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FOND-DE-GRAS/TRAIN 1900 その3
鉱山丸ごと産業遺跡としての保存の一環で、軌間700mmのマイン・トレイン=Miniereburn Doihl asbel=がやはり日曜の午後のみ運行しており、蒸機牽引の坑外線、電化した坑内線がある。
標準軌間の広い構内の端、一段高いところに700mm線の(現在の)起点があり、周囲には巨大な据付蒸気機関や水車、それで回したのであろうポンプや機械類も保存展示。
やってきた列車はクラウス製Bタンク4号機が客車2両を背後から押してで、これは機回り線がないから。同型(であろう)が他に2両おり、各1895、1897、1900年製。4号がどれなのかは分からなかった。
客車はかなり長いボギー式で、車側出入り口は短時間での一斉乗降に適し、スイスのシーニーゲ・プラッテ、それにブリエンツ・ロートホルンの古い客車も然り。一般に遊園地の鉄道類もこの形式である。この扉のない客車は新たに作ったもののようで、連結器はピンリンク。
なかなか発車しないのは車外から乗車券を売って回っているから。その車掌はヘルメットにヘッドランプ、足元は安全靴の坑夫スタイル。運賃は往復+マインツアー共4.5ユーロ。ちゃんとしたパンチ(鋏痕は半丸)式の補充券だった。
全乗客に売り終えてやおら発車の合図が出、汽笛一声、我らがマイントレインは出発。森の中を景気よく、それもシンダではなく軽やかな灰を撒き散らしながらのんびり進む。石炭ではなく薪焚きだからである。
しばらく走って今度は凸型電機列車に乗換え。2軸客車にもパンタとヘッドライトが付いているのがあり、車内灯がなくこのヘッドライトで代用しているのである。
連結器は驚いたことにウイリソン(Wilison=ウイルソンではない。英国人発明)自連で、我国では越後交通栃尾線と日本鉱業佐賀関線旅客車両のみ、他にはトンネル工事ズリ出し軌道など。ロシアは現在も大型を使用。欧州でも一時内燃動車に使われ、ギリシャでも見た。
坑内の所々に古い電気機関車はじめ各種車両や機械が沢山放置してあるのだが、何しろ真っ暗でよく分からない。下車説明の場所では架線から取電の裸電球が少し。フジファインピックスの感度を目一杯の3200に上げ、何とか(見るより明るく)写った。その後案の定戻し忘れたが。
説明員も完全な坑夫スタイルのボランティア。地域柄独・仏語のみ、英語は苦手のようで、正直さっぱり分からなかった。それにしても素朴も素朴な産業遺跡展示で、日本なら安全確保でやたら柵や照明、通路設置が義務付けられるはずである。
【クラウス機牽引列車.jpg : 199.8KB】
【坑内外で車輌を乗換.jpg : 195.4KB】
【真っ暗な坑内.jpg : 194.6KB】
【坑外のデルタ線.jpg : 199.8KB】
【ヘルメット姿の案内員.jpg : 195.2KB】
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