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3.路面電車の技術と歩み 吉川文夫著 発行 グランプリ出版 ¥1,995
9月24日吉川さん宅へ弔問にお伺いした時、居間の卓上に本書が置かれていた。奥様にドイツでの行動を説明させて頂いたのだが、それが済むや本書を取り上げ「先日、青木(栄一)さんがお見えになり、いい本が出来たよ、と言って下さったの。」と、いとおしい眼差しで表紙をご覧になった。続けて「ドイツから帰ったら、すぐ校正に取り掛かると言っていたのに、叶わず出版社の方に全部して貰ったの。」この時、老人は「はっ」とした。機中でお疲れの様子だったのでお尋ねしたら、「原稿の締め切りに追われ、家を出る直前まで書いていた。」の発言は、この本のことだったのかと気が付いたのであった。この本は敬愛する兄貴の絶筆だったのである。2004年2月15日横浜でお会いした後、追いかけるようにしてこの本が送られてきたが、その時は全く気が付かなかった。今回あらためて、じっくり読んでみた。
さすが電気屋さんである。モーターの歴史から始まり、路面走行鉄道の位置づけに至るまでが実に分かりやすく解説されている。独英米の文献から電気車の黎明期の歴史を分析の上、記述されている。電車ファンなら絶対知っておくべしの事柄ばかりである。電気屋さんが機械屋さんの分野まで言及されているのは、電車のことなら知り尽くしておられた証である。広い交友関係から、種々資料を収集された結果が随所に発揮されている。電車のことならなんでもこい!である。よって良書である。
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