おじん2人ヨーロッパ軽便 その23-2

マン島鉄道 その2

マン島は淡路島より少し狭く、人口はその半分—面積572平方キロ、約7万5,000人。勿論英語だが、かつて断絶したマンクス語も最近は文化として一部復活しているとか。元来がケルト系で、地域柄当然ヴァイキングの侵略・殖民も。

一般には100年も続く通常道路60kmでのモーターサイクルレースと、独特のマンクスキャット(尻尾がないかごく短く、後足が前足より長い。大昔ノアの 箱舟に乗り遅れかけ、前足を扉にはさまれ折損したのが由来)が有名。この猫をデザインしたキャットコインも有名で、相棒も記念に銀行で両替しゲットした。

首都ダグラスの地形は南が崖のようにそそりたち、その高台に Douglas Steam Railway のダグラス駅がある。美しい煉瓦建の駅舎にさらに門があり、まるでテーマパークの入口である。勿論ショップがあり、本やグッズが買える。



列車は案外少なく1日4〜5往復。5〜11月のみ運行で、現在島の鉄軌道はすべて観光用。ダイヤ等もインターネットで知ることができる。
http://www.iomguide.com/transportation.php
かつてダグラスの町にはサンフランシスコのようなケーブルカーもあったらしい。

天気が悪いが、まずは2泊のリーズナブルホテル確保を。目の前に路上駐車可能で手ごろな宿だが、何と1人1泊60ポンドと抜かしくさった。これが実に15ポンドまで値切れたのだから、吹っかけにも程がある。雲助は世界中にいる。

鉄道線路の両側はことごとく、戦車でもない限り突破など絶対出来ない物々しい生垣で、列車の半分が完全に隠れてしまうから、撮影場所が殆ど得られず、開放 的なのはわずかに駅構内のみ。これは先回にも書いた羊が線路に入り込まないためだが、どこでも撮影できる農業国は天国である。


踏切も先回紹介したが、普段は鉄柵で閉ざして羊の侵入を防ぎ、列車が来る時だけ90度回転させ道路を塞ぐ。その傍に建つ小屋は、かつて踏切警手の宿舎だっ たのだろう。道が狭いと扉は片開きだが、踏切の数だけ人手が必然だから、絶対数が極めて少なく、無人踏切は立体交差以外あり得ない。

放牧地も同様厳重に囲われているが、非牧畜農地・農家に接している線路だと有刺鉄線だけになる。とある農家で老夫婦に、撮影のため敷地に入らしてくれと頼んでみた。気軽にOKが出、やっと列車が撮影できたが、これ以上の横勝ち構図は高い足場がない限り無理である。

その後その農夫はティーか、カッフィーかと尋ね、お茶をご馳走してくれた。農家といっても、南側壁にはショーウインド顔負けの大きなガラス窓があり、居間 でくつろぎながらからアイリッシュ海が見下ろせるのである。冬なら相当に厳しい風雨に曝されると見え、日本なら当然開閉できるところだが、分厚いガラスは 嵌め殺しだった。

おじん2人ヨーロッパ軽便 その22-9

IL TRENINO VERDE サルディーニャ島緑の列車 サッサリ

翌朝オルメダで朝の列車を撮りそのままサッサリ目指す。アルゲーロ-サッサリ約25kmには11(休日は6)往復の列車が、ほぼ一時間毎程度に設定され、所要は約35分。距離は少し迂回になっても、国道291号だと半時間足らず。

サッサリはこの島でカリアーリに次ぐ二番目の大都市で、人口約12.5万人、地勢的に一部コルシカ語も使われているとか。標準軌間と950mm軽便とが同じ駅に共存し、一部三線式になっている線もある。


一コマ目は本屋に接した行き止まり式のナローのホームで、右側の線が1435、950mmの三線式。この駅にはナローだけでもアルゲーロ、ソルソ、ヌル ヴィへの3線が集中し着発する。後者ははるかテンピオを経て島の東北のパラウに達する長大な路線だが、日常運行はヌルヴィまで。

隣接してかなり大規模な車両基地があり、撮影を申し出ると気楽にOK。ここにも整備して稼動状態のブレダ製1Cタンク機が2両、おなじみ流線型「鯰」や新しいDC、客車も一体何時使うのかと思うぐらいどっさり。イタリア特有の落書きも盛んである。



駅前広場は盛大に掘り起こし中だが、驚いたことに路面電車のレールを敷設していたのである。軌間は950mm、同じ車両基地に引き込まれており、3コマ目 のバックに高い鉄製ポールが並んでいるのは、この架線柱なのであった。ただし何時開通するかは言葉が不自由で分からないまま。街中も部分的にレールが敷か れ、あるいは架線柱も建てられているが架線は張ってない。


車に戻って一旦ソルソを目指したが、道に迷い半時間ぐらいウロウロ。結局最初の道が正解で、小さいが小奇麗な町だった。さらにヌルヴィへ行ってみる。地図での127号線は細くぐにゃぐにゃで覚悟がいったが、走ってみるとバリバリで、さほど時間もかからず。

オシロを経由してサッサリに戻り、相棒のツアコンが日本でインターネット予約していたホテルへ。駅から離れているが、付近が碁盤の目状だったのですぐ見付かった。シャワーを浴び、洗濯後手ぶらでカメラだけ持ちヌルヴィ往復を目指した。

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