初夏の北海道 余話-1-

旧白滝を訪ねる

待望の連載”ぶんしゅう旅日記 初夏・北海道編”、今回は、当特派員も同行させていただいての二人旅となりました。特派員にとっての北海道は、社会人時代に観光や仕事で行ったことはあるものの、鉄道写真の撮影となると、実に学生時代以来、約40年ぶりとなりました。
それだけに、見るもの、写すもの、すべてが新鮮で驚きの連続でした。詳細な旅行記は、今後もぶんしゅうさんが記されますので、当特派員は、印象に残った事象を採り上げ、昔話も交えながら綴っていくこととしました。
北海道へ上陸して、まず向かったのは、丸瀬布の「いこいの森」ですが、開場前の時間を利用して石北本線旧白滝を訪れました。この駅の存在が、以前から気掛かりで、この眼でまず確認しておきたかったのです。


この世に”新”を冠する駅名はゴマンとあるが、”旧”が付くのは、ここ旧白滝だけだ。しかも、石北本線には、奥白滝、上白滝、白滝、旧白滝、下白滝と”白滝”の付く駅のオンパレード(奥白滝はのちに廃止)。
この謎は
、現場へ行ってみて氷解した。もともとこの地域、地名すらないような人跡未踏の地であった。地域を流れる湧別川に大きな滝があり、飛瀑で付近は白く見え、いつしか”白滝”が地名となり、村名も白滝になったという。事実、石北本線の撮影名所地になっている旧白滝~下白滝間には、「白滝発祥の地」の碑があり、この由来を説明している。

旧白滝は、この地域で真っ先に入植が行われ、のちに集落の中心が現在の白滝へ移ったため、その後に建設された石北本線の駅名には「旧白滝」の名が採用されたようだ。駅への昇格は1987年のことで、それまでは乗降場扱いであった。駅はホーム一面の棒線駅で、典型的な北海道の無人駅スタイルだ。もっと山深いところかと想像したが、意外に開けたところに駅は所在し、国道からも容易にアプローチできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうひとつ、旧白滝を有名にしたのは、発着本数の少なさだ。上りこそ午後に3本あるものの、下りに至っては7時16分発の1本のみ。始発列車が終列車と揶揄されたものだ。どうしてこのような偏った列車ダイヤになったのか。おそらく1人か2人はいたはずの通学生の利便を考えたものだろう。朝に丸瀬布・遠軽方面への列車を停車させ、午後は選択できるように3本設定している。この需要以外にこの駅での乗降客は考えられず、それ以外の普通列車はすべて通過扱いだ。 

待合室をのぞいて見ると、他の駅にも見られる備え付けのノートが一冊置かれていた。それを見ると”秘境駅”にも認定されたこの駅には、毎日のように訪問者がいるようだ。「いこいの森」で撮影の後、16時53分発の上り旭川行きを迎えた。ホームには旅行者が一名待っていた。彼は約3時間前の上り列車で来たのだろうか。キハ40の2両編成が、35度を超す暑い空に、紫煙を上げて、まっすぐな線路に消えて行った。