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田淵仁君が福田君と永年苦心していた「近鉄特急」がいよいよ出版の手はずになった。
時折苦労話を聞く程度で全くお役には立たなかったのに彼は律儀にもわざわざ見せに
来てくれた。
見てびっくりしたのは写真の豊富さと、最近の鉄道出版物に多い絵本的な「てっちゃん
雑誌」とは全く違うDRFC伝統の丁寧な研究本であったことだ。
それでいて決してマニアの独りよがりではなく私のような近鉄もの知らずが読んでもお
もわず読みふけってしまうおもしろさである。それは車両の他、各線の沿革や内輪話な
ど鉄道マニア以外が読んでも引き込まれる話がテンポよくまとめられているからだ。
私がおもしろかったのは近鉄京都線の話である。ご存じの通り京都の住人は奈良電とは
おつき合いがあり、近鉄とは無縁の存在であった。それが昭和38年に奈良電が近鉄にな
たとき、はるか異国の存在であった近鉄が急に身近な存在になった。そんな事で奈良電
の話が一番おもしろく、そうだったのか!と思わず膝をたたいた事もあった。
古い地図や、よくも集めたと思う写真がこまめにちりばめられていて参考資料としても
おすすめである。
1680円(税込み)で全国の書店で好評発売の予定である。近鉄の特急停車駅でも先着5
名様にだけ売ってくれるそうであるから今すぐ上本町や中川駅へ買いに行こう。
なお、一冊だけのつもりだったそうであるが資料をまとめきれなかったため下巻を出す
そうである。期待してまとうではないか。
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