が増えました。その大きな要因はアテンダントによる接客・サービス改善があったからと、”ローカル鉄道の救世主”として絶賛評価されました。以後、この成功にあやかろうと全国のローカル鉄道にも採用が相次ぐようになっていきます。

津軽鉄道では冬季のストーブ列車と共に観光客誘致のため、車内で沿線の観光案内などを行うアテンダンドが2009年6月から乗務するようになりました。NPO法人「津軽半島観光アテンダント推進協議会」からの出向です。えちぜん鉄道と同じく期待の星、救世主となれるように頑張っておられます。微力ですが応援させていただきます。
DSC_62752011▲ 同じく車内販売の売り子嬢、車内を和ませてくださる明るい笑顔が素敵でした。お酒は飲みほして足りませんので買い足しました。

▲ お酒はストーブ酒、皆さんピッチがあがって追加が続きますが、車窓に見える間垣(まがき)のようにビクともされません。私もスイッチが入りました。

DSC_6294_100▲ 14:58 津軽中里着。
折り返し時間に併設されています「駅ナカにぎわい空間」で久しぶりに地元のおばさんたちとご対面です。覚えていらっしゃいました。
いつもは、名物しじみラーメンを出前で注文してもらうのですが、今日は時間がありません。しじみ汁で我慢ですが、これも美味しく追加もしていただきました。
お酒のアテに、おばさん自家製の漬物を買い込んで折返し乗車しました。

② 津軽中里 15:22⇒16:06 津軽五所川原

DSC_6285013▲ アテンダントさんから案内が入りました。車内乗務員によるストーブへの石炭投入です。
私が小・中学校時代の教室暖房は同じく石炭ストーブでした。隙間だらけの木造教室では全室ポカポカにはなりませんが授業との休み時間にはみんなでストーブの周りを囲んで語りあった思い出があります。石炭ストーブを見ますと少年時代の古き思い出が浮かんできます。

DSC_6296015▲ 16:07 折り返して五所川原に戻ってきました。

ラッセル車の夜撮をやるそうで日が暮れるまで構内を見学しながら待ちます。
DSC_6303016▲ 1928年(昭和3年)に川崎造船所で製造された元西武鉄道151系は、既に廃車されて残念ながら朽ち果てるのを待っているようです。津軽鉄道ではナハフ1200形として客車となっていました。

DSC_6311_100▲ 構内にはかつて使用されたターンテーブルも残ってはいます。修理すれば復元は出来るそうですが問題は費用です。サポーターズクラブ会員増がはかれれば実現に近づくかも・・。

DSC_6317_100DSC_9799027▲ 17:34 キ101に気動車からの前照灯を受けての撮影です。1933年(昭和8年)に鉄道省大宮工場で製造された元国鉄キ120形、現存現役の貴重な鉄道遺産です。

DSC_6319_600▲ 19:00 今日の泊りは津軽五所川原駅から徒歩5分のサンルート五所川原です。宴会場で参加者が揃って親睦を深めました。館内には温泉もあって疲れを癒してからの就寝となりました。天気予報では明日から再び寒気がやって来るようです。早くから降雪になってくれればと祈りました。  Part9へ続く

はこぶら・津軽の雪飛ばし 2016年冬 Part8 弘南鉄道の空雪ラッセル、津軽鉄道ストーブ列車」への1件のフィードバック

  1. ぶんしゅう様、
    見ていて思うのですが、地方線の努力は涙ぐましいものがありますね。アテンダントの採用などもその一つです。赤字が続く中での決定には、経営者の決断が成功を左右します。いまは地方線では住民の通勤客による乗車率アップなど望むべくもありません。ならば外部からの観光客をいかに呼べるかが勝負所でしょう。当欄で話題の三江線なども津軽鉄道やえちぜん鉄道を大いに参考にするべきだと考えますがいかが?

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