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海外旅行、模型が大人気 6/17
海外での鉄道旅行や鉄道模型の製作など鉄道人気が、大量退職を迎えた団塊の世代の間で広がりつつある。大手旅行会社が海外鉄道旅行の説明会を告知したところ、申し込みが殺到したため、ツアーを新設。鉄道模型はテレビ番組の特集から火がつき、新規参入するメーカーもあらわれた。いずれも団塊の世代を中心に中高年からの問い合わせが多いといい、関係者は今後の人気の拡大に期待している。
JTB西日本(大阪市中央区)は今春「あこがれの鉄道に乗る海外旅行」と題した説明会を開催した。その約3週間前に新聞で告知したところ、電話による問い合わせが殺到。約20分で締め切った。定員は130人だったため、参加を断った客もいたという。
申し込みの6割以上が定年退職を迎えたか、もしくは迎える前の団塊の世代。反響の大きさを受け、同社は急遽(きゅうきょ)、5月から12月までの間、新設の4つを含む計9つのツアーを企画した。
標高5000メートル地点を走行する中国・青蔵鉄道に乗車したり、約1カ月間かけて欧州を鉄道でめぐったりするほか、自然豊かなアラスカ鉄道に乗るツアーなどで、同社では「団塊の世代は仕事を終え、時間に余裕ができ、余暇を楽しもうという意識が強い」という。
一方、マニア向けという印象が強かったが、静かなブームになりつつあるのが鉄道模型。大阪市天王寺区では鉄道模型を見ながら、食事やアルコールが楽しめる「てつどう茶屋」が団塊世代やサラリーマンらに大人気で、遠方からのファンも多い。メーカーも手軽さを売り物に新規参入するところもあらわれた。
エアガンなどの製造・販売メーカーの東京マルイ(東京都足立区)は7月末から、実物の220分の1の「Zゲージ」と呼ばれるタイプの鉄道模型を販売する。
鉄道模型は自ら組み立て、着色するのが主流。しかし同社では、街並みや住宅などのジオラマ(立体模型)は完成型で、新聞紙1ページ分ほどの大きさと主流のものより小さい。また車両(7両)、立体模型などで計5万円前後で、マニア向けや海外製の安価な商品に比べ、5分の1程度。
今春開かれた大阪市内での業界向けの説明会には約200人が訪れ、静岡県で開かれたイベントには30〜50代の人が詰め掛けた。同社広報課の島村優さん(39)は「子供時代にあこがれた鉄道の模型で息抜きしたいという思いもあるのでは」と分析。当面は首都圏の車両だが、今後は大阪などで運行される車両も販売する。
団塊の世代の鉄道への関心を高めたのは、特集を組んだテレビ番組の影響もあるという。
中高年の視聴者をターゲットにしたNHKの番組「趣味悠々」が今年2〜3月に計8回、鉄道模型を取り上げたところ、番組用テキスト5万部が完売したため1万5000部を増刷した。番組チーフプロデューサーの宮内賢介さん(44)は「鉄道模型は趣味の王様と呼ぶ人もいるぐらいだが、反響は予想以上だった」と話す。
放映後の反響は大きく、販売コーナーがある近鉄百貨店阿倍野店によると、3月の売り上げが前月比で約2割アップ。客層の約6割は50〜60代だった。阪急百貨店うめだ本店も「以前より、見に来る人の年齢層は上がった」という。
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