今日は台湾鉄路節(鉄道記念日)、我々が訪問しているのは阿里山森林鉄道の嘉義車庫です。磨かれて黒光りする車体は、走行準備のために給水中のシェイ式蒸気機関車(略;シェイ)25号機。
阿里山森林鉄道の建設工事のため1907年に米ライマ社(Lima Locomotive Works)製造の13㌧車のシェイが初めて試用導入されました。直立シリンダーと傘歯ギア間接駆動を持ち、急勾配用に特化したシェイは好評で山間部への延伸工事が進んだ1911年から2シリンダー18㌧車が7両、二萬平までが完成した1912年からは一回り大きい3シリンダー28㌧車10両が増備されていき活躍しました。
現役を引退後は北門の大火災で焼失した15号機を除いて全車が静態・動態保存されています。中でも14号機はオーストラリアのパッフィンビリー鉄道 (Puffing Billy Railway)からの要望で再び海を渡りました。現在25号機と31号機が軽油仕様に改造されてはいますが動態保存機となりイベント使用されています。
第7日目 6月9日 その1
当初、訪台のお誘いを受けた時には何らかのイベント列車が走行するだろう、ただ公表されるのは例年、直前です。
その中で阿里山森林鉄道のシェイは3月も山の上で走ったので、台湾鉄路節にはきっと走るだろう、これは撮りたい。嘉義に宿泊して朝にTaxiで山を目指そうと、撮影目的の中心においていました。ところが直前発表なった走行区間は、嘉義車庫~北門を6月7日と9日に一日7回走るというものでした。ヨミは残念ながら外れました。仕方ありませんので今日は嘉義車庫~北門で撮影です。
▲ 7:59 嘉義站の阿里山森林鉄道の切符売り場です。阿里山森林鉄道は、今も台風被害や列車事故の影響で全線開通には至っていません。現在は本線の嘉義~奮起湖と祝山線(阿里山~祝山)の運行、今年12月末頃の全線復旧予定が待ち望まれています。
並んでおられる皆さんは平日1往復が運行される9時発の定期列車のようです。立ち売りのおばさんが販箱にお菓子類等を入れて回っておられました。
▲ 8:07 EMU1200系撮影のために、入場券(月台票)を買っての駅撮りをすることにしました。
▲ 8:13 E206号機牽引の莒光號506次(高雄⇒七堵)が到着、今日は遅れていないようです。
▲ 8:19 自強號112次(高雄⇒基隆)を待ちましたがPP編成です。連続4日間、EMU1200系の運行ではありません。どうしたのでしょうか。
▲ 8:21 これから阿里山森林鉄道の撮影開始です。まずは嘉義車庫から嘉義站に回送される列車を撮ります。
▲ 8:49 走行してくる列車の向って右側は民家が並び、左側は柵が設置されていますので正面からのみ撮影可能です。向こうから順番に踏切警報機が鳴って回送列車がやってきました。
次は北門手前の踏切と決めて徒歩で向かいました。
▲ 9:09 阿里山森林鉄道の列車はプッシュ方式で運行されます。DL49号機が4両編成の客車を押して踏切を通過、北門に到着です。
▲ 9:17 嘉義車庫に向おうとしましたら遮断機が下りて、北門站ヤードに止まっていたDL34号機が単機で車庫へと向かってきました。
▲ 9:24 車庫から客車4両編成を引き出してきました。ここでDLが先頭で来るのは珍しい光景です。今日は鐡道記念日ですので休日運行のもう1本が走るのでしょうか?
▲ 9:32 公園になっています嘉義車庫内では子供たちの屋外学習会が行われています。さてどういった説明がされているのでしょうか。アレ、展示してある13号機は台北市中影文化城前で展示されていたはずですが、出戻りなのか?
▲ 23号機は静態保存機です。ナロー客車たちもそうです。
▲ 9:48 奥に今日、本務機の25号機が準備中です。以前に来た時は留置されていましたので、息づいているのを見るのは初めてです。
▲ 9:48 屋根のある車庫へと移動しました。給炭ならぬ給油です。軽油を満タンにします。
写真右に写っていますのは一昨日に台中港でお会いした陳光彩さん。今日も朝から台北から来られています。平日ですがお仕事は大丈夫なのでしょうか。
9:55 終わればバックして給水です。
これが結構、時間がかかります。
▲ 10:28 次の用意は牽引する客車です。DL34号機がヤードに留置されていた阿里山特産の檜で特別製造された檜製客車4両を引き出してきました。
▲ 10:31 シェイが後に付いて連結しました。プッシュ運行で発車準備が出来ました。
我々は急いで北門へと向かいます。
▲ 10:40 北門踏切に着くとホームに止まったシェイ牽引の列車には多くの乗客が乗り込んでいます。3線ありますレール、どのルートを走行するのかは分かりませんが、先ほどまでいた嘉義車庫を往復します。
▲ 11:00 当初発表された10時発の1番列車は取り消され、11時発が1番列車となりましたが、大きく汽笛を鳴らせて、台湾鉄路節を祝うシェイ祝賀列車の発車です。外温35℃です、また軽油炊きとあっては煙は見えません。
▲ 11:01 乗客の多くは親子連れです。車窓の全てから幸せ一杯の笑顔が見られ、可愛い手が振られています。
列車に合わせて我々も追って車庫へと走りました。
▲ 11:10 シェイ列車は車庫に入ってからスイッチバックして本線寄りの別線をプッシュ運転でやってきました。屋外学習会に来ていた小学生たちが見つめます。初めて見る蒸気機関車の走行なのでしょうね。
通過すればみんなで、”ハイ、ポーズ”での記念撮影です。
▲ 11:45 北門站で次のお客を乗せての2番列車は車庫内路線で待ちました。
▲ 「落ちるなよ」と声をかけたくなる、身を乗り出して我が子を撮るお母さんかな・・。車内は笑顔で一杯です。撮っていますこちらも笑顔になります。
▲ 11:53 北門站に戻る列車にはみんながカメラを向けておられました。
▲ 12:01 運行ダイヤは直前でかなり変わったようです。シェイは単機で車庫へと戻ってきました。お昼休みのようです。
我々も昼食タイムです。今日は日本から来られている熱心な台湾大好き鉄ちゃんと一緒の撮影でした。来られていたのは京浜急行電鉄お勤め現職の若い森田さん、電車運転手もされていたそうです。我々のメンバーは京王帝都のクモハ73106東ウラさん、東急の不銹鋼號さんです。電車の専門話しに花が咲きました。「ご一緒にお食事を」と、お誘いしました。長老ばかりで恐縮されておられましたが、引っ張っていきました。
▲ 入ったのは嘉義車庫東側にあった日本料理屋「福井食堂」、団体客が来ているそうで随分と待たされましたが、私は冷やし茶そば、他の方はカツ丼です。そばは乱暴な盛り付けです。一味はないだろうと除外しましたが、ボチボチ日本のお味が食べたくなっていましたのでまずまずでした。
我々は食後、次の撮影地へと向かいます。団長さんが列車とツーショットで撮ってみたいと言われる「嘉義の北回帰線標塔」です。ハテ、いったいどんな所?、団長さんが薦める所だからハズレはないだろうと、森田さんに別れを告げてから客待ちTaxiに乗りました。 Part11に続く
ぶんしゅうさま
さすがぶんしゅうさま、車両のショットだけでなく、子供たち、子供を撮るお母さんのショットなど、いろんな角度から撮られていてあの時の情景を思い出しました。私も動いているシェイを見るのは初めてで、あの縦のシリンダーと歯車の動きがなんともたまらないですね。今度は山上を走るシェイを見たいですし、標準軌のシェイが走るというシェイの天国、アメリカキャス・シーニック鉄道にも行きたいと思っています。
大津の86様、お褒めいただいて恐縮です。あの時は親子連れが多かったので撮影目標をスナップに切り替えました。しかし、シェイの走行はメカの塊りが動いているようで、今まで見てきた蒸気機関車とは違っていて感動しました。キャス・シーニック鉄道のシェイは爆煙で走っていますね。見てみたいと思っていました。行かれるのであれば是非にお声をかけてください。