港鐵城際直通車

香港から広州へ向かうZ804次

香港から広州へ向かうZ804次

8月5日、15年ぶりに香港-広州を結ぶ港鐵城際直通車に乗りました。前回は、当時中国最速の最高運転速度200キロの新時速にこの区間で乗りました。香港内ではノロノロ運転だったのが、深センを過ぎると新幹線に迫る高速運転になった記憶があります。
今や中国には、日本を凌駕する高速鉄道網があり、和諧号が深セン-広州102キロを52分で頻繁に運行されていますが、新幹線ならいつでも乗れると思いましたので、中国伝統の客車列車で香港から広州をめざします。
この間は一日に13往復されており、当日でも希望の列車の切符が難なく手に入りましたが、香港-広州東間173キロの距離で210香港ドル(約3600円)と結構いい値段です。今、日本では爆買いの中国人旅行客が話題になることがありますが、香港だけではなく大陸も経済発展による物価上昇と昨今の円安が追い討ちをかけ、日本円も以前とは違い弱くなっているのを強く実感しました。円安は、景気回復と物価上昇と功罪相半ばするところがあるとは思いますが、とりあえず海外に出た場合はどこに出ても、円安を実感せざるをえません。何といってもほんの5年程前に比べ米ドルが1.5倍くらい高くなっているですからどうしようもありません。

1991年には、MTR東鉄線で終点羅湖まで行き、徒歩で深センまで行くルートで中国入りしたことがありますが、その時は、出入国が大混雑で2時間くらい要し、挙句に深センから広州の間も無座(立席)で大変疲れた記憶があります。今回は、国境ならぬ城際を客車の直通列車で越えてみようということにしました。その列車は韶山8型(SS8)電気機関車牽引の客車10連で、食堂車も連結されているというなかなか渋い編成です。その客車、RZ25Z型も全て冷房付リクライニングシートの軟座(グリーン車)で、定期運行の客車列車が無くなった日本では、たらればの話になってしまいますが、長大編成で全車スロやオロでしかも食堂車も連結されている昼行特急と考えればわくわくしてきます。
出国審査を終えてホームに降ります。客車は窓周りが青でその前後が白のツートンカラーでちょうどキハ40系の新潟色のような感じですが、スタイルは以前からの中国の客車そのもので重厚感はあります。ホームでは中国と同様、一両ずつ案内の係員がつき、切符をチェックします。機関車を見たかったのですが、ホームを自在にうろうろできる雰囲気ではなかったので、おとなしく車内に入りました。シートはあまり大きくリクライニングしませんが、前後横幅も余裕があり、シート自体も大ぶりでなかなか快適です。窓の形も以前からの中国の客車をそのまま固定式にしたようなスタイルで、向かい合わせのボックスシートならともかく一方向きのシートなのですから、シート2つ分とるならもっと窓を多くするか、シート一つ分に合わせ、窓を小さくするかすればよいのに、と思います。JR西の改造113系のように窓割りと転換クロスシートがあっていないように見えます。Z810次は定刻の16時35分を過ぎ、アナウンスもないまま12分遅れで発車しました。なぜ遅れたのか、いつも遅れるのか、その理由がアナウンスされていたのかもわかりません。香港区間は、MTRの電車が実に頻繁に走っており、複々線でもなく、どこかの駅で待避させるでもなく走るので、のろのろ運転です。香港側最後の駅の羅湖を過ぎ、中国に入り、深センをゆっくりと通過する時、新幹線の和諧号を初めて見ました。深センから広州までの新幹線は8両編成でした。さて、深センを出た後は、相当にスピードアップし、客車も最高速度160キロ対応ということで快適な乗り心地で飛ばします。

RZ25Z型軟座車

深センから広州までは田園風景もありましたが、中国の経済発展を支えている地域でもあるとのことですので、都会の景色が多く、取り立てて見るべき点は無いように思えました。奥地は行ったことがないので知りませんが、中国の列車の景色は、土色の景色といいますか、草も生えていない所をひた走る記憶があります。長春やハルピン郊外ですと、地平線がよく見えたように思います。
暫く走ると、深センで分かれた和諧号が再び寄り添ってきて終点広州東駅に着きました。以前、広州東駅は利用したことが無かったのですが、新幹線開業後大きく変わったのか新しく巨大なショッピングモールもあり、日本の新しいショッピングモールと何ら変わりません。

広州駅

広州駅

翌日は、広州から肇慶まで昔ながらの中国の長距離列車の乗りました。広州東駅は最新の駅に思えましたが、広州駅は駅前広場が人でごった返すのも昔のままで、駅名の左右の「統一祖国」「振興中華」のスローガンもそのままで懐かしいです。広州-肇慶間は109キロしかありませんが、ここは頻発しているバスではなく、せっかくですので列車に乗ることにしました。切符購入窓口はいつもながら大混雑していますが、以前よりはスムーズに横入りもなく窓口で並ぶことができました。窓口では、身分証明書(外国人はパスポート)の提示が必須で、それをもとに切符にも名前が印字されます。これで、いつだれがどこからどこまで移動したかは明らかです。また以前跳梁していたダフ屋も姿を消していました。乗車前も切符と身分証の照合、エックス線での荷物検査と航空機と同レベルのチェックを経て、列車単位での広大な待合室に導かれ、発車の直前までホームに入ることはできません。ホームを自由に闊歩し、好きなだけ機関車や客車、プラットホームでの旅客を撮影するのは困難です。

広州駅発車直前の様子

広州駅発車直前の様子

K827次成都行、荷物車も連結

K827次成都行、荷物車も連結

何とか無座(立席)ではなく、座席を確保した列車K827次は広州を17時1分に始発し、18時53分に肇慶に着くので1時間52分の乗車です。この列車は長駆2,368キロの成都まで向かう列車で、到着は37時間32分後、翌々日の6時33分となっています。ぜひこんな列車の軟臥車(一等寝台)に乗ってみたいものです。広州-肇慶の硬座なら16.5元(約350円)ですが、軟臥で終点の成都まで行くと717.5元(約15,000円)かかります。18両の長大編成は、硬座(二等座席)をはじめ、硬臥(二等寝台)、軟臥、食堂車、荷物車からなります。これは、中国の長距離列車ではごく一般的な編成であると考えられます。硬座車も昔と違って空調付きで、座席も通路をはさんで2列、3列のボックスシートですが、かつては緑色のビニールクロスだったのが、前面布カバーがかかっており、少しは居住性が向上しています。またもや発車時刻を過ぎて10分ほど経過してから列車はゆっくりと動き出しました。たった2時間程度の乗車時間でも、ぜひ食堂車を使ってみたいと思いましたが、隣車両は無座の客が通路をふさいでいたので、あきらめました。肇慶は、広州とは違い駅前もこじんまりとしています。その翌日、一日に一往復ある肇慶-香港の直通列車Z806次で香港に戻ります。これは肇慶を15時30分に出て、香港には19時31分着で290キロの距離を4時間かけて走るのでそこそこ乗り応えがあります。客車は往きの香港-広州で乗ったのと同じタイプでした。

夕食時間にさしかかりますので、食堂車で生ビールと卵の炒め物、にがうりと牛肉の炒め物、鴨肉のローストで200元(約4,200円)ほどします。料理は、まあまあいけました。生ビールもジョッキでよく冷えたのを持ってきたので、かつての食堂車からの変化、進化を感じました。厨房もキッチンがガラス張りで近代的、衛生的な調理の様子がよく見えます。かつて、中国の食堂車で出されるビールは常温の瓶ビールでしたし、調理のための石炭火力でホーム停車中も蒸気機関車顔負けに煙をもうもうと出していたのを思い出し、隔世の感を強くしました。私自身、昼行列車の食堂車は、100系新幹線以来でしたので、久しぶりで、運行時間が短くても食堂車を連結する姿勢を羨ましく感じました。

食堂車で冷えたビールはうまい

食堂車で冷えたビールはうまい

その翌日、8月9日、この東鉄線の太和駅近くの香港鉄道博物館(入場料は無料)で保存されている1964年製の一等車や1974年製の二等車を見ました。これらは近畿車輛製でしたが、MTRで現在運行中のSP1900型電車も同じく近畿車輛製でした。東鉄線は12両編成で車両は5扉のロングシート。古いイギリス製の吊掛車は、南海1000型のように車端部のみ固定クロスシートになっています。編成中一両は一等車で2ドアのボックス式のクロスシート車が連結されています。この12両編成が山手線や京浜東北線さながらの高密度ダイヤで頻繁に走ります。これでは、香港-広州の直通列車は複々線化でもしない限りスピードが出せない訳です。この直通列車を何本か撮影することはできましたが、かなり通勤電車に被られてしまいました。今回は、香港MTR所有の日本製ダブルデッカー客車kttは乗ることも撮影することもできませんでした。このMTRの客車には食堂車は連結されていないそうです。できればですが、香港から広州、肇慶という中距離ではなく一日おきに走る上海、北京行きの長距離豪華直通列車に乗ってみたいものです。これは二人個室の一等寝台に食堂車、シャワーもあるそうで、香港-北京西間2,475キロを約24時間で走破するというまさに夢の寝台特急ですが、切符の入手は簡単ではないようです。

MTR東鉄線の一等車

MTR東鉄線の一等車

九龍塘駅でZ818次広州行を撮る

九龍塘駅でZ818次広州行を撮る

中国国内では、優等列車を自在に撮影するのは難しそうでしたが、香港なら中国直通列車でも何とか撮れそうでした。また先輩諸氏の中国レポートも参考にさせていただき、次の中国行きに備えたいと思っております。

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