2016年 西方見聞録 Part21 ブタハタール鉄道「豚のしっぽ鉄道」を撮る

第8日目 9月25

今朝の楽しみはドイツ版余部鉄橋の上をどんな蒸気機関車が走ってくるかでした。

▲ 9:10 撮影地③ Google座標; 47.819024, 8.553502
朝食を終えてホテル前でカメラを構えて待つことしばし、鉄橋を渡る音が聞こえてきました。東側の起点駅Blumberg-Zollhausから列車は発車するのですが機関区は西側のフュッツェン (Fützen )にありますので1番列車の牽引機は回送されます。青く晴れた空の下、風もなく綺麗に白煙を残しながら単機回送のD型タンク機が来ました。
【ブタハタール鉄道(Wutachtalbahn)「豚のしっぽ鉄道」 】
この鉄道は1870年代に軍用資材運搬、救護列車を運行するための軍事目的に LauchringenHintschingen約61.7㌔の路線で計画され、不安定な地質を克服して1890年5月に完成開業しました。
本線との直通運行ですのでゲージは標準軌の1,435㎜です。路線の中央部(Weizen~Blumberg-Zollhaus)は軍用鉄道として10‰以下の勾配に抑えるためにループが連続する区間となり、別名ザウシュヴェンツレバーン (Sauschwänzlebahn)、すなわち「豚のしっぽ鉄道」という愛称で呼ばれるようになりました。

第1次、第2次大戦時は長大重量編成の軍用列車は走りましたが大戦後の平常輸送は過疎地域を走っていますので旅客列車は日に3本、混合列車が1本程度で閑散としたものだったそうです。そのため両端の1部区間での旅客列車廃止が相次ぎ、1971年には貨物輸送を残して旅客輸送は廃止されてしまいました。
こうして一旦は廃線近くなった路線でしたが、1977年に中央区間のヴァイツェン~ツォルハウス約26㌔を蒸気機関車が走る保存鉄道として復活運行されるようになりました。1988年には路線が国の産業遺産に指定されて、続く数年間でトンネルと橋梁の改良工事が行われていきます。
2004年に東側区間で鉄道を地域の足として再生させる事業が始まり、1時間に1本程度の旅客DCが復活運行され、土日には保存鉄道が走るブルームベルク=ツォルハウス駅まで延長運行されるようになりました。西側も日曜だけは接続する列車が走り、陸の孤島だった中央の「豚のしっぽ鉄道」には多くの観光客が訪れる事となり、地域の観光資源として輝きを取り戻しました。

▲ 現在運行されているのは4月~10月で土日を中心に週2~4日です。詳しくはHPで運行日等が掲載されています。
http://www.sauschwaenzlebahn.de/home.html

この日は午前と午後に2往復が運行される日でした。

 

▲ 10:19 撮影地④ Google座標; 47.820803, 8.554940
エプフェンホーフェントラス橋(Epfenhofer Viaduki)長さ264m、高さ34mを渡ってくる8両編成の列車です。テンダーファーストで牽引するはFK262号機です。

▲ 10:40 撮影地① Google座標; 47.801759, 8.527584
魚腹アーチのTalubergang Futzen、長さ153mを渡ります。

▲ 12:07 折り返しの列車は正向きになりました。

▲ 12:26 撮影地⑥ Google座標; 47.824447, 8.544423
追っかけで列車を待ちました。

▲ 12:30 列車は前に進んで馬蹄形のカーブを右へと回って264mのEpfenhofer Viadukiを渡っていきました。

▲ 12:35 ループを回って最後の鉄橋、Biesenoach Viadukt(長さ 252.5m、高さ24m)を渡って、Blumberg-Zollhausへと向かっていきました。

▲ 14:15 撮影地⑤ Google座標; 47.824230, 8.554011
午後の列車は1時間40分後、FK262号機は折り返しでテンダーファーストで戻ってきました。

▲ 14:35 Futzen(標高587m)に到着です。ホームで待ち構える鉄ちゃんがおられます。朝も撮影地①で車で来られている鉄ちゃんとお逢いしました。

▲ 所々にリンゴの木があって、日本と比べるととっても小さな実をつけていました。赤く実っていますが殆どが収穫することなく下に落ちています。赤そうな実を1粒とって食べてみましたが渋いだけで甘くはありませんでした。

▲ 16:24 東側の起点駅Weizenからの折り返しは正向きです。駆け上がってきました。

▲ 16:27 魚腹トラスのビーゼンバッハ鉄橋 Biesenoach Viaduktをバックにして、エプフェンホーフェンEpfenhofen駅(655m)に入線です。

▲ 16:29 Epfenhofen駅を発車してエプフェンホーフェントラス橋を渡ってきます。

▲ 16:33 ループを回って丘陵の1段上に上がる10‰勾配が続きます。

▲ 16:35 最後の鉄橋、Biesenoach Viaduktを渡って、長さ805mのブーフベルクトンネルBuchberg-tunnelへと入っていきました。

▲ 撮影地点Mapです。

これで今日の撮影は切り上げです。宿泊ホテルはゴッタルゴ峠の初日で泊ったHotel Kroneです。走行距離は約185㌔、所要時間は約3時間で、M代さんが一人で運転していただきました。私も運転できるのですが今回は国際免許証を用意していません。もしもがあった時に備えるだけになりました。
夜21時前にもう一人の同行者、豊中の8620さんが合流されました。これでウクライナへの参加者4人全員がそろいました。明日は再度ゴッタルゴ峠の撮影です。夜は皆でビールで乾杯してこれからに備えました。 Part 21へ続く

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