窓から写した駅・列車 -12-

北海道の旅から

しばらく休んでいた「窓から」シリーズ、再び続けます。座ったままで一歩も歩かず写した超安易な撮影ですが、車両だけでなく、何気ない周囲の光景が、雄弁に時代を語っています。夏にちなんで、涼しい北海道での一幕を。
窓から・北海道 (2)いま北海道の鉄道情報のひとつは、留萌線の廃止だろう。さらに苦しい状況に陥ったJR北海道が、留萌本線留萌~増毛間の鉄道事業廃止を発表した。同区間は大正10年に開業し、これにより留萌本線深川~増毛間が全通した。当時は留萌港からの石炭、木材、海産物の積み出しが盛んで、それらの物資の輸送で栄えたという。だが、石炭産業の衰退、沿線過疎化により鉄道需要が落ち込み、貨物輸送、急行列車も廃止となった。今回の留萌~増毛間はとくに利用が少ないと言う。さて、この写真は留萌線秩父別駅、今回は廃止を免れた深川-留萌にあり、列車は幌延発札幌行き急行「はぼろ」、キハ2716先頭の4連、当時、運転体系は深川-留萌-幌延と、留萌線、羽幌線が一体となっていた。時刻表も同様で、廃止される留萌~増毛は盲腸線扱いだった。まだ石狩沼田からは札沼線が、恵比島からは留萌鉄道が出ていた時代だ。「留萌」は、線名・駅名の表記は「留萠」だったが、平成9年から市名などに合わせて「留萌」に変更している(昭和43年9月)。

窓から・北海道 (1)こちらは昭和44年9月限りで廃止された神居古潭を通過する札幌発網走・名寄行き急行「大雪」「なよろ1号」。札幌圏から網走方面に向かう優等列車は、個別に愛称が与えられていた時代で、「大雪」はそのひとつだった。その後の昭和43年10月改正で愛称名が統合され、「大雪」は一挙に5往復になる。神居古潭は、石狩川の渓谷のなかの駅だったが、電化、別線化により廃止される。周囲に人家もない寂しい環境だが、準特急さんは、降りて写されたと言うからさすがだ(昭和43年9月)。
窓から・北海道 (8)函館本線石倉駅を通過するD52204〔五〕が牽く上り貨物列車、函館-長万部は、単線、複線が入り混じり、列車本数も多いから各駅で交換があった。初めて渡った北海道で見たC62、D52の大型蒸機は、最初は何か違和感があった。C62は当時から雑誌などで書かれて刷り込まれていたから、割とスンナリ受け止められたが、D52だけは、何回行っても、北海道には不似合いな感じがしていた(昭和44年9月)。
窓から・北海道 (3)片や北海道の定番、9600が牽く貨物列車。宗谷本線歌内駅での交換シーン、北海道へ行けば、どこでも見られたシーンだ。牽引の59689〔稚〕も、切り詰めたデフだから、よけい北海道らしい。当時は花の咲き乱れる、手入れの行き届いた有人駅だったが、いまは、もちろん交換設備も撤去された棒線の無人駅になっており、駅舎は車掌車を再利用した貨車駅になっているらしい(昭和43年9月)。

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