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▼田野城 喬さん:
ここ数日事情により工房が操業停止していてやっと再開しようとしたらリクエストが来ました。先輩のご指名なので仕方なく鉄道企画部門を開店させます。
1.総2階建て車両を導入して床面積を倍増させる案
確かに2階建て車両は一般車よりも定員が増え、定性的には輸送力が増強できます。ただし次のような事情や制約によって倍増というわけにはいきません。
(1)国内のダブルデッカーは台車の上部は平屋部分にするかあるいは2階席にするかのどちらかです。なぜなら在来の鉄道は普通鉄道構造規則に則って建築定規や車両定規が定められており、車両断面の高さは台車のないところで2階建てにするのがやっと、という寸法だからです。それも中央部分の最も高いところを使っての話です。従って総2階というのは現在の台車構造では無理です。
連接構造にすると台車数が半減するので良いように思いがちですが車体偏奇を確保する必要から車体長を短くしなければならず、効果は?ですね。一軸台車の連接だと可能性が出てきますが、大量輸送用の車両に一軸台車では軸重が大きくなりすぎるので、飛行機並みの軽量車体が必要になるでしょう。
LRTにあるような左右独立した車輪を使うと良いかも知れません。ホイールに電動機を組み込み、減速機構を使わずにダイレクト駆動する技術もめどがついています。ただ、安定した高速運転のため、左右の車輪の回転数差を一定以内に管理する必要がありますが、全車輪をモーター付きにすればよいでしょう。
(2)台車の問題をクリアして次は車内の構造です。普通鉄道構造規則では通路の天井高さは1800mm(記憶に間違いなければ)と定められており、2階席は車側寄りは車両定規の肩のR部分に掛かり、通路高さが確保できません。従って現行ダブルデッカーにはロングシートの2階席は存在しません。
一方、階下席は平天井にできるので、ロングシートが可能となります。事実、某電鉄のダブルデッカーを計画したとき、私は階下席の窓からの景色が期待できないだろうと考え、サロン風の豪華なロングシート席を提案しました。
なお、現行のダブルデッカーは一般車と同じ床高さの部分に出入口を設ける必要があり、車内に階段を設けますが、ホームも2階建てでこの階段が不要ならその分の床面積を客室に使用することができ、こちらはプラス方向です。ただしこれも万が一の際の避難経路をどうするかという難問を抱えます。
以上のように仮に総2階建てができたとしてもアメリカのDSTみたいに普通の通勤車を単に二つ積み上げた構造にはできないでしょう。何せ彼の地はシカゴから西はトンネルも架線もないので車両定規は青天井?
でもこういうプロジェクトは私は大好きです。(どこか雇ってくれないかしら)
2.「3線運行」についても書こうとしたけど、色々書いてしまって疲れたので勝手ながら今日はこれでおしまいにします。ところで弊橋本工房では塗装待ちの車両が徐々に増えてきました。近日中にこれらの車両をこの掲示板でご紹介しましょう。
そうそう、5月18日の運転会が楽しみです。ところが、参加申し込みはまだまだ少ないそうです。車両を持ち込まなくてもぶらっと来るだけでもいいじゃないですか、是非お申し込みを。事務局に成り代わってお願いしますよー。
それにしても関西では未だに旅客減少が続いているというのに、東京は一極集中のおかげでウハウハ状態のようですね。ごはんの声が掛かりました。今日はこれで。
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