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今回の書は仁蓮上人が毎夜、腰を擦りながら見入っている関西鉄道研究会刊、車両発達史シリーズ「近畿日本鉄道・一般車 第1巻」5,250円 藤井信夫著である。
クローバー会での近鉄ファンの筆頭は、キャンブックスで「近鉄特急」を上梓した仁蓮上人と言わねばならない。実は老人も吊掛車全盛時代は京阪同様に関心を抱いていた。それは奈良線と大阪線を対比してみれば理解していただけるであろう。と共にDRFC現役時代、1914年大軌1型として新造された開業時の木造車を、入念に手入れの上おそらく時速80キロで快走していたに違いない姿に、心を打たれていたのであった。この木造車は1964年末、引退した。なんと半世紀に亘り現役であった訳だ。この大正の電車と共に奈良線車両の多彩なこと。西大寺で、布施で、小阪で、八戸ノ里で眺めながら分類していたことが思い出される。
それに比べ大阪線は昭和の大型車であり、比較的単純であった。その中で初期の電動車の形式での違いがわからず、高安車庫へ尋ねに行ったのは中学2年の時だった。高安車庫はホームから建屋が近く気軽に行けた。大型車での思い出は、2000型の新車に大和八木から乗った時、シートが木綿のキャンバス張りだったこと。
当書が殊勲書である理由を述べずして、老人の思い出話展開となったが、
1、多彩な車種を分類して解説されていること。
2、分類された車種に合わせ写真が網羅されていること。こうした写真の収集には 著者が並々ならぬ情熱を注いでおられるから実現した。
もう見られなくなった大小の電車が並んで布施〜上本町間を走っていた頃を知るものにとっては、こんな楽しい書はない。よって殊勲書である。
蛇足ながら、現今の近鉄の車両番号附番方法は行き当たりばったりのように思える。1950年、奈良線改番以前のように難解だ。近鉄では車系分類が車両番号でされておらず複雑ではないか、と思われる。仁蓮上人よ、どうすれば呆け老人でも近鉄電車が理解出来るようになるか、ご提案されたし。
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