工房便り D50の制作(2)

(「D50の制作(1)」の続き) 
このキットには下回りが含まれていませんので、前回の記事通りダイカスト製の主台枠、動輪、サイドロッドとテンダー台車を別に購入していました。あとのパーツは手持ち部品から最大限の流用をはかることにして、メインロッドはAdachi製、クロスヘッドは天賞堂製を使うことにしました。問題はバルブギヤーです。使えそうなのはD51用ですが、加減リンクの位置がD50とは模型寸法で1mm程度異なるため、全体の流用を諦め、作るのが面倒な加減リンクのみ流用することにし、エキセントリックロッド、ツリリンク、同腕、芯向キ棒、合併テコ、結ビリンクを0.5mm厚の洋白板から、返りクランクは1mmの洋白板からそれぞれ切り出しました。
切り出したバルブギヤー。このうち合併テコは下部の二股部分が大きすぎ、シリンダー後蓋部に干渉するため、作り直しました。
切り出したバルブギヤー。このうち合併テコは下部の二股部分が大きすぎ、シリンダー後蓋部に干渉するため、作り直しました。 
モーションプレート組立。面倒でも製作図を描いてから作ります。

モーションプレート組立。面倒でも製作図を引いて・・。
 
 
 
これらの取付の中心となるのがモーションプレートですが、これも市販品がなく自作です。中心位置が狂うとバルブギヤーの寸法に影響するので製作図を引き各パーツを作ります。半田付けで組み上がったところがこの写真です。バルブガイドは丸棒をドリルレースで削り出しました。
             バルブガイドは丸棒をドリルレースで削り出しました。

蒸気機関車でよく目立つシリンダーブロックも自作です、手持ち品流用パーツはメインシリンダー前後蓋(挽き物)、空気弁(ロストワックス)です。

写真は弁室の後蓋とバルブガイドで、真鍮丸棒をドリルレースで削り出しました。バルブガイドの周囲を弁室の後蓋を止めるボルトの頭が取り囲んでいますが、これは丁度寸法の合う平ワッシャに、リベットを埋めるのと同じやり方で0.4mmの真鍮線を埋め、表現しました。

二枚重��で左右分を一度に加工します。
二枚重ねで左右分を一度に加工します。

スライドバーも自作しました。1mm厚の洋白板を寸法に切り出し、二枚重ねてヤスリで側面から見た形に整えますが、このときに中央部の溝になっている部分は溝を加工した後上下の滑り金の表現も兼ねて帯板を半田付けするため、細く加工しておきます。

ク��スヘッドとスライドバーを合わせます。スムーズに動くように調整します。

クロスヘッドとスライドバーを合わせます。スムーズに動くように調整します。

出来上がったスライドバーとクロスヘッドを合わせます。スムーズにしかも大きな型のないように調整します。クロスヘッドは天賞堂製のC51用(ロストワックス製)が形がよく似ているためこれを使いました。後で判ったことですが、D50のクロスヘッドは後年、多くの機がD51用に似た近代機設計のものに交換されています。しかし、今回は元設計の形にすることにしました。

クロスヘッドはメッキ処理がされていません。昔は使い古しの写真の定着液に浸して銀メッキを施したものですが、今は「メッキ工房」なるメッキキットが製品化されています。約1万円もするキットを買うが良いか・・思案中。 

シリンダーブ��ックとモーションプレートを主台車枠に取り付けます。
シリンダーブロックとモーションプレートを主台車枠に取り付けます。
バルブギヤーの組み込みが出来、上回りと下回りがドッ��ングしました。

ブギヤーの組み込みが出来、上回りと下回りがドッキングしました。

シリンダーブロックの前後板は0.8mm、側板は0.3mmの真鍮版ですが、この寸法が機の前部の高さ寸法を決定しますので慎重に寸法を決めます。外から見える側板はこの時点では必要なく、むしろ先に付けてしまうとスライドバーや各パーツの組立がやりにくいので後回しにします。次回に紹介しますが、側板には点検蓋(0.1mm真鍮版)を貼り付け、0.4mmのリベットを打ってから空気弁のパーツを半田付けし、シリンダーブロックに沿うように曲げて行きます。なお、この側板の本付けは最後にします。シリンダ排水弁、シリンダ安全弁(共にロストワックス)を購入しましたので、このあと取り付ける予定です。 

シリンダーブロック、モーションプレートを主台枠に取り付け、バルブギヤーが無事所定の位置に組み込み込めました。なお、先台車は簡単に自作できますが、ショップでAdachi製のD51用をつい買ってしまい、これで時間と労力の節約をするつもりでしたが車輪をφ11.5mmに交換しようとすると軸径が異なり、取り付け位置も異なるなどけっこう手間取りました。

主台車枠後部と従台車は自作が必要で、これ以上に手間取るので、後回しです。 

ようやく機関車らしくなってきました。
少し機関車らしくなってきました。

ようやくこれで上回りと下回りのドッキングが可能となりました。バルブギヤーも組み込んだ下回りに上回りを載せ、前部デッキ、間高さと傾斜キャブの屋根高さなど所定寸歩が得られているか良くチェックし、修正可能なところは今のうちに少々の手戻りが出ても修正しておきます。(つづく)