梅小路公園便り その訂正と補追

先日「梅小路公園便り」として、整備が進む梅小路公園の現況と、いよいよ姿を現した保存市電の勇姿を投稿致しました。
この件に関して、久しぶりの大雪に見舞われた午後、交通局からわざわざお二人の方がお出で下さり意見を交換致しました。

①京都市にとって、保存市電は「文化財」なのか
―文化財に指定するためには厳格な基準が有り、保存市電はこの基準に合致しない。しかし、交通局としてはできるだけ大切に保存してきたしこれからもそうしたい。

②建設局へ10年の貸与ということであるが、10年後はどうなるのか
―10年後のことは今言えないが、市民が「よかった」と評価してくれればさらに延長もあるのではないか。それまでいかに良い状態で保存するかと言うことだ。

③交通局も建設局もどちらも市の部局だ。市民の税金を使うことに変わりはないのに建設局
の予算を使うと言うことで交通局から意見を言えないのはおかしいのでは。
―それはない。事実、公園が建設局の管轄であるから建設局の予算を使って整備したが、整備に関しては交通局が主導した。
たとえば、塗装については交通局と関係のあるK車輛の協力で、塗装のみならず更新並みの補修(サビを落としてパテ補修したり、腐食部分の修理、ビューゲルの調整など)をした上で塗装している。ただ塗装色については厳密なチャートがなく、いつの時期の塗色にするかも議論した結果、各車退役時の状態を復元しようと言うことになった。
だいたいはこういうお話でした。

バッテリー走行と架線については意見が対立しました。

前回は両端の停留所だけにダミーの架線が有り、中間には架線がない、と書きましたがこれは間違い、というよりその後変わったらしく、全線に架線はないということです。
そこでダミーで良いから全線架線を付けてほしい、と言いましたが現時点ではそれは計画がないということです。そもそも電池走行についての価値観が全くすれ違いました。
私はここまで再整備した市電を走らせるのだから、駆動装置は架線集電でなくても文句はないが、架線がないのはニセモノの市電を走らせることになるので耐えられない、といいましたら交通局の方は、走らせることの方がより重要ではないか、架線はなくてもより未来志向のバッテリーを積んでよみがえった市電として理解は得られると考える、というお考えでした。
これは年齢から来る市電へのノスタルジアの違いもあるでしょう。ご両人はツーマンの思い出は小学校ぐらいで、ワンマンは中学生から高校生時代ということですから仕方がないことかもしれません。
もう一つは2001と935に屋根がないことです。
さきほど自慢したとおり、新車並みにきれいな車両に屋根を付けないなんて!
これも予算がないからできなかったということなので、架線といっしょに考えて下さいと懇願しておきました。
3月にオープンするのですから今から替えられないことは百も承知で言っているので、今後何年かかっても架線を張って下さるように上司を説得するか上司になって架設して下さるようにお願いしておきました。

最後に私の間違いを訂正しておきます。
これは大事なことですがバッテリーの格納場所です。私は見た感じだけで「車体と台車の間」と書きましたがこれは間違い、正しくは「座席の下」が正解です。これで車体は外見上はオリジナルと変わらないそうです。
ついでに言うと、広軌1型とN電は改軌していません。広軌1型は停留所に留置しての展示で広軌です。N電は当然狭軌ですから線路は全線狭軌ですが、西側の停留所だけは三線式になっていて縦列停車でN電のみ折り返し運転です。

塗装に関しては、オリジナル色にするというのは思いの外大変なことです。だれも正確な色見本は持っていないですし、写真と言ってもカラーは変色して不正確です。記憶に至っては各人まちまちで、おそらくできあがったものを見て「あーでもない、こーでもない」ということになって収拾がつかないことになりそうです。そもそも700型の塗装も、701が出場時と増備車が出たときでは濃度が変わっていたように思います。その後、初期の700型も濃くなったようにも思います。あんまり細々と文句を言うのはやめようと思いました。あれほどきれいに再塗装された2001や935を見れば、わずかな色味の違いなどどうでも良いように思えたのです。

今日、お二人に会って少し考えが変わりました。どうも先入観が良くなかったようでした。
工場への搬出時に深夜までかかったのに多くの交通局員がボランティアとして手伝ったそうです。市電を知らない世代の方ばかりでしょうが市電を愛してくれているのです。いわば我々と同じです。仲間としてこれからも意見を交わせれば、ファンと交通局が協力するめずらしいモデルケースになるのでは、と思いながら議論を終えました。

 

梅小路公園便り その訂正と補追」への3件のフィードバック

  1. 米手昨市さん、ご苦労さん。色については頭に残っているものがいろいろあると思いますが、最初に見たものは「すきもの」にとっては何時までも頭に残っているものでます。だとすれば当時を知らない当事者だけで判断するのは無理です。市民代表の頭を借りたら良いのです。外気にさらされる2両は恐らく3年以内に大きく変色するでしょう。10年梅小路で晒されるならどんな事になるか、眼に見えて居ります。市民代表の候補者として推薦する人が2人いらっしゃる。中でも老人の師匠である悉皆屋さんは10歳年長であるので、今の内に聞き取りをしておかないと伝承が難しいと思われます。近畿車輛のどなたに相談なさったか知りませんが、バス用塗料見本カードで「この色のイメージや」との記録を交通局に残しておけば、塗装補修となった時に役立つと思う。
    ぷるぷる君が、車両部時代にこぼしていました。「お客さんから塗装替えのたびに色が違う」との苦情が本社に舞い込み困りましたと。彼の説明では、塗料は一社から購入するのではなく、塗料メーカー数社の入札制で、落札者にその都度前回見本(残り物)を支給しているのだが、同じように発色してくれないのですわ、とぼやいていました。

  2. 長老様、
    ご意見、ありがとうございます。
    仰ることはよくわかりますが、なかなかそれを行政に届けられないもどかしさをこらえております。また、お会いしたときにお話しいたします。

  3. 米手さま
    “市電ひろば”の詳細なレポート・問題定義、ありがとうございます。そういえば、“市電ひろば”は3月8日のオープンなのですね。まもなくです。私も行くのを楽しみにしています。きれいな京都市電と36年ぶりに再会できるとは、感慨深いものがあります。
    保存までの経緯、動力、塗装など、言いたいことはいろいろありますが、ここは“小異を捨て大同に就く”です。素直に楽しみたいと思っています。以前のような、人目を避けるように、ブルーシートで隠し続けた局の態度からは、大きな進展です。

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