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ペロポネソス半島 その2 ディアコフトA
先回[830]の2/3コマ目にほぼ同じ写真を入れてしまった。改めて今回1コマ目に入れた写真は、メーターゲージのアテネ駅信号用ハンドルである。日本を含め他国のこの程度の規模の駅なら、いくら何でももう少し複雑であろう。
バックに写っている建物の一部だけ見ても、この駅舎の重厚ぶりがお分かりいただけよう。流石というか実に立派なもので、歴史の深さを感じる。
我々は案内所での「ノープロブレム」に半信半疑。お目当ての軽便線が運行しているとは嬉しいが、昨夜関空で見たトーマスクック時刻表(運行開始6月)が頭から抜けない。ほんまかいな?
アテネの町を抜けるには、延々と自動車専用道路を走らねばならない。日本なら高架にするところ、平地を仕切り、所々立体交差(アンダークロス)の道がある。それがやがて本格的な高速道路になる。勿論右側通行である。
ところがその自動車専用道路は、1車線にしては路肩も広いが、2車線分はなく、おまけに対向車線との分離帯も柵もない白線のみ。これで追い越しはどうするのか。
しばらく走って分かったのは、追い越しのウインカーを出すと、反対側を走る車が路肩側によけてくれ、こっちは反対車線に侵入した形で追い越すのである。慣れるまでは英国の田舎で真中車線を両側が使う追い越しと同じように怖かった。しかし街中と大違いのマナーのよさには感心した。
途中何か所かトルゲートがあり、通行料は500/600ドラクマと記憶する。今はユーロだが、当時ドラクマは円の1/3ぐらいだった。1か所はゲートがあっても無人(無料)で、それを知らず徐行し後ろの車からクランクションを鳴らされた。
アテネから約90kmでコリントス運河を渡り、いよいよペロポネソス半島に入る。お目当てディアコフトにはインターチェンジがなく、手前で地上に下りる。もうそろそろ平面交叉のはず、と何やらレールらしきもの通り越した。すぐ引返すと、まさしく軽便のレールで、しかも光っている!
2人して大きく息を吐いたことであった。列車はアテネの案内所の親父(新庄が年を食ったような、それはかっこいいおっさんだった)は嘘をつかなかった。アテネから約170kmであった。
線路に沿って北へ。ディアコフトの町に入ってメータゲージ線に突き当たり、少し西へ、大木が茂る機関支区があった。人気はなかったがこれほど気分のいい車両基地は今まで経験がない。看板は英語で、TOOTHED RAILWAY OF DIAKOPT ENGINE STATION とある。横にアブトラックの板が放り出してあり、かつての横川でもそうだった。
カラブリタへ上る軌間750mmの軽便線は22km、うち3か所計3.6kmがアブト式で、最急勾配145‰。勿論蒸気機関車で開通し、現在は電気式ディーゼルカーだが、2両編成の間に2軸の発電ユニットを連結している。ふもと側が動力車で、ロッド連動。スカートがあって肝心のラック駆動部分は見えない。
我々は住宅街中の小奇麗なプチホテルを選択し、あまりの機関支区の雰囲気にすっかり舞い上がり、2泊を確保。下ってくる列車を待ち受けた。扉はヨーロッパの路面電車並みに片側しかなく、ふもと側運転席に接する部分(景色が良い。かつての香港ケーブルカーもそうだった)が1等になっている。
【信号ハンドル.jpg : 157.0KB】
【ディアコフト機関支区.jpg : 339.1KB】
【パワーユニット.jpg : 150.3KB】
【ロッド駆動の動台車.jpg : 72.8KB】
【ディアコフト行き列車.jpg : 148.9KB】
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