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Lossnitzgrundbahnその1
ドイツ有数の古都ドレスデンは戦時中猛烈な爆撃に会い、その徹底的な復元でも有名だが、旧東ドイツではベルリンに次ぐ大都市である。その東にラーデボイルという町が神戸と明石のように市街が切れることなく隣接し、路面電車も直通。ラーデボイルには駅がオスト、ヴェストと2つあり、これはオストから分岐し、ラーデブルグに至る16.5km、軌間750mmの狭軌鉄道である。王立ザクセン国有鉄道として1884年開業したから120年以上の歴史を持つ。現在ではBVD運営の私鉄になっている。
ラーデボイル・オストを出るとしばらく住宅地の中を走り、路面電車と平面交差。これが第一の名物である。それから勾配区間に入ってカーブが連続し、かなり上って突然高原状の平地に出、綺麗な湿地のごとき池を横切ると、お伽噺かチョコレート箱の絵のようなモーリッツブルグ城が見えてくる。このあたり一帯は放牧もされ、保養地、別荘地のようだ。観光客はここでみんな降りてしまうが、さらに別の大きく綺麗な池の横をかすめてあとは農地と住宅が続き、終点ラーデブルグである。
我々おじん野次喜多2人組はバートドベランとツイッタウで心底懲り、列車撮影より先ず宿探しを優先。5〜6軒ホテルを当たってもすべてシーズンで満員で、再び相棒(通称ウメムラツーリストサービス)が卓越した危機管理能力を発揮した。レンタカーをオスト駅前に止め(駐車スペースはいくらでもあった)、タクシーに乗って運ちゃんに探させようとの、佐貫又男的発想である。運転手はノープロブレムと気軽に請け合ったが、6軒、7軒と満室が続くと流石にあせりだした。結局は無線であちこち問い合わせ、全くの住宅街のとある一軒に連れ込んだ。そこが民宿かと思いきや、看板はなかったが民宿斡旋所で、それから遠からぬ一軒が宿になった。我々は駅に戻るタクシーの中でヘンデルとグレイテルさながら、必死に道を覚えねばならなかった。駅に戻って払ったタクシー代はチップ込み30マルクで、随分走り回ったことが分かる。握手して車を乗り換え、宿には無事到着し早速撮影に。素人B&B(ベッド&ブレックフアスト=朝食付き民宿)で、ツインが2部屋だけだが清潔で、朝食も中々だったので、もう一晩確保してさらなる宿探しを回避した。
最初の写真は住宅地内を抜けるラーデブルグ行き列車。左側の駐車は我々のレンタカーである。蛇足だが、道路標識にアインバーンシュトラーセとある。市街ではどんな細い道でも名前が付いており、小生はてっきり、これは「一条通」だと思い込んだ。しかもどんな小さな町に行ってもこの名前があるなと感心したのだが、実は固有名詞ではなく普通名詞の「一方通行」で、どの町にもあるはずである。小生の外国語能力を露呈し、つまりは如何にいい加減な学生生活を送ったか、を数十年後に心から恥じ、親に申し訳ないと後悔しても後の祭りである。
【住宅地を行く列車.jpg : 93.0KB】
【路面電車との平面交差.jpg : 100.1KB】
【フライデヴァルドバートで.jpg : 92.2KB】
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