四半世紀ぶりにタイに行った(その2)

(ホワランポーンから寝台車に乗る)
ホワランポーンからは2月1日の夜、寝台列車の乗るので、いったん出てもう一つのバンコクのターミナルであるウォンウィエンヤイ駅まで行き、メークロン線に乗ることにする。また地下鉄からBTSウォンウィエンヤイまで行き、国鉄駅まで歩くのだが、何しろ暑い。タイは冬時期乾季にあたり、雨にあまり当たらないのはいいのだが、真夏そのもの、しかも都心の渋滞の横を排気ガスを吸いながら歩くので結構こたえる。しかもBTS駅の出口を間違ってしまったので、これでかなりのロスタイムとなってしまった。始発駅をゆっくり楽しむことも出来ず、駆け込み乗車で汗だくになったが何とか間にあった。▲今回は乗らなかった非冷房の2等座席車

ウォンウィエンヤイからは先ずマハーチャイまで東線に乗る。この後は、渡し船でター・チン川を渡り、対岸のバーン・レーム駅からメークロン線の西線に乗り換え終点のメークロンをめざす。乗り込むと結構混んでいて、何とか車端のトイレの向かいのBOXに座席を確保することが出来た。車両はキハ47をそのままステンレス化したようなディーゼルカーで、両扉2ドアの直角シートでドア付近はロングシートになっている。非冷房で1段下降窓は全開、しかも車端の貫通扉は開け放たれ、幌はなく簡単な安全柵しかないので風圧と騒音が半端ない。バンコクの都市部は結構広いと実感させられる景色が続く。並行する道路に車はなかなか途切れず、車だけでなくトゥクトゥク(オート3輪タクシー)やソンテウ(トラックの荷台にベンチシートを渡した小型乗り合いバス)の姿も見える。だんだん景色にも飽きてきて、夜行の寝不足もあってうとうとしていると終点が近づいてきたのか、市場の中に入り込んでいくようである。露天商たちが線路の上にかかる遮熱用のパラソルを退けていく。▲マハーチャイ駅周辺

▲マハーチャイ駅周辺、列車が走り去ると線路は露店と化す

 

▲大阪市建設局の渡船もこんな感じではなかったか

▲おおっと、これは大阪市の渡船

 

これは鉄道も露店の方も毎日の景色のようで、珍しいのは我々外国人だけのようである。マハーチャイ駅の周辺を物珍しさでゆっくりと見て回ってから渡船場へ向かう。当たり前だがまさに渡船で大阪市の木津川とかの渡船と同じく人だけでなくバイクや自転車も運ぶのだが、大阪市と違って有料だった。話しが逸れるが、大阪市営の渡船は道路の扱いなので無料で運行されており、最近は観光資源としても注目されている。渡船からバーン・レム駅まで少し歩く。しまった。ちょうど列車が出てしまった直後だったようである。駅はもぬけの殻で誰もいない。次の列車まで2時間も開いており、待ってから終点のメークロンまで往復すると、ホワランポーンを20時に出る特急に間に合う自信は無い。残念だが諦め、もと来た路線を引き返すことにした。

▲長駆バンコクからシンガポールまで直通するイースタンオリエントエクスプレスが停まっていた。いつか乗ってみたいものである。

▲中国長春製の新型寝台特急

▲中国長春製寝台特急の車内

▲中国長春製寝台特急の車内

▲中国長春製寝台特急の食堂車

▲禁酒の表示、これは痛い

▲このごはんにアルコールがあればいいのに

 

ホワランポーンからいよいよ20時発の25列車に乗る。終点のノーン・カーイには翌朝6時45分に着く予定である。定期運行の寝台特急は、日本ではもはや東京からのサンライズ出雲・瀬戸しかなく、関西在住の筆者にとっては遠い存在である。元ブルートレイン車両でないのは残念だが、中国中車長春軌道客車股份有限公司のステンレス車体は、就役してまだ3年で整備も行き届いていることもありピカピカである。2等寝台は、オロネ10のような開放の2段寝台、プルマンタイプである。オロネ10には乗ったことがなく、これに近いタイプは583系電車しか乗ったことがない。583系は、天井がつかえることを除けば、下段はなかなか快適であったと記憶している。パンタグラフ下は、ハネであるが2段になっており、人気があるのか、ついぞ取ることが出来なかった。ロネのように絨毯敷きではなく、茶色の床はリノリューム張りだろうか。モケットの深紅は派手な色だがクリーム色の内装に合っているようだ。照明も明るく、やはり新しいのはいいと思う。20時ちょうどに列車は動き出す。発車ベルやアナウンスもない。いやアナウンスはあったかもしれないが、そもそも何か言っていても解らない。発車は、連結器を引き出すような衝撃は全くなく滑りだすようである。ホームを離れた時、窓にくぎ付けになった。これから運行に就こうとする元ブルートレイン車両とすれ違ったのだ。まだ活躍しているようだ。しばらくすると、係員が寝台をセットしに来た。上段寝台を降ろし、マットを敷いてシーツと枕カバーをかけ、白い綿毛布を並べる。ミネラルウォーターのペットボトルも配られた。見ていて実に手際がよい。当たり前だが、浴衣は無い。ただカーテンは少し華奢で、隙間からのぞき込めば寝姿が見えてしまう。日本では受け入れられない仕様だと思った。
寝台がセッティングされたのを見届け、食堂車に行く。この中国長春製造の食堂車は、在来型の食堂車とは違い、車内で火力調理はしないので、電子レンジで加温する料理しか供食されない。味気ないと言ってしまえばそれまでだが、今や食堂車が連結されていること自体が称賛されるべきと思う。豚肉の炒め物、グリーンカレー、卵スープ、ごはん、パイナップルの定食で190バーツ(約700円)なので安くはない。実は閉口したのが、車内でのアルコール禁止であった。これは外国人といえども誤魔化せない。タイ語が読めなくとも、ピクトグラム(絵文字)で、はっきりとアルコール禁止がわかるようになっていた。かつてはアルコールOKだったのだが、2014年、飲酒した乗組員による強姦殺人死体遺棄事件が起こってから鉄道車内でのアルコール持ち込みと飲酒が禁止されたのだという。味気ないがこれはどうしようもない。その代わりにもならないが、ココア味のフローズンドリンクは量も多く美味しかった。ただ冷房がガンガン効いているので、冷たい飲み物も過ぎると、きんきんに体も冷えてくる。台湾でもそうだが、南国の冷房車は、クーラーがよく効いていることを誇るかのように冷やすので、長袖がないと困るくらいになる。日本でもかなり以前は、鳥肌が立つくらいに特急の車内が冷えていたことを思い出す。食堂車から戻り、洗面で歯を磨いてからベッドに体を横たえる。列車内で歯を磨くのも、ふかふかしたマットレスの寝台車で寝るのも快適で楽しい。飛行機での寝不足もあってか、目が覚めたら早暁の平原を走っていた。朝、洗面で顔を洗う。懐かしい体験だ。洗面は2つあり、手や顔などを拭くためのティッシュペーパーが備え付けられており、トイレも垂れ流し式でなく、飛行機のようにバキュームで吸い込むタイプで臭いもしない。最新式なだけあって中国長春の車両で構成された特急列車は、他の列車よりもワンランク上等な感じがした。

▲清潔な洗面台

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9 thoughts on “四半世紀ぶりにタイに行った(その2)

  1. ブギウギ様
    タイは2度ほど行きました。優秀な鉄道案内人に連れられてついて行っただけですからどこをどう回ったのかよく覚えておりませんがメークロンだけは覚えています。現地は観光客が多いそうですが少しおとなしくなったのかと感じました。あれは世界遺産ですかね。

  2. 準特急様
    コメント有難うございます。今回、メークロン線には行けず宿題になりましたが、いつ行けるか全く判りません。今回行った時、既に中国の団体ツアーは禁止されていましたので、そのせいかどうかは解りませんが、観光客は少ないように思いました。

  3. ブギウギ様
    失礼しました。車両の両側に店のテントがありメークロンと思いましたが、少しすっきりした感じで間違えたようですね。ボケが進行しているようです。

  4. 準特急様
    市場と列車の混在が際立っているのはメークロン線の方のようです。よく雑誌などで紹介もされています。ここは1日4往復しかないので行き難いです。マハーチャイ線なら1時間毎に列車があります。

  5. ブギウギ様
     テレビや雑誌で目にした、市場の中を列車が走る、それもギリギリで。実感させて貰いました。
     列車の車内を見せて頂いて有り難いですね。なかなか車内写真は目にすることが出来ないので・・・
     非冷房とはいえ、立派な気動車ですね。下降窓を下げて市場で買い物が出来たりして!?
     中国製寝台列車も成る程です。食堂車と提供される食事の写真を見ましたら、ぶんしゅうさんの食堂車の写真を思い出しました。
     アルコールが駄目とは!これはきついですね!!!

    • マルーン様
      仰せの通り、見た目はステンレス車体で近代的なのですが、路盤が悪いのか乗り心地は最悪でした。寝台特急は快適な乗り心地でしたので、よろしくないのは支線だけかも知れませんが。

  6. ブギウギ様
    2012年12月、準特急さん、ぶんしゅうさんほか計7名でノンカーイまでの夜行寝台に乗車しました。食堂車での飲酒が出来た時代で、ぶんしゅうさんと瓶を何本も空にしたのが思い出されます。準特急さんは、寝台車におられました。

    • クモハ73106東ウラ様
      コメント有難うございます。楽しそうな様子、またご一緒させていただきたく存じます。寝台も一等車のようで羨ましいですね。ノンアルコールビールなら置いてあったので飲んだのですがトホホでした。

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