|
◎北浜
証券のまち、北浜である。以前、会社が北浜にあった時代は、毎日京阪に乗って通っていた。その頃の北浜は活気があったなぁ。地場の証券会社が軒を連ね、北浜のシンボル、証券取引所では、何回も場立ちが行われていた。そのたびに近くの証券会社から、青い制服を着た証券マンが北浜のまちにあふれた。
その証券取引所も前のファサードだけを残して平成16年に新しい建物になり、場立ちもなくなった。大証の地位も低下し、大阪の地盤沈下の縮図を見る思いがする。地場の証券会社も統廃合されて姿を消してしまった。
その当時、一日2回は油を売っていた、なじみの喫茶店も今は見当たらない。ところが以前、北浜で営業していた喫茶店とまったく同じ名前・ロゴの喫茶店を名古屋駅前の地下街で見つけ、懐かしさのあまり思わず入ってしまった。お店の方に聞くとやはり以前は北浜で営業していたとのことで、久しぶりにその店の特徴である、普通のコーヒーでも、アメリカンよりもさらに薄いコーヒーを味わったものだ。
写真1・2は、北浜二丁目交差点の今昔。市電は、昭和41年に消え、土佐堀通りには京阪が地下で、堺筋には地下鉄堺筋線が開通し、地上の交通機関はバスへと変わった。
もうひとつ、北浜のシンボルに三越があった。かつて堺筋は大阪随一のメインストリートで、百貨店が多く集まっていた。その後、他の地域へ移転したあとも三越だけはその暖簾を誇るべく北浜に残っていた。ところが、阪神大震災で建物が損傷し、その後取り壊されてしまった。そのあとは仮店舗で細々と営業を続けていたが、ついに大阪駅北に新築移転することになり、平成17年に北浜から三越の名前も消えた。その跡地は現在、「日本一高い」を謳い文句に高層マンションが建設されている。写真3は三越前を行く大阪市バス。この堺筋を走る市バス4号系統も昭和58年3月に廃止されて「高麗橋」などのバス停が消えた。
株と百貨店という、二つの顔を持った北浜も、その両方が消えて今はすっかり静かになってしまった。
【写真1 市電時代の北浜.jpg : 88.0KB】
【写真2 北浜二丁目.jpg : 170.6KB】
【写真3 三越前の市バス.jpg : 257.5KB】
|
|
|