2022年7月、デビュー間もなかった近鉄特急「あをによし」に乗車しました。
所用で関西を訪れており、ほぼ一日予定が空いていたため、試しにDRFCの同期と後輩に声をかけてみたところちょうどよい人数が集まったので、あをによしの往復乗車をすることになりました。
だいぶ時間の経ってしまったレポートのため、現在では異なる点もあることをご承知おきください。

前面に負けず、側面も高級感を醸し出している。塗装と帯の色がよく似合うと思い撮影した
あをによしは、2022年4月から運行を開始した近鉄の観光特急で、新スナックカー12200系を改造した特急型車両、19200系を使用しています。
当時はコロナ禍で観光に大打撃を受けていた頃もあり、塗装から座席の形に至るまで多くのこだわりを詰め込んだ様子がテレビやYoutubeで紹介されていました。PRのおかげもあってか、運行開始直後から好評のようで2022年12月からは1往復が増発されました。
19200系は4両編成で、車両性能は12200系と同一です。
車内は奈良方より1・3・4号車はツインシート、2号車はサロンシートとカウンターが設けられています。特にカウンターでは軽食やビールの提供があり、往年のスナックコーナーが大出世して復活したかのようです。
奈良方先頭車のク19301(元ク12356)はお召列車として用いられ、昭和天皇やエリザベス女王夫妻がご乗車された車両でもあります。
あをによしツインシートに乗る
京都駅でDRFCの面々と待ち合わせてからホームに入ると既にあをによしは入線していました。暗めの紫をまとった車体、前面に大きくあしらわれたエンブレムに思わず見入ってしまいます。近鉄特急は明るいカラーで速そうなイメージの車両が多い中、あをによしは重厚な雰囲気を出していて、急いで走る必要がない観光列車らしい色合いだと思いました。
新スナックカーからは大きく変貌した車体ですが、ヘッドライトの位置や引き戸、方向幕など、かつての面影が意外と残っています。ちょっとした宝探し気分で原型の面影を探してしまいます。
車内は新車と見間違うほどの大改造が行われています。天井は落ち着いた色合いの中に様々な模様を散りばめていて、床には絨毯が敷き詰めてあります。車内は暗すぎず、明るすぎない程よいバランスとなっています。

一般特急とは全く異なる存在感が目を引く
往路はツインシートに乗車。テーブルを挟んで対面で座るボックス席で、こだわり抜いた座席は構造、角度ともに絶妙で、座ってみるとプライベート感が高くなっています。テーブルに置かれたユニークな造形の青いライトが目を引き、夜間や近鉄奈良駅付近の地下区間ではより綺麗な灯りを楽しめます。

ツインシート。窓に向けて配置された座席と大きなテーブル、青いライトが特徴
京都駅を発車すると右手には東寺が見えてきます。近鉄や新幹線から見える東寺は、京都に来たことを感じさせるこの上ないランドマークだと思います。私個人としては、竹田駅を通過した直後にほんの一瞬見える「近衛天皇 安樂壽院南陵(あんらくじゅいんのみなみのみささぎ)」も気に入っています。
もちろん、興戸を通過したら進行方向右側に注目し、京田辺キャンパスの方向を見ながら盛り上がりました。

興戸を通過した直後の車窓。歩道橋に同志社前駅、山の上のキャンパス(写真に写ってるのは同志社女子大ですが……)に一同懐かしい気持ちに
あっという間に近鉄奈良駅に到着。駅で記念写真を撮ったり、烏丸線10系との並びを眺めました。
下車後は駅前の商店街のお店で昼食。コロナ禍を経て、久しぶりに皆で顔を合わせた時間を過ごせました。奈良に来たのは記憶にある限り、一回生のときに取っていた芸術学の講義の課外講座以来、10年ぶりでした。
暑い日だったので、昼食を食べてからは駅周辺の奈良公園や興福寺を軽く見学して、早々と近鉄奈良駅へ避難しました。

近鉄奈良駅にて
サロンシートと復活スナックコーナー?を楽しむ
復路は2号車のサロンシートに乗車しました。サロンシートは定員4名のセミコンパートメントとなっています。隣の区画とは高めの仕切りで区切られていて、完全個室ではないものの空間を独占している雰囲気を十分感じることができます。座席はツインシートとは異なるタイプで、こちらもよい座り心地でした。天地方向に大きく拡大された窓は見晴らしがとても良く、特に平城宮跡を通過する際のパノラマは見事でした。

二号車の通路

サロンシート。画像ではややわかりにくいが、大きな窓から見る景色が素晴らしかった

帰りはカウンターでスイーツを買い求めました。アイスコーヒーとバターサンドのセットで、特にバターサンドは手軽に食べられつつも手抜かりのない味を楽しめました。一方でアイスコーヒーは市販品の提供で少し残念でした。
ケーキセットが出てくる近鉄の青の交響曲と比較するとより軽食寄りのメニューで、乗車時間に見合ったものを提供しているのだなと思いました。カウンターにはビールサーバーがあり、クラフトビールも提供していますが、もう少し時間をかけて飲みたかったのでこちらは大阪難波発着便での楽しみに取っておくことにします。
乗車時間は片道わずか35分で、往復してもなお物足りなく感じました。スイーツを食べ終わるともう終点に着いてしまう印象でした。乗り鉄の感覚では不足感は否めないものの、京都駅で新幹線を降りてから直接あをによしに乗車すると、その短い乗車時間で奈良観光への機運が一気に高まるのは間違いないでしょう。

京都駅に停車中の「あをによし」方向幕が懐かしい
京都駅であをによしを見送った後は、1番線にあるカフェ「チャオプレッソ」で過ごしました。
私が学生の頃には今出川キャンパスの明徳館にも出店しており、図らずも学生時代の味との再会を果たしました。
期間限定のあをによしカプチーノを注文しました。あをによしのロゴマークや19200系がラテアートで描かれていました。

やっぱり長い時間乗りたい
京都から奈良の一往復、とても楽しかったですが、できることなら大阪難波発着の便でより長い時間乗りたいものです。近鉄奈良駅でのスイッチバックや大和西大寺駅の通過など、鉄道ファンとしての見どころも気になるところです。夕方の京都発の列車に11月から1月にかけての日没が早い季節に乗車して、石切付近で大阪平野の夜景を眺めるのも一興かと思います。
種車の車齢が心配ですが、これからも人気の列車として長い活躍を願っております。


寺田咲築様
私もデビュー間もない5月3日に奈良~京都間でOg元会長と乗車しました。
最近の近鉄のネーミングセンスは抜群です。「かぎろひ」、「あをによし」、「青の交響曲」といった難しい言葉を子どもたちに記憶させることができるのですから。
仰せの通り、乗車時間が短いのであっという間に感じました。あをによし自体を満喫するならば、やはり、京都~大阪難波間で乗るのがよさそうです。
私の地元、京都線に特化した観光列車が走ったのは正直嬉しかったのですが、一方で、WEST EXPRESS銀河のように期間を設定して、伊勢志摩や名古屋に足を運ばせるのもよいのではと思い始めました。
いずれにせよ、あをによしは乗る価値が大いにある列車です。未乗の方はぜひご乗車くださいませ。
これまでの観光特急と比べると近鉄にしては攻めた外観でドキドキしたものでした。
でも実物はすごく良い雰囲気で、とても気に入りました。色合いが難しいので撮影者泣かせです……
名古屋や伊勢志摩から奈良に行くあをによし、とても面白そうですね。休日はなかなか難しそうですが、いつの日か実現してほしいものです。
僕の目標は京都発の最終便で夜景を見ることです。車内でいただくクラフトビールも美味しいことでしょうね。
京都駅にて
寺田咲築様
初めてコメントさせていただきます。
あをによし良いですね。ちょうど私が2回生の頃デビューで、この年は春学期に週一で田辺に授業を受けに行っていたので、その帰りに何度か見かけました。まだ乗車したことはないので、関西に帰省するタイミングで乗りたいと思います。
はじめまして。コメントありがとうございます。
学生の頃に登場したとのこと、自分のときはしまかぜ登場で盛り上がっていたのを思い出します。
奈良への観光に組み込むと良い感じに楽しめます。ぜひグループ旅行で乗っていただきたです。