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東フリージア諸島の鉄道1-1 Borkum島鉄道その1
東フリージア諸島といっても、日本人が立ち寄る観光地ではなく、日本語ガイドブックは触れてもいない。東京のドイツ大使館観光局にすらパンフの類がなく、係員(日本人だが)も知らなかった。ともかく長期の保養客ばかり(の筈)だから、宿が確保できるかどうか、さっぱり分からなかった。
ドイツの北方はほぼ中央部がユトランド半島として北に伸び、デンマークに続く。その西側、オランダとの境界から東へ、10個以上の島―というより「砂洲」が本土の30〜10kmほど沖合いに並ぶ。これがOstfriesische Inseln である。
ドイツの北東にあって、何で東フリージア諸島なんだといいたいが、その西側のオランダ領海には、西フリージア諸島という、ドイツ領のそれより大きい島々があるからである。
諸島一帯が国立公園区域で、このあたり、名にし追う北海も極めて浅く、強い西風による砂丘が島々を形成し、海抜は高いところでも十数メートルに過ぎず、侵食も続いている。本土に面する南側は場所によるが湿地に近い砂丘で、農漁業を含めおよそ産業というものが成り立たず、唯一保養地としてのみである。
あらゆる物資が本土から運ばれ、廃棄物はコンテナで本土に戻る。電力や電話線、上下水道、ガスも本土と海底パイプラインで繋がっている。このうちボルクム、ヴァンガオーゲ、ランゲオークの3島に900mm、1000mm軌間の軽便鉄道があり、船着場から町まで、人や犬や荷物や自転車やらを運んでいる。この諸島での鉄道は、実は国立公園自然保護のシステムの一環なのであって、一般的な観光鉄道とはまったく目的を異にする。
諸島の最西端がボルクム島で、本土との交通はエムデン・ハーフェンからと、オランダ・エイムシャーフェンからの汽船便、それにセスナ級の飛行場がある。
我々はロシュトックからコンスタンツ行きICに乗り、ハンブルグ、ブレーメンで乗換え、エムデンからDC3連の臨港支線に乗り、いざボルクム島へ。宿が見つかるか心配しながら。
船着場にすぐ鉄道が接し、カラフルでツルツルの客車がずらり。よく見ると台車は古く、車体は新製に近いかもしれないが昔の姿を再現しており、広い窓は嵌め殺し。塗装が実に立派で、下地が厚く、ぼってり感が強いため、オモチャっぽくみえるのであろうが、阿蘇ボーイのけったいなダブルルーフ(もどき)とは根本的に違う。赤いディーゼル機は強力で、勾配はないとはいえ、9両を軽々と曳き出した。連結器は一人前の密着自動だった。
線路は驚くことに複線(軌間900mm)で7.4km、かつてはこの島だけで30kmもあった由。終点ボルクムのみが市街で、テーマパークの作り物も顔負けの綺麗な町である。なおこの島は本土から最も離れているためか、珍しく自動車の持込ができるが、中心部は乗入禁止だし、狭い島中、自転車で十分であろう。タクシーもいるが、利用客がどれほどあるのか。バスも走り、朝晩等は列車に代行するダイヤもある。
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