北海道の鉄道被害を憂う

久しぶりのデジ青投稿です。ここしばらくの日常生活の中で、いちばん驚いたのは、4日の台風21号の強風でしたね。ホントに生きた心地がしませんでした。本日の役員会後の飲み会でも、その話題で持ちきりでした。関西在住の皆さんのところは、いかがでしたでしょうか。
関西では、このところ天変地異の連発です。大阪府北部地震から始まって、40度近い猛暑、西日本豪雨、そして今回の台風による強風です。人間誰しも、天変地異には遭遇するとの思いは持っていても、その被害者にはならないという、変な安心感を持っているように思います。しかし今回は、私自身も、危うく関西空港での閉じ込めや、家の倒木を経験、はたまた信号機が90度曲がったままになっていて、危うく交通事故に巻き込まれそうになったことなど、身を持って災害の危機を感じました。
そして、ここへ来て、北海道胆振地方東部地震です。あのJR北海道も一時は全道すべてで運休でしたが、昨日あたりから徐々に動き始めました。各線の被害状況は不明でしたが、先ほど、JR北海道のホームページを開くと、全路線の運転計画があり、初めてその全容を知りました。私が真っ先に心配したのは、廃止が予定・計画されているローカル線の状況でした。案の定、HPでは、すべて「運転再開の目途が立っていない区間」に指定されていました。本州3社に比べて、著しく脆弱なJR北海道のこと、軽々しくは言えませんが、「被災→運休→廃止」の道を辿るのではと危惧しています。
今回の地震で震源に近かった日高本線の鵡川は、思い出の地だ。2010年、ぶんしゅうさんとクルマで北海道を回った時、鵡川の道の駅で、二人一緒にクルマの中で寝て、翌日、日高本線の撮影に向かった。朝は鵡川駅に向かい、列車の交換を撮影した。女子高校生の乗り降りもあって、アクセントを添えることができた。HPでは、日高本線で、災害不通が長く続き、もともと廃止予定の鵡川~様似は、「通常時からバスで運行中」とあり、まるで鉄道には触れていない。存続予定の苫小牧~鵡川は「運転再開の目途が立っていない区間」であり、日高本線全体が廃止に憂き目に会うのではと心配している。

震源から遠かった留萌線深川~留萌も「運転再開の目途が立っていない区間」だ。被害の状況は不明で、軽微であれば、復旧することもあるのかも知れないが、もともと廃止予定の線区であり、予断を許さないところ(2016年10月 恵比島)。
先の2016年8月の台風10号の被害で、ずっと運休・バス代替が続いていた、根室本線東鹿越~新得も「運転再開の目途が立っていない区間」だ。今回、さらなる被害が加わったものか、以前の被害を引きずったままなのかは不明だか、この区間もそのまま廃止の公算が大きい(2018年2月 東鹿越)。
すでに2019年3月限りの廃止・バス代替が正式表明されている夕張線新夕張~夕張も、ご丁寧に「運転再開の目途が立っていない区間」となっているが、まさか半年しか走らない線区を復旧するはずもなく、そのまま廃止、バス代替の道をたどるのだろう(2016年10月 夕張)。
一日一本、「始発列車が最終列車」で有名な、札沼線北海道医療大学~新十津川も同様の扱い。札沼線北海道医療大学より以南は、本日から開通して、列車がバンバン走っているのとは対照的。新十津川で見られる、近くの保育園児による、お出迎え儀式や、列車発車時のバイバイも、もう見られないのだろうか(2016年10月 新十津川)。もうひとつ、廃止予計画線区ではないものの、室蘭本線の岩見沢~苫小牧も「運転再開の目途が立っていない区間」。昨年、北海道へ行って約50年ぶり同区間に乗った。かつて石炭を満載した貨物が何本も走り、旅客もC57が客車5、6両を牽く、堂々の本線の風格を持っていたが、数時間に一本、単行DCが走るだけの凋落ぶりは、目を覆いたくなるものだった。震源に近いだけに、その被害状況が気に掛かる(2016年10月 由仁)。

 北海道の鉄道被害を憂う」への11件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
    お久しぶりです。
    JR北海道のローカル線は、タイミングとしてはバッチリですネ。
    小生は不真面目そのもので、『鉄ちゃん』のつもりでは居るものの貴殿のように使命感を持っての鉄道記録には程遠い、巾の狭い『限定鉄ちゃん』でしかない事を悔んでおります。
    従って、北海道の鉄道写真に関しても『大昔』の学生時代や、子供が小さい頃に旅行した時に場当たり的に撮った少数枚しかありません。
    さて、貴殿が触れておられる北海道のローカル線の廃線についてですが、他の本州や九州、四国のローカル線が次々と廃線となるのに似て、結局『成るべくして成る』のでしょうネ。
    つまり、いわゆる『田舎』と呼ばれる過疎地では『負の連鎖』が著しく、若い世代は皆都会へ、都会へと流出し、都会の混雑に拍車がかかる一方で、残った世代も『一人に1台』に近い車社会を形成していて、鉄道利用は高校生などの学割定期券通学のみの状態ではないでしょうか?
    その癖、地元の人々は『オラが地区』が、鉄道も無いド田舎と言われるのが嫌なだけで、
    『廃止反対』を声高にしているように見え、矛盾この上なしと思うのは小生だけでしょうか?

    • 河さま
      こちらこそ、お久しぶりです。関西人の本心としては、関西の強風被害の扱いが急に小さくなって、“何でやねん”という気持ちもありますが、鉄道の状況を見ると、黙ってはいられませんでした。「使命感を持った鉄道記録」とは、全く面はゆい感じですが、これらの写真は、過去にデジ青でも発表済みのもので、鮮度はありません。ただ、このような被災をテーマに挙げて申し訳のない気持ちもありますが、過去発表の写真も、別のテーマ設定を与えることにより、生き返ることもよく分かりました。要は、縦串を刺すだけでなく、横串も、斜め串も刺して、写真の活用法を見つけるのが、ひとつのデジ青投稿の面白さと感じました。

  2. 最近twitter経由で、お知らせが来るので、久しぶりにコメントします。
    私は北海道の鉄道の維持が出来なくなった理由は、単に国力の衰退であり、その背後にある世相的な問題の方を心配いたします。
    一方こんなこともありました。台風21号で連絡橋が半壊した関西空港に、中国領事館や華人の連合がチャーターしたバス10数台が、一般車両通行止めの橋を渡り、中国人客だけを救出することに成功したようです。かつては外国で(中東だったかな)、紛争地帯に取り残された在留日本人をチャーター機が救出して、奇跡と呼ばれる出来事がありました。国内新聞社は裏を取れてない出来事なので、表に出ていませんが、本当に私は、時代の落差を痛感いたしました。
    北海道は明治元年以来、国策で開拓し、全道を維持することは死守に近かったけれど、1968年の北海道開基100年の祝賀ムードから半世紀経ち、今年の150年を祝う年に、退潮著しい経済の現実を見せられた気がいたします。
    北海道の鉄道網を維持することは一民間企業では到底無理で、本来は国が国土保全でやってもおかしくないと、私は思いますが、「余裕がない」という理由で見棄てられており、その一方で2年後の東京五輪を全力でやろうというのですから、批判や盛り上がらない理由は自明です。
    鉄道維持にここでは、ロシアや中国の力を借りろ等とは言いませんが、そのくらい日本の国力が地方から衰退しており、立ち行かなくなっている現実は深刻だと思います。
    添付の写真は昭和55年に撮影した清水沢の風景です。

    • K.H生さま
      久しぶりのコメント、ありがとうございます。昭和55年の清水沢の写真、ありがとうございます。中央に見えるのは、給水塔なのでしょうか。清水沢へ初めて行ったのは、KH生さんもお書きの1968年の開道百周年の時でした。道内各地でお召列車が走り、各線はたくさんの道民、旅行客であふれていました。清水沢からも、9600の牽く客車列車が何本も出て、高校生や買い物客と一緒だったことを覚えています。それから50年、北海道の末期的状況を誰が想像したでしょうか。夕張線も、復旧することなく廃止されるのなら、たいへん悲しいことです。

  3. ご投稿の皆さま
    全くの同感ですね。国力衰退については北海道がたまたま先行しているだけで、半世紀後~100年後くらいには日本そのものが先進国から転落しているのではと危惧します。

    総本家青信号特派員さま
    小生も地震発生後間もなく仰る構図で廃止に至るのではと「確信」しました。しかしこれは何も北海道だけではありません。既に東北大震災での気仙沼線・大船渡線の例もありますし、西日本でも中国山地の数路線にも当てはまりそうです。そう思うと今のうちに乗っておかねばと焦りますね。

    • 1900生さま
      そうですね。被災→運休→廃止は、北海道だけでなく、東北でもありました。この前の西日本豪雨で今も運休中の線区が、そうならないことを祈るのみです。私は、秋にでも、北海道の廃止予定線区を回ろうかと思っていましたが、それも叶わないようです。

  4. 今回の地震で驚いたのは北海道全域で停電したことです。その停電戸数は295万戸です。ところで台風21号で近畿地方2府6県での停電戸数は218万戸です。近畿地方の停電戸数が少ないのですが、これは驚きです。北海道という地域の特性から考えると当然のことだと思いますが、これでは他のJR各社と同じように利益を出せというのは酷なことだと思いました。しかし、考えてみればJR西のエリアでもJR北海道と同じ地域もあるのではと思います。一層の事、地方へ強制移住させますか。そんなことはできません。ただ、心配なのは人口集中した地域での災害リスクが高いことです。台風21号が来た時になぜか東京メトロ東西線が運転見合わせが発生し、ちょうど帰宅時であったため混乱していたようです。ところでその停電ですが、北海道の停電は今の時点で293万戸が復旧したそうですが、台風21号で停電したところでまだ復旧していない戸数は38万1千戸だそうです。電柱が倒れるとか、停電の原因が異なるので復旧が進まないようです。復旧するにも現場へ通じる道が不通になっているからのようです。自然災害は地域をより分けて起こりません。どこでも起こる可能性があるのです。その時の覚悟をしておきましょう。

    • 台風21号による停電は9月10日の時点で9530戸になったとニュースで伝えていました。しかし、山間部での停電しているところは長期化するとのことでした。ところで北海道の地震による停電があった時、JR北海道は未電化路線が多いのになぜ全路線が運転できないのかということをニュースで伝えていました。そうです。信号は電気がないとダメなのです。踏切の警報器も電気です。超単純なからくりであればこんなことにはならないでしょうに。考えてみれば発電設備を制御する装置も電気が必要なのです。そのような世界で暮らしているのを忘れてしまっていたのです。当たり前が当たり前でなくなる時が・・・

    • どですかでんさま
      電化していないローカル線でも、電気がなければ、二本のレールがどこまでも続くだけで、列車の姿はないのですね。昔は、信号や閉塞装置が、停電などで何らかの障害が出ると、“人間タブレット”として、駅長が、タブレット代わりになって、閉塞区間を列車で行ったり来たりしたことがありました。昔は、こんなことまでして運転を確保しようとしていました。いまは人減らしで、タブレットの代わりになる駅員がまず見つかりません。

  5. 国道交通省次官の「個人的な意見だが」のことわり着きですが、JR北海道のレールは、一度廃止にしてしまっては、元に戻せないの意見が出て来たようです。省庁の中でも、活発な意見が出て来たことは、とても評価したい部分です。
    この記事の中でも英国のサッチャーリズム時代に民営化した鉄道を、再評価で国営に戻した経緯も触れています。私は民間に移管して大阪、名古屋、東京が本社の会社に全域負担させることにも、疑問を感じることが多いです。
    まず北海道の鉄道は、再国有化して、道民が「安心して生きられる」ようにして、過疎化と札幌集中化を止める方策を国と道が取り組めるように進めて欲しいと思います。http://bunshun.jp/articles/-/8884?page=3

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