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Transports de Martigny et Regions(TMR)=Martigny-Chatelard(MC)
モントルー、エイグル、ベーと南東に下ってきたCFF(スイス国鉄)は、マルティニでほぼ90度曲がって今度は東北に、シオン、ブリークに向かう。そのマルティニでは2方向に私鉄=現在ではマルティニ公共交通に統合=が分岐し、その西側がフランスのシャモニー・モン・ブランまで直通するMC。Cはスイス側最終駅の Le Chatelard を示す。
軌間1000mm、部分的に最急200‰のシュトルプ式ラック区間がある。その上山岳地帯ではトンネルの断面を節約してサードレールになり、しかも架線と入り混じる。電圧は830Vと半端な直流。
マルティニ駅に接するMCにはちゃんとしたプラットホームがあるが、片側は道路で、撮影には好適。赤と白の、いかにもスイスらしい好ましい電車だが、屋根の端が斜めに切り落とされたやや新しい車両、その部分に窓を設けた2両固定編成のパノラマ電車もある。
サイドには MONT-BLANC EXPRESS とも記され、スイス、フランス両国旗がデザインされているのも実に見事で洒落ている。写真では分からないが、動台車ホイルベースが日本では考えられぬぐらい長く、これはラック装置のためだろう。
電動車妻面に近い窓下に黄色いサボ?があり、目玉のマークが描いてあるのは、無車掌を示し、乗車券は乗車前(路面電車なら車内で)にキャンセラーを通さなければならない警告である。私服の検札員が無刻印を発見すると理由の如何を問わず無賃乗車とされ、有無を言わせず高額の罰金徴収だけでなく、著しく名誉を傷つけられる。幸い我々はスイスパスだからかような操作は不要である。
地図をご覧頂くと、マルティニから国鉄線にしばらく並行し、次駅から1駅間だけサードレールになって川に沿い南西に向かう。このあたり何となく南薩鉄道の伊集院−日置間を思い出す。サードレール区間の駅両端には黄色の標識があり、ガイコツマークもあって歩行=触電を警告している。日本なら厳重な柵を設けているだろう。
パノラマ電車は当会会員が叡山電鉄でも実現したが、誠に失礼ながら、ここの景観は比叡・鞍馬とは次元が違う。座席から窓をほぼ真上に見上げると、氷河を抱いた峰―それも2,500〜4,000m級の―が直接見えるからである。この電車はフランスのシャモニー・モン・ブラン駅での撮影で、すぐ山が迫っている。
スイスはEU等に一切加盟していないが、フランス国境ではパスポートコントロールも何もなく、電車は何事もなく通過。変わるのはフランス側の電車と離合しだすだけである。MCは先述のようにシャモニーまで乗り入れ、スイスパスもここまで有効だが、フランス側の電車はフランス国内に止まる。
なお以前はフランスに入った最初の駅 Vallorcine でパスポートコントロール(形だけにせよ)があり、MCの電車はここで折り返し、フランス側電車に乗換えた由。かつてザルツブルグ(ドイツ)から鉄道乗り継ぎでオーストリーに入国する際、やはり形だけパスポートを見せて細い通路を通ったことがあるが、EU加盟国間ではそれもなくなった。
【MC周囲地図.jpg : 322.1KB】
【マルティニ1.jpg : 325.7KB】
【マルティニ2.jpg : 331.7KB】
【サードレール区間.jpg : 315.1KB】
【シャモニー.jpg : 334.7KB】
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