近鉄モ6601系

                                 ク6692他5連の準急 (46-6-6) 河内松原~恵我ノ荘

「昭和の電車」は再度戦前派古豪に戻り近鉄南大阪線モ6601形が登場した。私にとっては現役時代INUBUSE氏とよく撮影に行った思い出深い車両であるが、スタイルと使用線区がパッとしなかったことで人気がなく、近鉄の名車=モ2200形という図式が出来上がっていたため注目度が低かった。
しかし、我が国初の20m車体の電車、昭和40年代まで大阪阿部野橋~吉野間の急行の主力として活躍したこと等により、もっと注目されてもよかったと思うが、前述の理由により南大阪地方区で終わったのは少々気の毒であった。

モ6601形とその一族について概略を述べると、南大阪線の前身大阪鉄道では昭和4年3月29日、古市~久米寺(現在の橿原神宮前に相当)間を開業して吉野鉄道に乗入れ、阿部野橋~吉野間の直通運転を開始した。これに備え昭和3年にデニ500形35両(501~535)、フイ600形15両(601~615)、4年にデホニ550形7両(551~557)、5年にデホユ560形3両(561~563)の60両を一挙に新製した。制御器はABFM、電動機はウェスチングハウス586-PJ-5形127kw×4、台車は川崎車輌製ボールドウィン形であった。

デニの「ニ」は、大阪鉄道では新製順に「イ」「ロ」「ハ」と付けており「ニ」は4番目、「ホ」は5番目の新製車の意味である。

デニ500は扉間に40人分のゆったりしたクロスシートを備え、つり革はバネ付、床は特殊アスファルト塗りと豪華な仕様であったが、14年ロングシート化された。関 三平氏も書いておられるが扉は戦後まで手動であった。
デニ502、520、529の3両は事故復旧時にTc化されフイ616~618となった。
新線の建設費と60両もの新車の建造費が経営を圧迫したが、14年6月阿部野橋駅が竣工、15年3月には紀元2600年記念事業として建設されていた橿原神宮総合駅が完成する等懸命の企業努力により立ち直りをみせたが、18年2月1日付で政府の要請により関西急行鉄道に合併した。関西急行鉄道は19年6月1日南海鉄道と合併して近畿日本鉄道になった。
近鉄合併後の改番でモ6601~6632、ク6671~6688、モニ6651~6657、モユ6671~6673となった。
26年から3扉化、31年にモニ6661形の荷物室、モユ6671形の郵便室が撤去され、モ6601形と同一になった。
45年頃から廃車が始まり50年までには全車姿を消したが、お別れ行事等はなくモ6601形一族らしいひっそりとした引退であった。
40年以上にわたり、吉野、飛鳥、橿原神宮への参拝客、行楽客の足として、沿線住民の大阪への通勤、通学の足として重要な役割を果たした功績は誠に大きなものであった。
形式別に写真と共に解説する。

モ6601形(6601~6613、6615、6618~6632)
デニ501~519は昭和3年田中車輌製、デニ520~535は同年川崎車輌製である。3扉化後、昭和28年から更新修繕が実施され、窓は下に100㎜拡大、ヘッダーの平鋼化、正面窓と戸袋窓のHゴム化が行われたが全車には及ばなかった。
モ6603、6616、6617の3両は電動機を取り外してTc化され、順にク6689、6691、6690となり、モ6614がモ6603に改番された。
モ6601~6608、6610~6613、6618、6631、6632の15両は吉野側の運転室を撤去して客室を拡張した。

 モ6601/ (42-10-14) 古市
昭和3年田中車輌製、元デニ501。車体更新と片運化が実施されている。

モ6606/ (46-6-6) 古市
昭和3年田中車輌製、元デニ507。車体更新と片運化が実施されている。

モ6607/ (42-10-14) 古市
昭和3年川崎車輌製、元デニ533の事故復旧時に車体を新製したためスタイルが大幅に変化した。

モ6609/ (46-6-6) 古市
昭和3年田中車輌製、元デニ510。車体更新は実施されているが、両運のままである。

モ6613/ (43-12-24) 古市
昭和3年田中車輌製、元デニ514。車体更新は未実施であるが、片運化されている。

モ6620/ (46-6-6) 古市
昭和3年川崎車輌製、元デニ522。車体更新は未実施で、両運のままである。

 モ6626/ (46-6-6) 古市
昭和3年川崎車輌製、元デニ528。車体更新は実施されているが、両運のままである。

モ6627/ (46-6-6) 古市
昭和3年川崎車輌製、元デニ529。車体更新は未実施で、両運のままである。

モ6629/ (49-1-4) 橿原神宮前
昭和3年川崎車輌製、元デニ531。車体更新は未実施で、両運のままである。

モ6651形(6651、6653~6657)
元デホ二560形で昭和4年川崎車輌製。デニ500形の大阪寄りに手荷物室(荷重2t)を設置し、運転室直ぐ後ろに両開きの荷物室扉があり、車内はオールロングシートであった。31年荷物室撤去後モ6601形と同じスタイルになった。
モ6652は電動機を取り外してTc化され、ク6692に改番された。

モ6653/(43-8-25) 二上山~二上神社口
元デホ二553で、車体更新と片運化が実施されている。

モ6656/ (43-8-20) 古市
元デホ二556で、車体更新、片運化は未実施である。

モ6661形(6661~6663)
元デホユ550形で昭和5年川崎車輌製。デニ500形の大阪寄りに郵便室(荷重2t)を設置し、運転室直ぐ後に窓1つおいて片開きの郵便室扉があり、車内はオールロングシートであった。31年郵便室撤去後はモ6601形と同じスタイルになった。

モ6663 (43-8-25) 二上山~二上神社口
元デホユ553で、車体更新は未実施である。モ6661形は全車車体更新、片運化は実施されなかった。

ク6671形(6671~6692)
デ二500形のTcとして昭和3年川崎車輛でフイ601~615の15両を新製した。吉野側に運転室のある片運車であった。
前述の通りデニ502、520、529の3両の事故復旧時にTc化してフイ616~618となり、近鉄合併の改番でク6671~6688となった。モ6601と同様に26年に3扉化された。
更にモ6603、6616、6617、6652の4両が電装解除されてク6689~6692となった。

ク6672/ (43-8-20) 古市
元フイ502で、車体更新が実施されている。

ク6675/ (49-1-4) 橿原神宮前
元フイ505で、車体更新は未実施である。

ク6678/ (42-10-14) 道明寺
元フイ508で、事故復旧時に車体を新製したためスタイルが変化した。

ク6682/ (46-6-6) 河内松原~恵我ノ荘
元フイ512で、車体更新は未実施である。

ク6686/ (46-6-6) 古市~道明寺
元デ二502→フイ516で車体更新は実施済である。

ク6692/ (46-6-6) 古市
モ6652の電装解除車で片運化されているが阿倍野橋寄りの乗務員室扉が残されている。

【参考】
関 三平氏は右上の円板表示について触れておられるが、昭和42年頃でも見られた。写真は道明寺線運用のモ5625+5626が車両交換で古市検車区に回送されるところである。/(42-10-14) 道明寺

4 thoughts on “近鉄モ6601系

  1. 藤本先輩、ちょっと教えていただけませんか。関三平さんの絵では正面の運転席が非貫通になっていますが、写真では貫通になっています。これは改造された為なのでしょうか。私は近鉄6600電車には子供も頃よく乗りましたので、この絵を見たときから不思議に思っていました。 

  2. どですかでんさん

    運転席の貫通扉の件ですが、新製時は関 三平氏のイラストの通り、Mc車のデニ、デホニ、デホユは共に両運で阿部野橋側が非貫通3枚窓で中央運転台、吉野側はやや幅広の貫通扉付で左片隅運転台付、Tc車のフイはデニとは逆に吉野側が非貫通3枚窓で中央運転台、阿部野橋側は妻面フラット、引き戸の貫通扉付で運転台なしでした。

    3扉化以前の昭和24年頃から貫通扉設置工事が行われ、Mc車の新設された貫通扉は吉野側より幅が狭いことが写真からお判りいただけると思います。

  3. 藤本先輩、ご回答ありがとうございます。この電車の運転台にこの様なバリエーションがあるとは思っていませんでした。地味な電車ですが、これが電車であると存在感があって、今でも好きな電車のひとつです。中学生の時、詩を書く宿題があって、この電車に乗った感じを詩にしたことがありました。とにかく、近鉄南大阪線となればこの電車を思い出します。

  4. S42年からS50年まで住んでいた河内松原時代ちょうど南大阪線系統の旧型車が新型車に置き換えられていく時期でした。S42当初は6601系の車両達も全車健在で急行、準急、普通の主力として大活躍していました。特に朝の上り急行、準急の5~7連の連続運行の輸送力は大きなものがありました。8年の間に6601系を含めて大型車、小型車のほぼすべてが淘汰され 新型車(6800,6000,6020,6200)に置き換えられていきました。
    6601系60両は6411系6両と計66両で主に7連から3連で運用されていました。8年の間にもいろいろな改造が行なわれています。一部残っていたALF車のABF改造とブレーキの長編成化改造、ATS設置と列車種別選別装置(踏切制御)の設置とそれに伴う一部両運車の片運化、ヘッドライトのシールドビーム2灯化、幌の取り換え、一部の車両の車軸取り替えなどが行われています。毎日乗ったり見たりしていましたが身近過ぎてあまり写真を写していないのが今となっては残念です。更新車や事故復旧車の多少スマートな車両よりも原型に近い武骨と言われた車両が私の好みでした。大きなパンタグラフ、重々しいモーター音、見た目より乗り心地のいい台車 今も記憶には残っています。
    編成記録が少し残っていますのでその一部をご覧ください。
    (右が大阪阿部野橋です)
    S42/10/31 6624-6692-6621-6629 cMc-cT-cMc-cMc 吉野←アベノ 急行
    S42/10/31 6685-6655-6630-6651 cT-Mc-cMc-cMc
    S42/11/1 6690-6654-6624-6625 cT-Mc-cMc-cMc
    S42/11/7 6672-6606-6414 cT-Mc-cMc
    S42/11/7 6657-6688-6656-6632 cMc-cT-Mc-cMc 橿原神宮→アベノ
    S42/11/7 6615-6690-6654-6627 cMc-cT-Mc-cMc 吉野←アベノ17:42発 急行
    S42/11/7 6678-6618-6521-6413 cT-Mc-cT-Mc
    S43/7/18 6674-6610-6609-6679-6631-6681-6601 cT-Mc-cMc-cT-Mc-cT-Mc
    S43/11/2 6681-6601-6619 cT-Mc-cMc
    S43/11/2 6689-6654-6628-6626 cT-Mc-cMc-cMc
    S43/11/2 6674-6412-6620 cT-Mc-cMc

    S44/1/6 6672-6606-6609-6679-6631 cT-Mc-cMc-cT-Mc  吉野→アベノ 準急
    S44/1/6 6689-6654-6688-6655-6628 cT-Mc-cMc-cT-Mc  吉野→アベノ 急行
    S44/1/6 6678-6608-6673-6618-6677-6603 cT-Mc-cT-Mc-cT-Mc →アベノ 準急
    S44/1/6 6686-6615-6687-6657-6622 cT-cMc-cT-cMc-cMc  吉野→アベノ 急行
    S44/1/6 6682-6607-6675-6605-6684-6651-6626 cT-Mc-cT-Mc-cT-cMc-cMc 富田林→アベノ 準急
    S44/1/6 6680-6611-6619-6681-6601-6656 cT-Mc-cMc-cT-Mc-cMc 橿原神宮→アベノ準急
    S44/1/6 6676-6610-6662 cT-Mc-cMc 吉野→アベノ 準急
    S44/2/13 6674-6412-6414-6521-6413 cT-Mc-cMc-cT-Mc
    S44/3/6 6691-6656-6692-6632-6622 cT-cMc-cT-cMc-cMc  吉野←アベノ 急行
    S44/7/17 6521-6412-6672-6606-6414-6676-6604 cT-Mc-cT-Mc-cMc-cT-Mc 御所←アベノ準急
    S44/7/17 6690-6657-6626-6673-6601-6411 cT-cMc-cMc-cT-Mc-cMc 橿原神宮→アベノ準急
    S44/7/17 6674-6605-6609-6682-6607-6522-6413 cT-Mc-cMc-cT-Mc-cT-Mc 吉野←アベノ 準急
    S44/7/17 6691-6655-6629-6689-6603-6623 cT-cMc-cMc-cT-Mc-cMc 吉野←アベノ 急行
    S44/7/17 6681-6618-6627-6686-6615 cT-Mc-cMc-cT-cMc 吉野→アベノ 準急
    S44/7/17 6675-6610-6620-6683-6612-6679-6631 cT-Mc-cMc-cT-Mc-cT-Mc 御所←アベノ 準急
    S44/7/17 6677-6613-6619-6624 cT-Mc-cMc-cMc    河内長野→アベノ 準急
    S44/7/17 6692-6632-6622-6625 cT-cMc-cMc-cMc 河内長野→アベノ 急行
    S44/7/17 6685-6651-6628-6662 cT-cMc-cMc-cMc 河内長野→アベノ 準急
    S44/7/17 6678-6608-6671-6602 cT-Mc-cT-Mc
    以上 ご参考に INUBUSE

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