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高速化の台湾、新幹線に続き「振り子」も導入
台湾の鉄道当局は5月8日にダイヤ改正を行い、日本から導入した振り子式列車「タロコ(太魯閣)号」の運行を始める。今年1月に開業した台湾高速鉄道(台湾新幹線)に続き、台湾では日本が磨いた鉄道技術の粋を集め、交通インフラの近代化と高速化が進んでいる。
在来特急などを運行する台湾鉄路(台鉄)は昨年12月、日立製作所笠戸工場(山口県)で製造されたタロコ号を導入。JR九州の「白いかもめ」が搭載する振り子技術を採用し、今年2月から樹林(台北県)〜花蓮間で試験運用が始まった。
カーブが多い東部路線だが、振り子技術の投入で平均時速は約15キロアップし、所要時間の短縮を実現した。
試験運転では振り子技術は未使用だが、正常稼働する5月のダイヤ改正以降は、台北〜花蓮間が2時間45分から1時間44分に、台北〜台東間は5時間が3時間39分に縮まるという。
台鉄は2008年までに振り子式列車計48両を導入し、東部を中心に高速化による輸送力の強化を推進する。
経営的にも西部を縦断して客足を奪う高速鉄道に対抗し、東部で利用客の拡大とともに関係業界との連携で新たな市場開拓をすすめ、収益確保を図る方針だ。
振り子式列車はカーブで速度を落とさず、車体を傾けて走るが、その分、車内では揺れを激しく感じる特性がある。
このため、台鉄は乗り物酔いをしやすい人は在来特急を利用するよう呼びかけるが、東部は70年代の日本製客車が現役で走る鉄道ファンにはたまらないエリアでもある。
台北駅では3月中旬からタロコ号開通を記念する駅弁の限定販売も始まった。 (台北 長谷川周人)
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