2012年春の中国鉄路の旅          Part6 平庄煤礦鉄路 その1

第8日目 4月26日  平庄1日目
瀋陽19:05(K
7362次)→5:35平庄
574キロ 10時間30分

平庄を訪れるのは、昨年5月、今年3月に続いて3回目です。中国鉄ちゃんで訪中50回以上を誇られる、O氏もなぜか同じです。近くの元宝山には、何回か行かれているようですが、ここに蒸気機関車が走っているのは分ってはいたけれど、前進型が驀進する集通線等々、行くなら優先すべき撮影地がいくらでもあった。ここや阜新が注目されだしたのは最近で、蒸気機関車が撮れる場所がなくなったせいでもあると言われます。

1回目2回目とまずまずの撮影はできましたが、確かに平庄では、際立って素晴らしいと感動を持てる撮影場所はありませんでした。
しかし、いつもは平凡単調でDATAから、消してしまいたくなる撮影場所でも、いくつかの条件が揃えば、一転してしまうことがあります。今迄撮り逃がしたのは、西露天口からのズリ捨て列車でした。特に山に夕日が沈む頃の光景は、考えただけでも心が躍る瞬間です。
今回、私たちが平庄に来た目的は、ただの石が突然にダイヤとして輝く、この瞬間を撮りたいがためです。滞在2日間をこれに賭けたいと思ってきました。今日は、雲1つない雨上がりの快晴です。条件1をクリアーするでしょう。きっと素晴らしい夕焼けが見られる事を期待しました。


▲ 常宿化してきた宝山大酒店にチェックインして、ホテルの朝食をとった後、直ぐにTaxiで撮影目的地に向かいました。
10:14
に到着、中々の場所です。ズリ捨て列車がくれば、そこそこの写真は撮れます。近くにいた作業員も10:20には上ってくると言われますが、煙は見えてもここまでやって来ません。

▲ 11:18
しばらくたってから、これは、おかしなと思いズリ捨て路線に上がって見ますと、随分と前でズリ捨て作業をやっていました。
▲ ズリ捨て線からは、本線が良く見えます。
12:18、機務段(機関区)のある装煤駅から単機が国鉄との接続線のある平庄南駅へと貨車引取りのために向かっていきました。


▲ 12:39、引き取ったセキは、約50両余り、平庄の街並みをバックに下って行きました。

▲ 13:01、ようやくズリ捨て線に列車が来ましたが、何と9両もの長編成です。
上がって見ますと、どこから現れたのか、トラックが2台止まっています。そして、前のズリ捨て列車が落していった、人間の頭以上の大きな石炭岩石を選びながら、荷台に積みこんでいます。後方には、今の列車がズリ捨て作業を行っていますので、粉塵が舞い上がり、風下のこちらにも舞ってくる中での作業です。



▲ これを見ていた専門家のO氏は、「
ぶぶんしゅうさん、このズリには売り物になる良質の石炭が結構混じってますよ。勝手な推測ですが、多分、採炭現場でわざと良質の石炭をズリに混ぜてもらって、これを拾って売るといった行為があるのかも・・・。採炭所で働く人民にも何らかのキックバックがあるのかも・・・。持ちつ持たれつ、お互いにこれで、生計を立てている行為は、昔から行われているんでしょうね。」と、独自の見解を申されます。

石炭の国際価格は、現在高騰して、1トン当たり約10,000円前後だと言われます。用途により価格は違っていますが、中国で有名な大同南部郊外産の発電用炭坑口価格は、今年1月10日時点で1トン当たり490元(約6,500円)ですので、この3~4トン積みトラック満載で、1台約25,000円前後の収入にはなるのでしょうね。と、言うことは、石炭かどうかを選別しているおじさんおばさんの日当は、80元ではすぐに集まるでしょうから、10人で800元(約10,400円)として、元締めは2台あたりで、約40,000円の収入にはなります。1ケ月で約120万円は、多少ばら撒いても中国では、十二分な収入です。かなり、ボロイ商売ですね。

O氏と同行しますと、中国鉄路撮影のノウハウの他にも、今迄知らなかった事をいろいろと、勉強させていただきます。人とおしゃべりすること以外は、何事にも無知な私には、大変参考になる事ばかりです。ありがとうございます。

▲ 14:17、そろそろお腹もへってきましたが、この辺りには、店屋もありません。約40分歩いて、ヤードがある五峰駅近くの昨年5月に食べた食堂に行くことにしました。
「好久没見(お久しぶり)」と、大きな声で店に入ると、店主は覚えてくれていたのか、直ぐにビールを冷凍庫に入れてくれました。
注文は、O氏も私も大好きな、野菜たっぷりの麺とビールです。1人当たりビール2本を付けて、これで一人11元(約150円)です。

▲ 15:30、平庄炭鉱鉄道1番の撮影地、五峰~平庄南間です。この場所からは、下り勾配になりますが、真っ黒な煙を出してくれました。新緑で青い空の下、煙が映えます。

さて、ここからが問題発生です。陽もまだ高いので、五峰ヤードから分岐する五家炭鉱からの列車が来た場合を想定して、少しロケハンをしました。1週間か1ケ月に一回走るかとどうかと言われている路線です。よほど運に恵まれないと、撮れることはできませんが、昨年夕刻に走って来ました。遠くから撮れただけでした。

今回は、もしもにそなえての準備ですが、そうしている間、16:19にズリ捨て線の最初に待っていた場所に列車が来るのが見えました。まだ、撮るには早すぎますが残念です。
次に来るのは、今迄の3回を考えると、5時半~6時半です。遅くなれば、念願の瞬間が撮れます。

それまでは、装煤からの石炭列車を平庄南駅前の橋の前から撮ることにしました。
こちらも。新緑をバックに上り勾配を力行する石炭満載の列車が撮れますので、まずまずです。最優先の撮影が待っていますので、17時まで待つと決めましたが、それでもO氏はソワソワです。先に行っていただく選択肢もあったのですが、折角一緒に来ていますので無下に断りきれないのが私の弱点です。5分前には向かうことにしました。

▲ ところが、徒歩約8分、五峰駅まで来ますと、向こうから黒い姿が見え始めました。約30両のセキを牽引して、SY1052号機がやってきました。思わずO氏の肩を叩きました。後5分の我慢が出来なかったかの報いを受けました。しかし、これも中国鉄路撮影の常識でもあります。

撮り鉄に徹する方は、よく2人以上で行くよりも1人で行った方が、良い写真が撮れると言います。どうしても複数で行くと撮りたい場所がお互い違っていたり、同じ場所でも撮る位置が、お互いに邪魔になったりして妥協を余儀なくしてしまうので、デメリットが大きいと申されます。私も同意見ですが、中国鉄路となるとこの常識は、異なります

まず、鉄道写真を撮っている鉄ちゃんに出会うのは、芭石鉄道ぐらいのもので、他では全くいません。拡がる大地では、孤独感さえ出ますので、安全性から言っても複数で撮る方が良いに決まっています。私も数10回は経験していますが、誰も通らない場所で、一人で何時間も待つのは、もし強盗・野獣にでも襲われたりしたらどうなるだろう、突然の病にあったら、天候が突然に変わったらどうしよう等々の不安を感じますので、撮影そのものが冒険です。撮影場所がダブっても、数10人もいるわけがありませんので、ごくわずかな譲り合いで、問題にはなりません。
複数で行くと、身の安全や時間を確かめ合ったり等々の1番大事なメリットが多くあります。何よりも待っている間に、大地を背にして、
日本では想像もできない中国鉄路についての面白いお話が出来るのは、とても興味深く楽しいことです。私はこちらの方を優先します。

撮影場所を移動しました。目的地は、お互いで確かめ合った、ズリ捨て線の1番手前にしました。本当は、一番奥にしたかったのですが、もし手前であったなら撮れません。明日もありますので、今日はここで固く、決めておこうとO氏と、意見一致です。


▲ しかし、待っている間にも本線には、蒸気が走行しています。
17:25
1017号機が単機で平庄南駅へと向かいます。つまり、平庄南駅では、今2台の蒸気機関車がいるわけです。国鉄線から引き取るセキが多いとしか理解できません。

そして、 18:11に空車約30両を、18:27には空車約20両を牽引して装煤方向へと向かって行くのが見えました。
あの場所に残っていれば、4連発で結構良いショットが撮れたでしょうが、結果論です。 前回撮り逃がした拘りに固執した事は、新しいチャンスを失う結果になるのは、人生経験豊かの私達には、分ってはいても、老いて判
断力が鈍くなったのでしょうね。

▲ 今回の最優先撮影場所だったここには、待ち続けましたが、汽笛すらありません。24時間操業のはずなのになぜだろうと、私たちは思いますが、残念ながら2人共、ここでの情報を取れる方法や、案内人を知っていません。自力撮影での辛さです。
日没を確かめて、山を下りました。

道路に出ましたが、今度はTaxiもBusも通りません。町まで歩くには、元気が残っていません。とにかく町方面に向かう車に手を上げて頼むしかありません。
夕闇が迫った頃に、ようやく若者が運転する高級車が止まってくれました。降りる時にも、お礼を言って、ここの相場の20元を渡そうとしましたら、いらないと受け取りません。今時の銭、銭の中国にもこんな粋な若者がいるんですね。感心しました。

▲ 今宵の夕食は、ホテル近くの餃子屋にしましたが、注文すると、何と1皿に50もの餃子が出てきました。これで、14元(約180円)です。激安です。
しかし、年寄り2人では食べ切れる量ではありません。かなりを食べ残して、店を出ました。

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