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「ペロポネソス半島その11 トリポタモ〜トリポリ」
老農夫に教えられ、やっと探し当てた旧メガロポリへの分岐駅は、前回の地図ではトリポタモと読めるが、実に素朴な縦型硬券には全く別の文字 VEYKTPON =前頭のVは実は天地逆でAの横棒がない文字=が印刷されており、読みが分からない。ノートに筆写し、トリポリで帰路乗車券を求める際それを出札口で示し、無事購入できた。
グニャグニャカーブと勾配は、期待に反し誠にあっけなかった。赤いローカル線用2両連結気動車は平気の平左で殆ど速力を落とすことなく走り抜けてしまったからである。話は簡単で機関出力が我国とは比較にならないほど大きい。
我々の年代ではすぐ小淵沢を出るなり、馬蹄形大カーブ、甲斐小泉、大泉、大門川を越える大180度カーブ、南アルプスや遠く裏富士をバックに見る直線区間などでの小海線キハ52を思い浮かべてしまう。
機関2基で当時我国最強力のキハ52も、連続33‰勾配では何とも遅く、苦しげであった。その思い出をギリシャの地でなどと考えたのだったが、世界の鉄道車両はこんな超ローカル線でもはるかに進んでいた。後日イタリアのサルディーニャ島でも同じ事を痛感することになる。
小一時間でトリポリ着。先回も書いたが、なんでこんなに駅舎が綺麗で洒落ているのか。ホームの植え込みも悔しいぐらいに見事に様になっており、手入れも行き届いている。
我国とて、かつては奇麗で見事な駅舎も少なくなかった。それが昨今ではコンビニやうどん屋に乗っ取られ、あるいは無人化で荒れ果てて見るも無残、単にメンテを避けるだけの無粋な駅が大多数になってしまった。
我々は近くのヤードにいる少なからぬ廃車の群れを横目に、先ずは今夜の宿探し。駅から数百メートルのところに懐具合に合いそうな安旅籠を見つけ、夕方に来るからと予約。
廃車群の中には3車体4台車の古い連接式ディーゼルカー6400型が何本か。機関を各前頭の台車に搭載しており、その部分は床が25cmぐらい高く、手荷物室になっている。
編成両端の動台車はホイルベースが長く、しかも車軸先端部分でベベルギヤによる2軸連動になっている。スカートがあって見難いが、4コマ目の写真をとくとご覧あれ。ユニバーサルジョイントが見える。台車枠は軽量鋳鋼製である。
軸箱の周囲が何やら異様にふくらんでいるのは、中にベベルギヤが仕込まれているからで、かような駆動方式は我国にはない。
また連結器は欧州共通の螺旋連環式ではなく、ディーゼルカーだけのウイリソン=ウイルソンではない=自連で、米国発祥のジャニー系列と違った英人発明のもの。大型をソ連〜ロシアが使っている。但し非常時には通常の螺旋連環式車両とも混結できるよう、両端面にはフックが付けられている。
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