人が造り、走らせ、人を運ぶ鉄道。その様子を表現した手段の一つに鉄道写真があります。それには、都会や自然を背景にして走る写真が多く、『人』を撮り込んだ写真が案外少ないようです。ところがDRFC会員諸氏の写真には、逆に多い気がするから不思議です。DRFC写真展の第1回から、それらを拾ってみました。
故天野克正さんの『家路』、『雪の晴れ間』、湯口徹先輩の『湯治場温泉駅』、『通票投下』、沖中忠順先輩の『満員御礼』、中林英信さんの『おじいちゃんおばあちゃんまた来てね』、『全員乗せて下さいね』、『通過待ち』、吉田耕司さんの『遠足列車』、田野城喬さんの『各駅停車』、『無題』、宮本郁男さんの『集荷』、早川昭文さんの『豪雪のターンテーブル』、『遠足帰り』、川中勉さんの『春のローカル線』、藤本哲男さんの『軌道線の朝』、福田清二さんの『祇園の雨』。
全51作品の内、実に17点、ちょうど1/3。まるで『人を主題にした鉄道写真展』の様相でした。他のグループや、他の写真展では見られない特徴です。それは第2回写真展にも引き継がれています。そしてこのデジタル青信号にも。最近の発表作、福田清二さんの『雨も撮る』もそうで、たくさんの『人』が登場しています。DRFCの皆さんは『人』好きなのです。ぶんしゅう旅日記さんにも中国をはじめ、各国・各地の人々が登場します。
前置きが長くなりました。筆者にも『人』を扱った写真が少しあります。かなり前の撮影です。筆者のHPにも同じテーマで列挙したことがあります。シリーズで並べて見ます。先ずは乗客編。
▼1961年5月、京都市電・北野線、堀川今出川。夕刻時、電車から降りたおばあさんの財布から切符か、お金がなかなか出てきません。傘も荷物も停留所にほおり投げて懸命です。運転手は身をのり出して待ち、車掌も心配顔で覗き込んでいました。
▼手には何かを持ち、運転手に見せているのか、渡しているのか。停車時間が長いので、本来なら次の電車に乗るはずの乗客までが乗れることになってしまいました。
▼後からのご婦人を乗せ、電車は北野神社に向け出発しました。おばあさんは、荷物を持ち、傘を杖にゆっくりと家路に就きました。
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