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鉄道に関する諸物は、骨董品となりうるであろうか?
個人の手許に有るとまず実用的ではなく、全く役には立たない。さらに古道具・古美術品の範疇にも含まれない。どうも骨董とは言い難いようである。せいぜい稀少価値の有る資料と言うべきか、それともコレクターアイテムとして市場価値がある物なのか。
巷間蒸機のナンバープレートは高値を付けているそうであることからすると、まぁ個人の思い入れのある物がせめてもの骨董的価値を生み出しているのかも知れない。
鉄道会社が整理されると、数多の物品、書類等が廃棄され、後世資料として残り世に出るものは甚だ少ない。当会の重鎮たる諸先生方をはじめ、斯界の研究者達の出版を通じてしか、我ら凡人は識る路はないのである。
添付写真を見て頂きたい。これは花巻電鉄創業時より使用されていたという17瓩レール(出自・謂われを明記したシールは剥離してしまった)である。物差しを参考にして頂ければ、如何に高さが低いか分かられると思う。因みに37瓩レールの高さは12糎ある。
この17瓩レール、聞くところに因れば、独逸製だそうだ。どの当たりに使われていたかは聞き漏らした。しかしながら、日夜風雪に耐え、15瓲も有ろうかという車輌の走行に良く耐えたものである。擦り減った傾きに哀れを誘う。
花巻電鉄鉛線は、昭和44年夏廃線とされたのであるが、同年8月盛大に施行された龍ケ森合宿の帰り、当会有力者であるI氏と共に訪れた際買い求めた一品である。
廃線といえども当時の事、訪れる者とて少なく真にひっそりとしたものであった。今日、廃止と聞けば、日頃の乗車とは無縁の輩が浮塵子の如く押し寄せ、恰も死肉に集る禿鷹のようで正視に耐えない。隔世の感である。野辺送りは静かに遺徳を讃え、送らして頂きたいものであろう。
合掌
【17瓩レールs.jpg : 0.5MB】
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