京津線80型

こと京阪電鉄京津線とあらば、この老人も黙ってはおられない。老人は1970年12月尼崎に引っ越すまで山科に住まいを致し、中学校、高校、予備校(というより映画館と木製客車のいるところ)、ドーヤンに通ったのである。しかしこの80型は卒業後の1971年8月、四ノ宮で見たのが最初。すなわちサラリーマン3か月の初年兵時代である。従って老人がこの電車に毎日のように乗ったわけではない。

関センセのたまうように、確かに京津線には「びわこ」3輌以外、パッとした車輌には乏しかった。55型の回生制動とても、こんな短線区用としても恐らくは歴史にも残るべき代物だったはずだが、お説の通り、車体はお世辞にもスマートとは申しかねた。その後の高床車とて、台車や電気部品はお古ばかりである。

で、突如1971年に、30型以来の新製車としてお目見えした80型だが、これまた確かに釣掛け車には違いないが、勾配をものともしない快速ぶりと、回生制動、裾を丸めたデザイン等々、恐らくは路面電車デザインとしても関西のみならず、日本的にも優れ、ベストテン入りは確実―かどうかはどれだけの人が知っているか、で決まるだろうが―入って然るべき車輌である。
京津81四宮1971.8.13S
京津81四宮S
京阪電鉄京津線81 四ノ宮1971年8月13日 本線並の日鋼式密着自連だが、この時点まだ20型等との連結に備え、ドロ-バーとも繋げるようになっており、まだ単行運転である 後2連貫通式に改造され、クーラーも付いた。そういえば、レトリバーなる代物も今では見ることがあるまい。
こんなに素晴らしい電車で、さして古くもないのに、どうして引き取り手がなかったのか。ひとえに回生制動に恐れをなしたとしか考えられない。

なお四宮車庫は長らく引込線が本線(東海道線)と直角だったが、この時点では並行に敷き直されている。

 

京津線80型」への3件のフィードバック

  1. 湯口大先輩から80型に対するお褒めのお言葉を頂き、京阪ファンの小生としては嬉しい限りです。当初ドローバー連結器も備えていたとは知りませんでした。また四宮車庫の配線替えも初めて知りました。地下鉄乗入れ対応工事でも現在の800型4連を留め置くために配線が変更されましたが、過去にも変更されていたのですね。まさに単車→2連→4連の歴史です。
    譲渡先の件については言われる通りかもしれません。回生制動は回収した電気を使ってくれる相手がいないと失効してブレーキがかかりません。そのため変電所でも回収できるように改修する必要があります。これらのことから二の足を踏まれた可能性は十分にあります。京阪でも本線の1500V昇圧までは京津線の回収電力を三条変電所で回収し、これを電力需要の多い本線に流していました。では昇圧後はどうなったでしょうか?実は回収した余剰電力を抵抗器で熱にして発散していたのですが、これでは省エネにもなんにもなりません。回生面だけをみるとたいへん良い技術ですが、条件が揃わないと中々扱い難い技術でもあります。
    あと一つ、乗降用ドアについて。びわこ号はご存知の通り、低床用と高床用がそれぞれ別に設けられていましたが、80型では各ドアが低床・高床対応になりました。扉の下に外側に開く収納式のステップが備えられていて、停留所の低床ホームではこれを使用して乗降します。ところで専用軌道上の高床ホームにおいて、誤ってこのステップを出せばどうなるでしょうか?日ノ岡に下宿して80で通学していた後輩のK池さんから聞いた話ですが、実際に九条山でそういうケースがあったそうです。ステップがホームにつっかえて閉まらなくなり、そのままでは発車できないため、乗客を一旦ホームに下ろし、更に車体を斜めに押してもらってステップを収納したとのことでした。いかにも80型らしいミスです。
    以上、80にまつわるエピソード2題でした。

  2. ある時期、京阪馬鹿と称していたものとしては、80型の登場を1971年と思い違ったままにしておくのは悔しいので、正確には1961年、つまり昭和36年、ともに給料が頂ける年であったと訂正させて頂く。投稿者共々、年号の変更は年寄りの頭脳を混乱させる元となるので、国家としてご考慮ありたいとお願いしたい。尚、80型最終増備車3両(94~96号)登場は昭和45年(1970年)である。こうした事はピク553号にぷるぷる氏から紹介されております。

  3. いや面目ない。10年間違うとは。老人の卒業は1961年で、その年4月1日にサラリーマンになっており、京津線80型登場はその8月。耄碌の度は日増し刻々と深まりつつある。まあ酒でも飲んで気を紛らわすしかないか。湯口

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