【19716】ドイツ風的 中国蒸気機関車の撮影の旅 Part8  北台製鉄所 その1

第7日目(訪中39日目) 3月28日


▲ 昨夜ホテル(北鋼賓館)にチェックインしたのは夕食後でしたので、真っ暗で周囲の状況が全くわかりませんでした。
7:18、朝食後に部屋の窓の外を見ますと、右手に工場への門があって、通勤バスがひっきりなしで入って行きます。左手には、鉱石を満載した大型トラックが、列をなして並んで入場時間待ちでした。


▲ 7:42、バスに乗って中国国鉄北台駅の駅前跨線橋に到着しました。出口前では、朝食屋台がたくさん出ています。
7:50南芬始発の6314
(12両編成)が到着しました。満員の通勤客がいっせいに降りてきます。すべて北台製鉄の従業員です。

▲  発電所が駅正面にある北台駅ヤード、北台製鉄専用線も並行しています。6314次は、北台で折り返して6315次として、8:19に出発します。満員の乗客は。夜の勤務を終えて帰宅する通勤者です。

【 北台製鉄所 】
戦前に南満州鉄道の出資で設立した鞍山製鉄所が有名ですが、 北台製鉄所は戦後1955年に、中国独自で建設されました。4つの高炉を持ち、製銑から製鋼、鋳造、圧延の工程を経て鉄鋼製品まで製造しています。
この道の専門家であるO氏は、どうも鉄線を製造しているように思える。ただ高炉は小さく、蒸気機関車が使用されている現状からも分かるように設備自体も前世紀のものです。近々新しい高炉ができるようなので、その時点で蒸気機関車も終焉を迎えるのだろうと言われました

ここには、中国で唯一の蒸気機関車牽引のスラグ捨て列車が残っていると言われています。単独で行く事は不可能で、許可を取るのも難しく、中々ルートが見つからずでしたが、今回ドイツのTANAGOからの撮影ツアーでは企画できたとの事でしたので参加しました。



▲ 全員、ヘルメットをかぶって工場内へと向かいます。日本では、安全性を最優先しますので、見学コースも決まっていて、自由行動は絶対にできませんが、ここでは全くのお構いなしです。目指すは、スラグ捨て場です。

▲ 8:36、初めは、みんなで一緒に奥の方へ向かって進んで行きました。
O氏の説明によると、鉄鉱石コークス石灰石が混ぜられて高炉で溶解され銑鉄スラグに分けられます。
スラグは軽く上部に、銑鉄は下部に溜まるので、上の穴からスラグを、下の穴から銑鉄を流し取ります。
受けるのは、お椀の形をした取鍋車です。高炉の左右に線路が敷設されていて、右はスラグを、左は銑鉄を取鍋車に受け入れます。1,500~2,000℃の溶解したスラグ銑鉄を入れるので、取鍋には特殊な耐熱加工をしてあります。この 取鍋車を牽引するのが、上遊型蒸気機関車です


▲ 高炉を抜けるとヤードになっていました。SY1191に続いて、1560号機が動き回っていました。

▲ 9:05、みなさんにくっ付いて行きますとスラグ捨て場に着きましたが、もうもうと水蒸気がたちこめています。しばらく見ていると、前へとスラグ列車は進み、取鍋を傾けて、ドロドロのスラグを捨てました。釜の中は全てドロドロではなく、最後は取鍋をガタガタと振って表面が固まってしまったスラグを落とします。




▲ 当分、スラグ捨てがないとの事なので、取鍋車への流し込み場に戻って、
落ち着いて撮ってみました。

▲ 10:33、反対側は、 銑鉄の流し込みが行われていました。こちらは、ヤードから先にある製鋼所へと運ばれて、炭素を除去して、ニッケル等の他の金属を混ぜて粘りあるに製造されます。

▲ 11:03、次のショーが始まりましたが、全部がドロドロはありません。最後は揺すられてドスーンです。O氏が以前に見たショーは、塊はなく生々ドロドロだった。築堤から流れ落ちる光景は、噴火した火山の溶岩のようだったと語っていただきました。


▲ 12:01、ぼちぼち昼食に行くのかとバスに乗りましたら、降ろされたのは珍しく鉄橋の袂です。ドイツ人の目当ては東ドイツ製のELです。氷が溶け出した本溪の太子河にかかる鉄橋を長編成の鉱物列車が行きます。多分、満鉄時代に建築されたものでしょうね。昼食は、肉饅頭とビールが配られました。


▲ 13:10、再び 北台製鉄所へ戻りました。まずは、 取鍋車への流し入れの撮影ですが、適正なシャッタースピードと絞りが分かりません。
花火を撮る時は、三脚にカメラをセッティングして、ASA200で、シャッタースピード2~5秒、絞りはF10前後が目安ですが、このシーンは未経験です。

撮りながら、モニターを見て確認する事から始めなければなりませんでした。自分としては、シャッタースピード1/4~1/8、絞りはF7.1程度かなと現場判断をしました。
しかし、三脚はバス中です。手持ちでの撮影です。 シャッタースピード1/8程度で手ぶれしないのには自信がありましたが、1/4となると結構きついものがあります。また昼間ですので、例え三脚があっても露出が絞りきれません。夜間撮影でのセッティング準備のために、試行錯誤を強いられました。



▲ 製鉄所の中では蒸気機関車が主役です。SY946、1075、1191、1561号機たちです。


▲ 15:22、3度目のスラグ捨て作業を見ました。最初に水蒸気がたち込めて見えなかったのは、水が張ったプールに直接に1,500℃のスラグを入れているためです。阜新のフライアッシュの粉塵には及びませんが忽ち水蒸気が上がります。
これを水砕スラグと言い、乾かしてからセメントの混ぜるそうです


▲  水砕スラグ が終ると、列車は前進して、残ったスラグを捨てます。

▲ こちらは、砕石スラグと言い、砕いてから道路舗装前にひく砂利として使用されるそうです。
この作業を努めたのは、1566号機でした。作業時間は、約30分でした。


▲ 16:48、スラグ入れに戻りますと、活発な作業が始まっていました。SY10751561号機です。


▲ 一旦バスに戻って三脚を持ってからの夜撮です。制限時間は、門が閉まる6時50分までと決められています。どんな写真に仕上がるかは、撮ってみないと分かりませんが、私は長年の感でシャッタースピードと絞りを決めてのマニアルでのぞみます。思った以上の写真になることは稀ですが、1年に1回くらいは、「やったね」があります。
しかし、ここのように、明るい場所と暗い場所の明暗差が大きい所は、特に撮り難いですね。


▲ 今日は、夜撮もあって、夕食は8時を過ぎました。皆さん、お腹はペコペコです。ビールを飲んでいたら、食べるものはなくなっていました。こんな時のために、O氏と私はいつも麺を特別に追加注文していますが、これもドイツ人に食われてしまいました。

この日に出会った蒸気機関車は、上遊型448、946、1075、1191、1560、1561号機の6両でした。結構いましたね。

ドイツ風的 中国蒸気機関車の撮影の旅 Part8  北台製鉄所 その1” への5件のコメント

  1. 高炉の傍まで撮影に行かれた「ぶんしゅう氏」の勇気、すごいなぁーと思います。
    老人は製鉄について興味を抱いています。イギリスへ行く機会を得た時、一番に行きたいところとして「シェフィールド」を上げました。谷間の町に沿い製鋼工場の跡を見ただけでしたが、学生時代、黒松先生の「工業経済」で知った地へ先ず行きたいと思ったのです。鉄鋼こそが鉄道車両、施設を造る原料だったのですから、車両メーカーはなかったですが、先ずその大元はどんな町か、それが知りたかった訳です。その次が20世紀末に復活した電車でした。

  2. KAWANAKAです。
    いやあ、すごいね。先日のフライアッシュ(FA)を捨てるところとか、スラグ投棄とか絶対に見られない(日本ではFAは利用されるのでこんな投棄は絶対見られない)ので、羨ましい限り。高炉の現場ではトーピッドカー(魚雷に似ているので銑鉄を運ぶ貨車の呼称)に無線のDLというのが日本の口径で、遠く離れて見るだけですから、大枚叩いても見る価値はありますね。
    それにしても、ものすごい収穫ですね。もう1回、神足でレクチャーを受けないといけません(マルーン氏も如何?)。
    仕事中にこんなことをしてはいけません。またお邪魔します。

  3. 乙訓の老人 様
    いつも、コメントをいただきましてありがとうございます。
    高炉や取鍋の傍は、やはり熱さが伝わってきました。それと粉塵も立ち込めていますので、喉の弱い私はマスクが外せませんでした。それと小さい目ですが、粉塵が入って痒くなりますのでサングラスも必需でした。
    ドイツ人は、マスクをする習慣はなく、初めにお会いした時に、O氏に「この人は病気なのか?」と、不思議そうに聞いていました。
    O氏は、長年、製鉄所にお勤めでしたので、慣れておられましたが、ドイツ人は元々体質がアジア系と違っているのか、問題にしていませんでした。通訳のお嬢さんは、さすが参ったのか、薬局でマスクを買って付けていました。
    昔は、日本でも製鉄所には蒸気機関車が走っていましたね。ピクで見た記憶があります。O氏は、製鉄所内で蒸気機関車を撮りたかったが、入社する2年前には終っていたと、残念がっておられました。鉄ちゃんですから、製鉄に憧れられたようです。製鉄と鉄道は、切り離せらられないものですね。

  4. KAWANAKA 様
    コメントをいただきましてありがとうございました。
    フライアッシュは、業界用語で、「FA」とも呼べるのですね。
    今回は、FAとスラグ投棄が目玉でしたので、このツアーに参加しました。実際に初めて見て感じてびっくりしました。これも、公害や大気汚染無視の中国だからできるんでしょうね。
    しかし、中国でも、最近は環境問題が取り上げられるようになってきたので、こんなシーンを見られるのも数年だろうと思われます。
    スラグ投棄は、亜硫酸ガスが発生しますので、近くでいると吸い込んで、倒れてしまう危険があると、O氏より注意を受けていました。命がけの撮影でした。
    実は、FAの決定的写真を撮りたくて、3日後の19日にはまた大地へと向かいます。また1ケ月近く、放浪しますので、オモシロそうな、ご報告がしたいなあと思っております。

  5. KAWANAKAです。
    光景を口径と間違えました。
    もう1度行かれるなら、アドバイス。FAは微粉炭ボイラの飛灰で、粒子は非常に細かいです。
    小生もボイラに入ったときカメラをいくつかお釈迦にしました。メリケン粉より細かいかなあ。ということで粉塵に気をつけてください。翌朝突然カメラが全く言うことを聞かないと言うことがあります。まれに戻りますが、防塵のカバーがないときは近寄らないことです。
    それからFAは熱い場合があります。
    工場の現場で使う簡易マスクをしたほうが良いですよ。安く売っています。

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