早回り ヨーロッパのトラムめぐり 〈2〉

ベルン(Bern) スイス
スイスのほぼ中心に位置するベルンは、スイス連邦の首都です。と言っても人口は、13万人程度、中世の街並みを残す旧市街は、ユネスコ世界遺産に登録され、シンボルである時計塔や、古いアーケード、点在する数多くの博物館・美術館などがあります。こんな、こぢんまりとした古い都にも、トラムが走っています。
ベルンの中心、旧市街地のメインストリート、シンボルの時計塔が見えるマルクト通り(Markt-gasse)を行く、ベルン交通局の真っ赤なトラムとバス。

ベルンの市内交通は、ベルン市交通局(SVB:Stadtische Verkenrsbeeriebe Bern)によって、トラム、バス、トロリーバスが一元化されて運営されている。トラムの規模としては、ベルン中央駅から放射状に5系統があり、バス、トロバスが補完している。ヨーロッパの各都市に比べて規模はコンパクトだ。スイスの首都だけに流入も多いはずで、単純に人口だけで判断はできないが、日本で人口10万人台の都市に、これほどのインフラがあるとは考えられないことだ。また、私鉄のRBS(ベルン・ゾロトゥルン地域交通)の高床式のSバーンが一部路線に乗り入れている。
旧市街マルクト通りは、歩行者、トラム、バスの専用道となっている(規制を無視しているのか、時折、自動車も通る)。昼食を挟んだ2時間程度の滞在で、時計台を中心とした、限られた地域を回っただけだった。

時計塔のあるザイクトローグ(Zytglogge)交差点でレールはT字路になっていて、電車は左折する。複雑なトロリー線が空を覆う。訪れたのは土曜日で、通りは、近隣からの買い物客や旅行者で埋め尽くされる。
レール上は、トラム、バス、トロバスが共用している。トロバスは2車体連接、レール区間は、トラムと架線も共用で、トラムと分かれると、独自の架線区間に入る。
ザイクトローグ(Zytglogge)交差点では、トラム、バスが二重停車して乗降扱いする。車体色の赤は、JR九州が好む、濃い赤で、中世の街並みによく映える。形式別で見ると、これが“600系”で7車体連接、ほとんどがこの形式だった。
バス車内から写した郊外区間では、“700系”が見られた。これも7車体連接。
“BAUHAUS”の広告があるのは、いかにもドイツ語圏のベルンのトラムらしい。

ベルンのトラム・トロバス・バスの路線図。撮影の旧市街地付近を示す。色帯がトラム、グレー帯がトロバス・バス(ネットより転載)。

 早回り ヨーロッパのトラムめぐり 〈2〉」への9件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
    ベルンのトラムと時計台の写真、45年前の写真展のY先輩の「ベルンの雨」という作品がありました。先日の近鉄乗車会でY先輩達と喋っていてこの写真の話が出て、思い出しました。風景は全く同じですが、車両はさすがに新しいものですね。

  2. この話を聞いて思い出しましたよ。たしかにYさんが、45年前の学内の写真展に出展されていました。“ベルンの雨”というタイトルが頭の片隅にありました。写真はたしか時計塔の前を行く路面電車で、当時ですからモノクロ写真でした。45年前のことを思い出しました。Yさん、これを機会に写真を見せて欲しいなぁ。

  3. 総本家青信号特派員様
     ご無沙汰しております。早回り ヨーロッパトラムの旅 興味深く拝読しています。
     たまたま、先日、渡欧の折にベルンに立ち寄りました。ザイクトローグ(Zytglogge)交差点で右にまわる系統が工事中でバス代行となっていました。かなり長期の工事のようで、総本家青信号特派員が訪れた時にも同じ状況ではなかったか、と拝察します。記事中にマルクト通をバスが走っていると書かれていますが、通常はバスは運行していません。おそらく、電車の運行本数も少なかったと思われます。通常は、ひっきりなしにやってきます。
     また、1回目のシタディ”(Citadis)はシタディスが正当ですので、併せて宜しくお願いします。

    • 名古屋の鉄道ファンさま
      こちらこそ、ご無沙汰をしています。名古屋の鉄道ファンさまのブログは、よく拝見していますが、まさか反対に「デジ青」をご覧になっているとは知りませんでした。世界のトラムの泰斗を置いて、拙い記事で失礼しました。Citadisの読みは語学力不足によるものです。Zytglogge交差点は、この読みで良かったでしょうか。その交差点、たしかに右折した箇所には、柵があり、線路上には作業自動車が置かれていました。地図や路線図も持たずに行きましたので、状況が把握できず、柵の向こうには、車庫でもあるのではと思っていましたが、こんな中心街に車庫も不自然と、解せないまま、現地を去りました。帰国して調べると、路線は続いており、何らかの理由で休止状態になっていることが分かった次第です。情報、ありがとうございます。

  4. 総本家青信号特派員さま
    トラムとバスの二重停車ですか。30年ほど前の旧聞になりますが、小生もドイツはアウグスブルクで利用客の利便のためにターミナル内の同じ線路をトラムとバスが共用(この時はトラム発車後にバスが着いていました)しているのを目撃したり、スウェーデン国鉄の田舎駅ではホームが駅前広場と繋がっていて、乗客が横移動だけで乗り換えているのを見ました。日本と異なり公共の利便を重視した政策が採られているようで、またそのための合理的判断(先の共用等)がなされている印象でした。国民・市民の足を守るというポリシーが徹底しているようで見ていて羨ましかったですね。またドイツしか知りませんが人口が20~30万人クラスの街でも立派にトラムが走っているのは驚きを通り越して感激ものでした。

    • 1900生さま
      コメント、ありがとうございます。トラムとバスの二重停車については、ドイツのトラムがある全都市を回られた乙訓老人からも、よく聞かされました。たしかスペースが共用できて、乗客にとっても便利ですね。ただ、日本のように、安全を重視するあまり、信号待ちや確認に時間を取られると、たちまちダンゴ運転になってしまい、結局は、分散化せざるを得ないのでしょうね。今まで紹介した都市は、いずれも20~30万人の都市です。たとえば大津ぐらいの都市に縦横に路線網が張り巡らされているのですから驚きです。

  5. 総本家青信号特派員様
    ヨ-ロッパデビュ-おめでとうございます。フランス、ドイツ、スイス、ベルギ-など各地にトラムやトロリ-バスが有り楽しめます。特にスイスは観光立国として自然環境保護のための施策が明確で外国人がホテルに宿泊するとその期間のトラムを含む市内交通のチケットが提供されるようです。2016年冬に訪れた時ツア-でしたがそのチケットでトラムやトロリ-バスに乗車しました。記名式でパスポ-トを持っていることが条件の様でした。
    総本家青信号特派員様が行かれた時は一部工事中でトラムの運転本数が少なかったようですが 旧市街マルクト通りは9系統のほかに本来6~8系統のトラムも走りバラエティの富んだトラムが見られたはずです。数年前にはこの通りが全面改修でなにも走っていない時期もあったそうですから それよりは良かったのではと思います。またトラムやバスやトロリ-バスの頻度が高く 同じ停留所で発着出来るのは信用乗車方式のたまものと思われうらやましい限りです。
    2016年12月24日の記事に少し紹介させていただいていますので よろしければご覧ください。
    【79818】クリスマスとトラム②ベルン(スイス)

    • INUBUSEさま
      コメントをいただき、ありがとうございます。スイスで市内交通のチケットがもらえるのは、つぎの紹介しますバーゼルで経験しました。市内交通だけでなく、チケットを呈示すると、美術館・博物館が、大幅割引で入場できるのですね。
      INUBUSEさまが、以前の本欄で紹介されていたこと、知っていました。クリスマスは、とくに賑やかなのですね。マルクト通りのT字路は、片方が運休工事中でしたから、普段の半分程度の運転だったのでしょうか。それでも、バス、トロバスをあわせると、ひっきりなしに通り、改めて、公共交通の手厚さには感心しました。

  6. 総本家青信号特派員様
    札幌市電では失礼しました。スイスベルンについては同じような場所で撮った写真がありました。2003年8月16日の撮影で海外通クモハ73106東ウラさんと行った時のものです。この頃はカラーポジ富士のRDPⅢを使っていましたがスキャンして投稿してもピンボケのようになりしっくりいきません。何とかならないでしょうかね。

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