地図を携えて線路端を歩いた日々 -11-

飯田線②   B・C地点:宮田~大田切  D地点:駒ケ根駅
五万分の一の地形図「赤穂」を見直して興味深いのは、三州街道(伊那街道)と飯田線がほぼ完全に並行していることです。旧街道沿いに鉄道が敷設されることはよくありますが、たとえば例のΩカーブでも、旧街道がちゃんと寄り添っていて、ここまで完全並行は珍しいことです。あくまで地形に忠実に敷設された、明治期の私鉄らしいところです。そもそも開通当時の伊那電気軌道の辰野~伊那松島は、三州街道上にレールを敷いてポール電車が走る、まるで路面電車だったとのことで、大正12年になって現在の専用軌道となったと言いいます。
先の沢渡から2つ目、宮田(みやだ)も三州街道沿いの宿場町でした。最初は宮田村で、町制施行で町となり、そのあと合併で駒ヶ根市となり、2年後には分離独立して村に戻るという珍しい変遷があります。読みも昭和31年に「みやた」から行政名と同じ「みやだ」に変更されています。
  宮田駅は、大正2年の開業当時のままの駅舎、駒ケ根の近くで乗降は多い。

進入する辰野発温田行き236M クモハ53007+クハ68400 この当時、温田行きがあったとは今回初めて知った。クモハ53は、“合の子”と呼ばれたクモハ43の電動機を出力向上した、半流線形と広窓が特徴。とくに007は張上げ屋根のまま残り飯田線の人気車だった。後年になると、4連の中間に入って先頭に立つことが少なかったと言う。

宮田から三州街道を少し南へ歩くと急に開けてきて、中央アルプスが展望できる。中田切川が東西に流れて、横の街道の橋からうまく撮れる。ED181がワフ1両を牽いて鉄橋を渡る。
中田切川を渡る231M クハユニ56012+クモハ50002+クモハ54002の3連。この場所はすぐ近くに大田切駅があるが、通過列車が多く、結局、宮田から歩いて向かったものだ。
中央アルプス駒ヶ岳が真正面に見える、飯田線の主要駅、駒ケ根駅。
駒ケ根市の中心部は赤穂であり、駅名も赤穂だった。地形図の「赤穂」はここに因む。駅名は、昭和34年に駒ケ根に改称されている。
駒ケ根駅は二面三線構造で列車交換も多く、側線も多い。
245M クモニ83103+クモニ1326+クハ68407+クモハ51019 クモニ83は、飯田線で使用されていたクモユニ81を、荷物専用にしてクモニ83に編入し100番台とした。本来のクモニ83とは全く無関係で、外観はクモユニ81時代と変わらない。

(以上、昭和45年8月、昭和47年2月、昭和49年6月撮影)

 地図を携えて線路端を歩いた日々 -11-」への4件のフィードバック

  1. 聡本家青信号特派員様

    うわっ、聡本家独特のアングル。 小生は『聡本家アングル』が大好きですね、見入ってしまいます。
    トップのショットは、当然若い女性狙いでしょうが、それとなく清々しさが漂っていてワクワクします。(いえ、『聡本家アングル』が女性狙いを意味するものでは無く、以前にも書いた通り『情景の中の鉄道』に脱帽しております。)
    続く53007は関先生が仰る『混血車』で、小生自身が撮り逃した車両は垂涎ものです。

    中央アルプスを捉えたショットも何かしらホットさせるものが有りますね。
    小生も2万5千分の1地図で撮影行をした事がありますが、どちらかと言うと車両に目が行く癖が有って、景色に溶け込んだ遠景アングルは不得意で稀少です。

    • 河さま
      いつも暖かいコメントをありがとうございます。
      はい、年齢に関わらず女性の入った写真、大好きです(^_^)。写真にオッサンが入ってくると、もう見られません(-.-)。
      飯田線となると、どうしても車両本位の紹介になりがちですが、私なりのスタイルも出した飯田線シリーズにしようと、スナップ写真も交えて続けて行きたいと思っています。よろしくお願いいたします。

  2. 河 昭一郎様、
    クハユニ56、これです!私が言いたかった「飯田線の扉の多い電車」は。
    やっぱり出てきますねぇ。

  3. 米手作市様

    その、クハユニ56の事でしたか。
    確かに荷物室用の扉も付いていて、客用扉も含めると、やたらと扉が有る印象がありますね。

    序でに、クモハユニ64、クハ二67も仲間と言っては語弊が有るかも知れませんが、或る種の憧れがありました。

    ドサクサ紛れにクモハユニ44も・・・って、こちらは顔が違ったか?と自問自答です。

    そう言えば、荷物室用の扉は『奥目状態』の一段奥にあって、クモユニ81、クモニ13も独特の風情が漂ってましたね。(話が飛んで、飛んで自分ながらも、分裂症?と   =笑=です。)

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