1954年3月高校修学旅行 その2


藤田興業フハ33 この車両は最後にはサイドに両引き扉を設けワフ ニフになった

39レ急行「筑紫」は姫路で1年前に誕生した下り特急「かもめ」に抜かれ、10時33分発山陽路を西に向かう。次なるアイテムは和気(通過)での藤田興業(片上鉄道)だが、人気のないホームには2軸木製客車のフハ33が1両ポツンと取り残されているだけ。側戸式マッチ箱客車(形式ハ1005)を1937年東洋車両で両オープンデッキ車体を新製したものを戦後運輸省から購入。どこか分からないが戦時中の買収車である。

岡山には10分停車。86牽引列車(津山線か)、建物代わりに使われているナハユ15018を撮る。その左側も紛れもなく木製客車だが、気付かなかったようだ。甲種輸送中のEF15はどこで撮ったか思い出せず、番号も読めないが、撮影日が1954年3月11日だから、三菱三原で竣功したばかりのEF1585か86であろう。

ナハユ15018 木製の踏み段が付き建物代わり

これも確か岡山かと思うが確かではない 三菱三原からの甲種輸送 右のトキも懐かしい

無人の鞆鉄道福山停留場 この時点では既に廃止11日後だった

鞆鉄道ボワ6

笠岡も停車せず井笠鉄道は撮影できなかったようで、次は13時20分着の福山である。何としても鞆鉄道カが見たかったのに、鞆のホームには有蓋貨車ボワ6がたった1両だけ。鞆鉄道は永い間国鉄福山駅に入れず、300m程西の三の丸が終起点で、徒歩連絡から無料バスでの国鉄福山連絡であった。やっと延長が叶ったのは開業から17年以上経った1931年で、それも用地が得られず、福山とは称しても無人の停留場、しかもポイントも亘り線も何もない、「1本突っ込み」線だけ。当然三の丸-福山間は上りか下りかのどちらかが推進運転になる。最もこんな事ははるか後に知った。なお鞆が存亡の危機とは聞いていたが、実は11日前の2月末日で廃止済であった。その後5月29日一人で訪ねた時は勿論バスで、終点の鞆と三の丸にほぼ全車両が残存はしていた。


福塩線の電車 左側は南武鉄道 その後ろは豊川鉄道買収車


豊川鉄道買収車

福塩線の電車も何両か。ダサい車両が多かった南武鉄道買収車では一番スマートなグループ、それに京都在住者なら奈良電デハボ1000でおなじみの、丈夫そうな3扉車(豊川鉄道買収車)などが並んでいた。


セノハチも勾配を上る急行「筑紫」 当然補機が付いていた マイネ40がひときわ目立つ

憧れの「セノハチ」もたった1枚撮っただけ。一段と屋根が高く丸い客車はマイネ40である。「筑紫」の編成は下り側からユ、ニ、イネ(特イネ/イネ)、特ロ×2、ロ、シ、ハ×8で、ユは東京-門司、イネと特ロ1両、シ、後尾3両のハは博多で切り離す。したがって博多-鹿児島間はユ、特ロ、ロ、ハ×3の6両となる。


広島でのC597

広島は15時41分着、50分発。C597と入換のC50しか撮っていないのはなぜか分からない。


入換機はC50 京都でもお馴染みだ

白状しておくが、これら走行中の急行「筑紫」からの撮影はすべて35mmスプリングカメラのバルジーナで、ファインダーに手動のパララックス矯正装置が付いている。台車や銘板、社紋などを撮る時には実に重宝な機能だが、接近撮影後はほぼ100%戻すのを忘れる。従ってその後の撮影はそれに気付くまで、横位置なら全部天部が苦しく、地部がドカンと空く。それをトリミングで誤魔化そうとすると、かような細長構図を余儀なくさされるのである。

1954年3月高校修学旅行 その2」への3件のフィードバック

  1. ご明解であります。フハ30~33のうち30、31は小野田鉄道ハフ2、3の購入で、フハ→ハフ30、31を経てニフ16、17→ワフ16、17と貨車に編入。フハ33、34は運輸省ハフ1500、1153の購入で、→ハフ33、34→ニフ18、15→ワフ18、15という経歴になります。従ってコロナ社長様ご撮影のワフ15とは、フハ34の末期の姿となります。

  2. 回送中の直流貨物電関は倉敷の駅を出てすぐの、倉敷市交通局水島臨海の
    構内ではありませんか。以前はこんな角度でしたが今は背景が一変して
    います。
    三菱水島はDL製造が多いけれどこの頃は財閥解体で西日本重工業製造の
    時代ですよね。
    最初見た時に正面の長い庇に板谷峠直流時代のEF16?と一瞬興奮しました。
    16は臼井調でいうところの「峠のかつぎ屋」で背中に大きなタンクを
    かつでいました。
    深い庇の鍔は日光よけでなくツララ切りでこいつは山岳ロコ、おそらくは
    上越縁水上から土合、土樽といった区間に着任する山男の出征直前の姿。
    この写真だけで川端康成が出て来るのだから、鉄道って面白いものです。

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