ここらでボンネットバス 近畿編 〈17〉

奈良交通 (3)

奈良交通のボンネットバスは、その後も観光目的の路線バス、また定期観光コースにたびたび使われて、すっかり奈良の名物となります。昭和57年9月23日からは、定期観光バスとして新設されたHコース「たそがれの古都めぐり」に、ボンネットバスが充当されました。毎日運転の一日一便で、15:15に国鉄奈良駅前を発車、近鉄奈良駅前に寄ったあと、興福寺、唐招提寺、薬師寺、平城宮跡、さらに新薬師寺を回って約3時間で元に戻るというコース、料金は2050円でした。今回も、最初は乗車してコースを熟知し、撮影地などを見聞したあと、後日撮影に向かいました。 「奈2あ18-67」が専用で使われた。

白鳳伽藍の薬師寺や、鑑真和上ゆかりの唐招提寺と、西ノ京エリアに足を伸ばしたのが、今回の「たそがれの古都めぐり」、あらたな撮影ポイントも提供した(昭和58年10月)。

国鉄、近鉄の奈良駅前を発車、まず東へ向かって興福寺へ、奈良公園を回ってから、登大路に顔を出す。唐招提寺の南大門前を行く。大型の観光バスで無理なような狭い道をボンネットは巧みに通り抜ける。薬師寺の駐車場で大勢の修学旅行生に囲まれる。

 

 

 

 

朽ちた土塀が続く薬師寺前を行く。道行く観光客からも視線を浴びる。秋の夕暮れがいちばん似合いそうな風景が続いていた。

「たそがれの古都めぐり」は、この年の秋、2ヵ月毎日運転され、昭和59年春までの春秋に運転された。

 ここらでボンネットバス 近畿編 〈17〉」への5件のフィードバック

  1. 奈良の古寺を巡るボンネットバスの旅、楽しませていただきました。事前に乗車してコースを調べ、後日撮影に向かわれたとのこと。しっかりとした準備があってこそ、良い写真が撮れるのですね。いつも勉強になります。
    ワタクシ奈良は小学校の遠足で行った程度で、唐招提寺と薬師寺へ行ったはずですが記憶は全くありません。どちらも有名なお寺で観光客も多く訪れるところですが、まさか門前の道がこれほど狭いとは驚きです。知りませんでした。
    前回の投稿と合わせて、バスのアップ、奈良の風景を走るバス、人物とのコラボなど、いろいろな場面を見せていただきました。そして、女子学生も忘れずにしっかり記録されているのは流石です!

    • 紫の1863様
      暖かいコメント、ありがとうございます。江若のボンネットもいいですが、奈良のボンネットもいいでしょ。有名な社寺との組み合わせは、やはり奈良です。それに、私の好きな女子高生も、まだ修学旅行で賑わっていた頃、しっかり写していましたよ。

  2. 総本家青信号特派員様

    これだけ貴重なお写真があれば、奈良交通さんも飛びつくのではないでしょうか。

    お写真の風景は今でも変わっていないような気がします。

    • 奈良の駅名研究家さま
      奈良交通は、広報活動が活発な会社で、同車のホームページにも、同社のバス沿革や写真がたくさん残っていて、発表にあたって参考にしました。もう一つ、この時代の奈良交通の名物、3扉のバスも紹介しておきます。学園前や奈良市内でよく見られました。

  3. 楽しい話をされるお坊さんとして修学旅行生に人気があった高田好胤さんを思い出し、薬師寺へ行ってきました。少し離れているせいもあってか、東大寺付近ほどの喧騒もなく、ゆっくりと散策できました。
    南門前の道は総本家様が撮影されたころと変わらず、朽ちた土塀もそのままで時が止まったように感じました。北門前の道路も狭く、まさか路線バスが通るとは想像もできませんでした。

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