|
ブリエンツ・ロートホルン鉄道 その2
この日は申し分のない快晴だった。相棒(先達)は慶応だから、福沢諭吉と新島 譲が二人して、日頃善行に励み、社会人としての義務遂行に邁進するおじん2人を余人の手本として愛で、心から祝福し、励まし、支援してくれていたことに間違いない。
かような山岳鉄道では、まさしく天候のみが唯一である。某友人は折角この鉄道に乗ったものの、出発間もなく霧に包まれ、山上まで往復はしたが遂に途中何も見えなかったという。
実は我々も後日マン島のスナェフェル登山鉄道で10m先が見えない濃霧を経験したことがある。この時は恐らく福沢・新島お2人は出雲国にでも出張して神無月のような状態で、我々を支援しようがなかったと思われる。
2番目の離合所は海抜1,341m、3番目(最終)は1,819mである。上るに従い植栽が次第に変化し、高木が消え、最後にはシダや地衣ばかりになる。線路位置選定には車窓景観を最重点にしたことは歴然で、トンネルも数か所あるが、最長290mには2か所の穴があけられ、外が見える。
例えば草軽電気鉄道のクネクネカーブは、ひとえに建設費節約であり、姉妹提携をしている大井川鉄道井川線は元来産業鉄道だから、この100%観光鉄道と到底比較はできない。
それにしても、単にアブト式(それもごくごく一部)だからというだけで、ブリエンツ・ロートホルン鉄道がよくぞ姉妹提携を承知してくれたものである。
下り列車は反圧ブレーキを使い慎重にも慎重に25%勾配を下る。これはシリンダを空で動かさず、空気を圧縮させることでエネルギーを費消しブレーキにするもの。
当然圧縮分高熱になるから水で冷やす。下り列車でも蒸気を吹いているのはこの冷却水が蒸気になって排出されているのである。
山上にはホテルがあり、ロープウエイで別の尾根に渡り、徒歩で山を下りるルートもあるが、大多数は景観に十分満足し(天気がいいからだが)列車で下山する。
勿論ブリエンツまで歩くルートもあり、イヤというほど列車写真が撮れるだろう。やってみたかったが、まだこの日中に次の目的地に行かねばならず断念。
【BRB16.jpg : 175.1KB】
【BRB17.jpg : 183.5KB】
【BRB20.jpg : 146.9KB】
【BRB山上駅.jpg : 257.4KB】
【BRB14.jpg : 188.5KB】
|
|
|