北海道の旅から
しばらく休んでいた「窓から」シリーズ、再び続けます。座ったままで一歩も歩かず写した超安易な撮影ですが、車両だけでなく、何気ない周囲の光景が、雄弁に時代を語っています。夏にちなんで、涼しい北海道での一幕を。
▲いま北海道の鉄道情報のひとつは、留萌線の廃止だろう。さらに苦しい状況に陥ったJR北海道が、留萌本線留萌~増毛間の鉄道事業廃止を発表した。同区間は大正10年に開業し、これにより留萌本線深川~増毛間が全通した。当時は留萌港からの石炭、木材、海産物の積み出しが盛んで、それらの物資の輸送で栄えたという。だが、石炭産業の衰退、沿線過疎化により鉄道需要が落ち込み、貨物輸送、急行列車も廃止となった。今回の留萌~増毛間はとくに利用が少ないと言う。さて、この写真は留萌線秩父別駅、今回は廃止を免れた深川-留萌にあり、列車は幌延発札幌行き急行「はぼろ」、キハ2716先頭の4連、当時、運転体系は深川-留萌-幌延と、留萌線、羽幌線が一体となっていた。時刻表も同様で、廃止される留萌~増毛は盲腸線扱いだった。まだ石狩沼田からは札沼線が、恵比島からは留萌鉄道が出ていた時代だ。「留萌」は、線名・駅名の表記は「留萠」だったが、平成9年から市名などに合わせて「留萌」に変更している(昭和43年9月)。