JR山陽本線東福山駅から分岐してJFEスチール福山製鉄所に至る3.8Kmの専用鉄道があります。この存在は以前から知っていましたが、走行写真を撮ったことがありませんでした。最近になってようやくダイヤが判明したため今朝初めて出かけてみました。但し不定期運行のため 空振りに終わることも覚悟で出かけました。しかし普段の行いが良いせいか、ほぼ予想した時刻に走ってくれて 初めて走行写真を撮影することができました。
東福山駅は1966年(S41)に貨物駅として開業し、1979年(S54)に旅客営業が始まった駅です。広い貨物ヤードの端にこの専用線の3線(到着線、機回し線、出発線)があります。最初にこの出発線を覗くと、レール専用のチキが8両 空車で留置されていましたので、多分今日はこの空チキを取りに来るのではないかと期待感がふくらみました。
本年2月に新聞記事の紹介のかたちでこの専用線のことを紹介しましたが、国内のレール生産は新日鉄八幡とここJFE福山の2ケ所です。全世界でも4ケ所でしか生産されていないそうですから、大半は船積みされて輸出されるのですが国内向けはチキに積んで全国に配送されるようです。この専用線の撮影地点は非常に限られます。製鉄所構内を出るとすぐトンネルに入り、トンネルを抜けるとすぐに鉄橋で国道2号線をオーバークロスし、山陽本線に沿って東福山駅に入って行きます。撮影場所はこの山陽線沿いの直線区間しかありません。事前の情報では製鉄所発7:55 東福山着8:05、戻りは東福山発8:20、製鉄所着8:35と聞いていましたので ワクワクしながら待ちました。7:56に 遠くに見える場内信号機が赤から黄に変わったので、これは来るに違いないと待っていると 単機回送がやってきました。
不定期でそれも日に1往復しか走らないこともあって、軌道の手入れは決して良いとは言えず 草ボウボウです。まるで廃線跡のようで 草をかきわけながらゆっくりと走って来ました。
このDD401は1966年(S41) 新潟製の45Ton機です。もうすぐ50歳を迎える開業以来の古参機です。DD401~DD403の3両がいる筈ですが、現況は不明です。塗装もかなり色あせた感じです。
岡山機関区のDE10が西岡山から東福山まで区間貨物を牽いてやってきて、入換え作業を行います。他の仕業では水島臨海鉄道の東水島駅までコンテナ貨物を牽いて乗り入れる仕業もあります。
さて専用線の戻り列車ですが、予定より少し遅れて空チキを牽いてゆっくりと草むらを走って来ました。
製鉄所構内には1435mmと1067mmの2種類のゲージがあって 最盛期は30両ほどのDLが活躍していたと思われますが 最近の様子は全くわかりません。現在は「JFEウエストテクノロジー」という子会社が構内、構外の鉄道の管理運営をされています。
さて 約1時間ほどの間に上下列車を撮影でき、気分よく引き上げたのですが、国道2号線沿いには駐車スペースがなく、仕方なしに山陽線の北側、新幹線高架下の空き地に停めました。山陽線の下をくぐる小さな鉄橋の橋台のうち下り線側の片側だけは 山陽鉄道時代と思われるレンガ積み橋台でした。山陽鉄道笠岡・福山間の開通は1891年(M24)9月ですから、築124年ということになります。
一方専用線の鉄橋には開業当時の「日本鋼管」の名が残っています。東福山駅構内の3本の線路も日鋼1番、2番、3番線と呼ばれていたり、福山では広い幹線道路が「鋼管道路」と呼ばれるなど 「JFE」は定着していないようです。
本年12月の広島ツアーに新幹線や山陽本線で来られる方は東福山付近を通過する際には 是非海側に目を移して この専用線にご注目下さい。
次回は製鉄所の門を出てくる列車を狙おうかと考えつつ帰途につきました。