|
1、中国鉄道の時刻改正
4月18日の改正は、第6回目です。1997年4月1日第1回から始まった改正は、5回目までは、在来線での160km/hを目指して、走行可能路線を増やしてきました。車両も”豪華T列車”や、”Z列車”の新製等、車内のグレードアップも行い、快適に鉄道の旅が楽しめるようになりました。
今回の改正では、
・鉄道といえば、夜行列車でしたが、大量の動力分散型電車投入により、中短距離間の昼間に走るビジネス特急が誕生、また増発され、早朝から深夜まで気軽に乗れるようになりました。上海〜南京間301kmでは、25往復もの和諧号が、突然に走るようになりました。
・200km/h(高速専用新線では、250km/h)の運行で、都市間の所要時間の大幅短縮が実施されています。上記の上海〜南京間は、最速D401で1時間58分。表定速度は153km/hにもなります。ちなみに最高表定速度は、北京〜瀋陽北間703kmを3時間59分で走行するD1とD2で、176.5km/hです。運行区間別の列車本数、所要時間、表定速度を表にしてありますので、ご覧下さい。
・D特急の目玉は、北京〜上海に初めて登場した昼間走行のD31・D32です。
10:50に双方の駅から発車して、20:49に到着します。ノンストップで、1,463kmを9時間59分。表定速度146.5km/h。5〜7月ぐらいでしたら、20:30頃は、まだまだ明るいので、思いっきり車窓の風景を楽しむことができます。
・列車に乗りたくとも、始発駅で、しかも往路しか切符は買えず、復路切符購入には、難儀をしましたが、DまたはZ列車は、全国の主要駅、市内の切符売場で、20日前から、復路や接続列車も併せて購入可能となりました。日本のように全国ネットワークでどこでも買える”みどりの窓口”は、まだ未整備ですが、これは画期的な事です。飛行機から鉄道への利用客のシフトが始まろうとしています。
貨物列車についても、今までの60〜80km/hで、5500t牽引から、120km/h 6000tへと高速化が実施されました。これにより貨物輸送能力は、12%、旅客では18%が向上されています。
2、CRH(China Railway High-Speed)
北京〜上海間の高速鉄道は、リニアから自国開発在来式の350km/h走行に切り替えられたようですが、在来線の高速化は急務で、国際入札が行なわれました。1社のみの落札ではなく、カナダ・ボンベルディア社(CRH1)、独シーメンス社(CRH3)、仏アルストム社(CRH5)、も落札し、一部はを除き、国内での製造と組立てとなりました。これら動力分散は、中国では、『動車組』と呼ばれています。
世界的に有名実績のある高速車両を技術移転して自国で生産し、それぞれの長所を吸収しようとする姿勢は、まさに戦後の日本産業の発展歴史と同様です。
ただ、日本のように優秀な中小企業が育っていない国です。基礎的な知識と経験不足は否めません。”メンツ”が全てと言って言いぐらいのプライド高い中国人です。いかに謙虚になって学べるかが課題です。
3、CRHの運行状況
4ケ国CRHの配置区は、まだ情報不足ですが、CRH1は、広州を起点としてシンセン間に、CRH5は、北京〜ハルピン間等の東北地区、最も多く製造されている”はやて”CRH2は、メインとなる上海〜南京・杭州・蘇州、上海〜北京、北京〜天津、北京西〜石家庄等に投入されているようです。CRH3は、まだ製造が始まったばかりで、不明ですが、CRHでは、最高の運転速度を誇ります。どこへ投入されるか、楽しみです。
4、CRH2の内装
Part1の写真をご覧いただけましたとおり、新幹線に乗っているのと変わりありません。何しろ今までの中国車両にはなかった設備ばかりです。
エピソード1;カギのかからない男性トイレに女性が扉を開けて、絶叫した。
男性専用トイレは、初登場です。びっくりして当たり前だったでしょう。
エピソード2;ほかほかの便座に座って、居眠りをした。
その女性は、今まで列車トイレは、汚くて一度も使用した事がなく感激しすぎたようです。
新設された国内空港では、自動水洗器も珍しくありませんが、列車では初登場かも・・・。お湯もでます。これは、便利だと、乗車記念品に持ち帰ったのも分かります。
赤ちゃんのオムツ替えなんて、なかったでしょう。
トイレのホルダーも便利です。ビルのトイレにも設置されていませんので、これも記念品です。
消火器も設置されていましたから、きっとお持ち帰り品になったと思いますが、使い方が分からないかも・・・。
それにしても、今までの対面式シートから、シートの前出しができ、リクライニングが効き、シートピッチも十分な座席は、2等車でも快適です。中国人は、荷物をいっぱい持って乗車するので、物置スペースが確保できるのはすばらしい事です。荷棚も写真のように満載です。
1つ注文は、洗面所のぬれた手の乾燥器設置です。日本人と違ってハンカチを持つ習慣がありません。レストランにも設置してある所が多くなりました。これは、必需設備品です。川崎重工さん是非ともお聞き下さい。
5、CRH2の編成
CRHそれぞれに共通するのは、食堂車、1両の1等車を含めた、8両固定編成。定員は、1編成、約600人対応。
CRH2のみ、利用客が多い列車は、8+8=16両で運行されているようです。
川崎重工業が輸出、及び技術供与して現地生産をしたCRH2が、最も多く、JR東日本のE2系-1000番代をベースに60編成480両が投入されます。既に37編成が運用に入り、7月1日と10月1日に残りが続々と投入される予定です。
今回乗車した天津→北京では、進行方向に向かって先頭車から8号車になっていました。
当日のD536の編成です。1号車から、Z203301+ZE203302+ZE203303+ZE203304+ZEC203305+ZE203306+ZY203307+ZE203300
今までは、神州号で12両編成。両端が動力車で、先頭車に続く車両が10号車の軟座で、9〜1号車が硬座。いずれも2階建てでした。列車本数は、増えましたが、当然、定員数は、神州号より減っています。朝の混み合う電車だけでも16両編成が欲しいところです。
パンタは、1編成に2台設置されていますが、通常は1台を下げています。T車にパンタがあるのも、面白いです。
CRH5の初期故障が多発しているようですので、ひょっとしたら、もっと増車されるかもしれません。
和諧号の意味ですが、『調和』、和諧社会(調和ある社会・発展)、経済の高度発展を偏重しすぎた事を反省し、接続可能な発展を目指す中国のスローガンとして頻繁に使われるようになった単語だそうです。
さあ皆様、大きく変貌を遂げてきている中国鉄道に乗りに行って見ませんか。
【和諧号車両図面1-4号車.jpg : 69.4KB】
【和諧号車両図面5-8号車.jpg : 72.4KB】
【CRH各車 性能比較.jpg : 84.0KB】
|
|
|