t関西本線 中在家信号場 （なかざいけ）
しばらく「信号場」テーマが途絶えていましたが、残り分を連続掲載します。中在家信号場は、典型的なスイッチバック式信号場で、前後には25‰勾配、補機付きの蒸機貨物が行き来しました。われわれの現役時代、春の新入生歓迎旅行、秋の一泊旅行は、決まって「加太」「村田屋」「中在家」3点セットで行われたものでした。京都から列車に乗って2時間ほど、土曜日なら午前の授業を終えてから、加太には夕方到着、付近で軽く撮ったあと、村田屋に投宿して、夜はドンちゃん騒ぎと二階から見る投炭の赤い煙に感動、翌日は、寝不足でフラフラになって、中在家信号場へ、さらには山越えして柘植まで歩き、蒸機撮影を堪能したものです。
▲初めて中在家信号場は、高校1年の時、初めての一眼レフを持って、勇躍一人で加太に降り立った。雪の残る4.6キロの線路端を歩いて中在家信号場に到着すると、ちょうど上下の貨物の交換があった。せっかくのスイッチバック、その高低差がわかるようにと撮影場所を決めた。慣れないカメラゆえ、ほとんどがカメラブレ、辛うじて見られた一枚だった（1965年12月）。
▲中在家信号場は関西本線加太～柘植にあって、写真のように柘植方に2本の引上線、加太方に1本の引上線がある。貨物列車は、いったん平坦な引上線に入り、対向列車と交換を終えると、反対側の引上線に突っ込んだあと発車する（1969年4月）。
▲これは、反対側の加太方から見た信号場、引上線で待機する下り貨物の横をキハ35系の名古屋行きが下って来る。右に信号場の木造建屋が見え、DRFCメンバーの姿も見える。
▲その時には、職員の皆さんの作業の様子を見学させてもらった。左から、通過列車のためタブレットを授受器へ装着、通過列車がタブレットキャリアに投入、信号梃子を操作、すべて人力による操作だった。
▲タブレットを授受を終えて、柘植方面へ向かう下り貨物列車、サミットの加太トンネルまで、まだ25‰勾配が続く。当時は、貨物列車だけでなく旅客列車も多く、DC急行も走っていた。その後、関西本線の凋落は目を覆うばかりで、中在家信号場は2006年に引上線が撤去されて列車交換の機能はなくなり、単に閉塞境界としての棒線信号場となった。
▲ 2013年の中在家信号場、引上線は廃止されたものの線路はまだ残り、ホーム跡も残っていた。その後2019年には、閉塞境界もなくなり、これをもって中在家信号場の歴史は閉じた。いま気動車の後部から信号場跡を確認しても、草木が繁茂して、その面影すらつかめなかった。
待ってました！ 関西SL少年の〝聖地〟中在家信号所の登場ですね！ 私が通った昭和46年以降は立ち入り禁止となってしまい、一度も訪れることができませんでした。しかし、のちになって多くの写真が発表され、車掌さんに頼んで降ろしてもらった人まで現れます。表向きは禁止でも、実際は「せっかく遠くから来たのだから」と大目に見てくださったのでしょう。
総本家様が訪問されたころはマニアも少なく、作業の様子まで撮影させてくださったのですね。横並びの三枚には信号梃子を操作するカットもあって、今となっては貴重なシーンです。信号所でお茶をごちそうになったり、機関区で風呂に入れてもらった人もいたそうで、ファンと鉄道職員の距離が近かったのですね。現在の殺伐とした現場からは想像もできません。蒸機の活躍だけではなく、そんなことまで感じ取れます。鉄道車両だけにとどまらず、そこに「人」が写っていてこそですね。
添付の画像は1981年10月の撮影で、まだ貨物列車があったころです。乗っていたキハ35系は少なくとも4両編成で、車内にはそれなりに乗客の姿がありました。DD51ではつまらんと思ったのか、シャッターを切るタイミングが遅くなってしまいました。私が撮った唯一の中在家での写真です。
紫の1863様
投稿してから1時間も経たないうちの写真付きコメント! ありがとうございます。信号場、スイッチバック、補機付きと、撮影心をくすぐる要素を持ち合わせていた中在家は、〝ＳＬブーム〟を象徴するところでした。昭和46年以降は立ち入り禁止になっていたとは知りませんでした。たしかに、その頃になると、手前の大築堤には、休日など鉄道公安官が常駐していました。唯一撮られた中在家のカラー、私にとっては貴重なシーンに映ります。DD51が貨物を牽いていた時代なんですね。キハ35も4両編成以上だったとは、キハ120単行の現在とは、エライ違いです。
総本家青信号特派員様
出ました！中在家信号場！全盛期を全く存じておりませんが、信号場といえば、この信号場が真っ先に思い浮かびます。
21世紀でも少しの間使用されていたこの信号場の記録は大変貴重です。