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湯口徹ヨーロッパ軽便2.
Harzer Schmalspurbahnenその1-2
この鉄道は『Schmarspurbahn Kursbuch』によれば1992年版までBrocken支線を含むWernigerode-Nordhausen Nord−Steige間がHarzquerbahn、Gernrode−Alexisbad−Harzgerode−Hasselfeld間がSelketalbahnと称されていたが、1993年版からは両者ともHarzer Schmarspurbahnenにまとめられている。ベルリンの壁崩壊により1962年以来軍用に特化されていた、当鉄道の目玉であるBrocken線が観光客に再開された。
中世以来この山には毎年4月30日世界中の魔女が参集するため、軍用とはいえ特別に列車を運行提供していたものと固く信じていた。ところが彼女等は各自伝統的な箒に乗って登下山したそうで、祟りや苦情も一切記録されていない。但し東独時代の当局発表は余りアテにはならないが。
我々おじん野次喜多2人組が尋ねたのは1993年で12年前になる。当時でも1両?DLが入っており、南・西方にはDCもいたのだが、今日ではWernigerode−Brcken直通及び乗換はすべて蒸機牽引で、Salonwagen連結車ではビールやワインも飲める。他線は次第にDCに転化する傾向にあるようだ。Nordhausen Nordの手前で路面併用軌道(架線はない)に乗り入れ、Nordhausen中央駅前で路面電車と並ぶDC運行もある。
1E1の蒸機を我国のC12に比較したのは小生の無知蒙昧を露呈した。空車48/運転整備65トンだったからである。因みにC12は40/50トン、4110が52/65トンで、この機関車は軌間こそ1000mmでも、4110並の図体を他の750mm軌間線と同じ車両限界に収め、かつ1954〜56年製だけあって常用気圧が比較にならず、一見アメフト選手のような精悍このうえもない700馬力強力機なのである。
床下に剛体トラスがある客車は木製車の鋼体化と思われ、古い客車も残り、Traditionalzugに用いられるのであろう。標準軌間貨車を直通させる特殊貨車も残っているが、使われることはあるまい。
現在この鉄道をGoogleで検索すると、なぜか日によって数がかなり増減するが、5〜6万件ヒットするのに驚く。それだけ人気というかポピュラーな線区なのであろう。各線のダイヤ、蒸機かDCか、Salonwagen連結かなどは勿論、ありとあらゆる情報がいとも簡単に入手できるのが、トーマスクック時刻表プラス先輩の訪問記程度の情報で出かけた身にはいささか悔しい。車両の精緻なリストは当然のこと、Brocken山頂の気象、定点カメラでの画像も見られ、10月26日であれば気温5度、視野100m、湿度100%、風速80km(日本式の秒速なら22.2m)。7月とはいえ12年前Tシャツ1枚での登山断念はやはり正解だった。
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