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【711】おじん2人ヨーロッパ軽便 その12-3
 湯口 徹  - 06/12/17(日) 10:09 -
  
YBBSTALBAHN(その3)

前々回[702]の路線地図画面をクリックして拡大し、その左上をご覧頂きたい。
標準軌間線(ローカル線だが、ここでは本線とする) Waidhofen が760mm軽便線 Ybbstalbahn の分岐駅なのだが、その実この駅は町から遠く離れていて、本線の次 Waidhofen Stast が町に近い。日本なら例えば「龍野」と「本龍野」である。

軽便線のほうにも Lokalbhf. なる駅が1.9kmのところにあり、いわば「支線龍野」で、これはまさしく町中にある。広からぬ谷間に古い教会や家々がぎっしり建ち並び、その間を760mmの軽便線が高架で横切る。余部とはいわないが、実に趣のある石造り=ローマ水道橋風「眼鏡橋陸橋」なのである。

地図では起点より1.3km地点に小さい▲印が付いた78mの鉄橋として記されているが、これは文字通りの川を越える鉄橋部分のみの長さで、高架自体はご覧のとおりかなりの長さがある。

この場所で写真を撮るべく、我々は列車の合間に未舗装の道路を歩いて戻った。実に暑い日で、荷物はザンクド・ぺルテンの安宿に預けてカメラだけの軽装だが、近くて遠きは田舎の道。ヘトヘトに疲れる行程であった。

ところが見知らぬ人(オーストリアに知人がいる訳がないが)が車を止め、トボトボ歩いていた、人品骨柄卑しからぬ東洋人2人を乗せてくれた。我々が日本からわざわざこの町の陸橋を撮影に来たと知って、その人は「お立ち台」登山口というべき場所で車を止め、ここから上がれと教えてくれた。

恐らくは村人にとって自慢の景色なのであろう。地元民に教えてもらわないと、これが上り口とは気付かぬような小道だった。
泡を吹きそうになりながら斜面を上ると、やはり来た甲斐があった。ただモノクロもカラーもと欲張ったため、どっちつかずの写真になったのが悔しい。

撮影後ドット疲れが出、何はともあれ水分を補給しないと異国での悲運の死が必然と思われた。駅まで歩く途中小学校があり、まさか学校前にビールを飲ます店は無いよなぁ。せいぜい文房具屋だなぁ、と悲観したが、角にまさに屋台然とした飲み屋が、しかもまだ午後4時だというのに2〜3人が道路でビールを立ち飲みしているではないか。

これぞ「天は自ら助くるものを助く」、あるいは小生の日頃の善行を、新島襄が明白に認めたのに100%間違いがない。蛇足だが、小生現役時代の「青信号」誌末尾コラム(というほどのものではないが)でのペンネームは「襄の子」であった。校祖墓参には遂に一度も行かなかったが。

とにもかくにも、この屋台でのビールのうまかったこと。おかげで今日まで生き延びている。諸兄!善行は積むべし。先輩は大事にすべし。


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