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老神温泉での忘年会は現地参集で、4人は朝早く東京を出発し、上信、上毛電鉄を経、わたらせ渓谷鉄道を「ひと覗き」した。富士重工製「わ89形」バス仕様車体車はまだ車庫に姿をとどめているが、登場以来18年で第一線は外れたようだ。
どこも苦しい三セク鉄道だが、3月廃止の決まっている三木鉄道、廃止同然の高千穂鉄道などに続き、このわたらせ渓谷鉄道も苦しいことでは最右翼グループであろう。地元客は期待できず、観光客の誘致に一生懸命なのである。
この日(12月1日)は天気がよく空気が澄み、気温も穏やかで申し分なかった。日頃土日や夏季、行楽シーズン等には「トロッコわたらせ渓谷号」が走り、また01年JR東日本から購入した「やすらぎ」12系お座敷列車を両端パノラマ展望室に改造し、DE10が牽引する「サロン・ド・わたらせ号」も。
12月1〜24日、来年1月8日〜3月30日の間、月曜日を除く毎日運行。「料理列車」として大間々発11時13分、足尾着12時50分。この間車内で折詰弁当が供せられ、曜日で献立が変わって、自然薯/湯葉/寒天創作/きき酒師女将の味料理など。
足尾銅山を見学し、足尾14時25分、大間々帰着16時02分。食事・往復運賃込みで大人4,800円、小人3,900円、定員46名。但し最小催行人数15名、31名未満だと普通車両使用とある。大間々へは結構不便だから、ここまでは車でどうぞ、という仕組みであろう。
この日の列車を神戸(ごうど)で見たが、どうやら1家族4名(夫婦と子供2)だけしか乗っていなかったようだ。和服姿のサービス女性が1人、所在無げに展望室でたたずんでいた。
15名未満なら運休のはずだが、大量ドタキャンでもあったのか。何やら三セク鉄道を象徴するような風景だった。この列車を撮影する人は結構いたが、我々を含めことごとく自動車利用だから、鉄道収入はゼロである。
周知のように神戸には東武の特急「けごん」廃車を利用した「レストラン清流」(セルフサービス)があり、この「料理列車」献立の一つも担当している。水沼駅には日帰り温泉センター(写真右側)がある。
努力の程は痛いほど解るし、たった1日見ただけでの物知り顔は厳に慎むべきだが、努力したからといって収入増加につながるとは限らない例でもあろう。鉄道に限らず一頃全国的に大流行し、現在あらかたが破綻に瀕している第三セクターなるものの表徴のようにも思えた。
なお前回のD51の写真で、何やら落ち葉が舞い上がっているようだが?とのお問い合わせが。説明不足だったが、落葉を舞わせている元凶?はシリンダを動かした後排出されたエアである。本物の蒸気ならたっぷり湿っているからこんな現象は起きない。
そのエアを送るコンプレッサーは2基がテンダー上部に搭載され、小型ディーゼル機関駆動であろう。梅小路や大井川、真岡鉄道のように石炭・蒸気で動かすのが真っ当に違いないが、こんなささやかな村興しではできる筈もない。これはこれで、暖かく見守ってやりましょうや。
【神戸での離合.jpg : 197.4KB】
【料理列車.jpg : 195.1KB】
【水沼での離合.jpg : 197.3KB】
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