2012年春の中国鉄路の旅 Part25  长春(満州国首都 新京)から一路、上海へ 京滬高速鉄道、開業1年後の乗車レポート

29日間に及んだ春の中国鉄路の旅も、帰国への途を迎えました。今日は、夜の列車に乗って北京へ、そして北京南駅に移動して昨年6月30日に開業した京滬高速鉄道のグランシートで上海へと向かいます。移動距離は、一気の2,321キロです

第28・29日目 5月16・17日 長春→北京→上海→帰国

① 長春 22:00(Z62次)→6:00 北京      1,003キロ  8時間
② 北京南 8:00(G11次)→12:55 上海虹橋  1,318キロ   4時間55分
③ 上海浦東空港 18:10(JL898)→21:25 関西空港→なんば→梅田・大阪→長岡京

▲ チェックアウトタイムまで粘ってから、長春駅前のホテルへ行き、午後4時から休憩チェックインするので荷物を預かって欲しいと言った後で昨日ロケハンしておいた撮影地へと向かいました。カラフルな車体色の軽軌車両です。


▲ 上下線が分かれている芙蓉橋の道路高架橋に行って見ましたが、なぜか右側通行ではなく逆です。予定していた列車が撮れず後から来た貨物になりました。再度移動して機務段への連絡橋で電気機関車たちを撮りましたが、

长春駅発着は、道路橋が地下に入って立体交差していますので俯瞰できる場所がなく失敗です。駅前ホテルに戻って、PC作業をしながら夜行列車を待ちました。

【Z62次に乗って、长春から北京へ】

▲ Z62次は、北京まで最高速度160km/h、ノンストップで結ぶ直達特快列車です。高級軟臥、軟臥、硬臥で編成され、硬座はありません。換票も無停車ですのでありません。車両も最新の25T系客車が使用されていますので快適な車内で、ゆっくりと眠りにつきました。
▲ 列車は、6分の早点で朝日が当たる北京駅1番ホームに到着しました。


▲ 北京駅広場には、何やら見たことのない窓口がズラリと設置されていました。後から分かりましたが、これが実名入り切符と身分証を確認する乗車手続き窓口だと分かりました。6月1日より実施されたようです。北京鉄路局管内では、京、北京西、北京南、北京北、天津、天津西、石家庄、石家庄北駅で設置されているようです。ダフ屋撲滅にようやく当局も本気を出し始めたようです。
北京には、上記の方面別に4つのターミナル駅があります。上海虹橋行きが出るのは南駅です、地下鉄を乗り継ぎして、約30分で着きました。

【京滬高速鉄道、開業1年後のグランクラス乗車レポート】

政府・鉄道部の最高責任者劉志軍部長が強引に押し進めた高速鉄道建設は、汚職・手抜き工事等の悪行が露見して退任へと追い込まれました。
当初380km/hの営業運転を目指して開業目前だった北京~上海を結ぶ京滬高速鉄道は、安全経済性へと方針を転化して最高速度を300km/hにおとして、2011年6月30日午後3時に開業となりました。
是非とも開業即の乗車を目論んでいましたが、帰国したばかりでしたのと、初期故障等も予測され、減速されてしまいました。魅力も薄れたのでしばらくしてからと、鄭州鉄道日記さんと、鉄道倶楽部の隊長さんの乗車紀を 見るに留めていました。

今回の訪中では上海圣由となりましたので、帰路は京滬高速鉄道を利用できますので、最初で最後となるかもしれませんが、奮発して商務車(ビジネスクラス)に初乗車となりました。


▲ 北京南駅には、京滬高速鉄道が開業した際に搭乗した商務車(ビジネスクラス)の利用客用に新たに専用貴賓室が設置されました。上海虹桥駅は開業前に瀧本・篠崎先輩をご案内しました折に見ていますので、こちらはどんなものかと入って見ました。入って直ぐの感想としては、「わずかな客のために金をかけてよく作ったなあ~」です。実際、この時の利用客は、たった3人でした。
サービスはどうなのかと見ますと、インターネットが使えます、ノート型PCが3台置かれていました。使ってみましたが、日本のサイトにもつながりました。飲食コーナーには、ビールのあて類が並べられています。肝心のビールはと探しますと、冷蔵庫内は水やジュース類は並べられていますが、アルコール類はありません。中国ではビールは、水と同じ値段(2~10元)ぐらいですからケチらずに置いて欲しいものです。上海虹桥までの運賃は、1,750元(約23,000円)もしますので、空港のラウンジぐらいのサービスはあっても然るべきと思います。

おまけに、貴賓室には2名の若いお嬢さんがいるのですが、何も教えられていないのか、する気がないのか、怠惰なのか私用電話をかけていて、お腹が減ったのか客の前を歩きながら、ハンバーガーを大口あけて食べ出したのには呆れました。 まあ、これが中国の実態なのですね。
鄭州鉄道日記さんの開業当初に利用された体験談では、お嬢さんが改札時刻になると知らせて、先導して改札口まで案内されたようですが、改札時刻になっても知らん顔です。日本なら即刻クビですね。日本では1年経過すると、接客サービスが洗練されてきて、より細やかな気遣いが出てきますが、ここでは1年の経ちますと、逆にこうなります。一時が万事と申しますが、これが日本と中国との大きな差です。慣れてはいますが、改めて感心しました。

案内がありませんでしたが、改札開始時間を過ぎましたので自力で改札口に参りました。

▲ これが、180度フラットになる商務車の電動シートです。快適さは言うまでもありません。これなら何時間でも乗車OKです。この日の乗客は、南京で降りられた欧米人を入れて5名でしたが、若い可愛いお嬢さんが専用接客にあたっていました。車両の接客用設備をしておられるのを後ろから撮ろうとしましたら、急に後ろを向かれたので、このカットになりました。

▲ 洗面所設備も点検してみましたが、広くはありませんがコンパクトにまとめられています。清掃も行き届いていて、洗面器周りにはハンドソープや何やらアメニティもわずかですが置いてありました。まあ満足と言えなくとも及第点です。席に戻ってスリッパを要求しましたら、CRHのイニシャル入りを持って来てくれました。座席を180度にしていましたら、快適さについウトウトとしてしまいました。気がつくと、同じくCRHのイニシャル入りの毛布がかけられていました。日本なら当然でしょうが、貴賓室の服務員と違ってよく気がつきましたね。これも及第点です。


▲ 起きたのに気がついたのか、ワゴンを持ってきて、ソフトドリンクのサービス、ヘッドフォンの貸し出しと、何やら入った紙袋を置いていきました。中には、貴賓室で見た小袋に入れたお菓子が入っていました。
座席の肘掛を開けるとTVが格納されていました。引き出して見ますと、 飛行機と同様に各ジャンル別の映画を見ることが出来るようになっています。今日は快晴で車窓が綺麗ですので、少し見て元に戻しました。かつて軟座寝台に個人別に液晶TVが埋め込まれた車両が投入されましたが、最初は5~10番組が放映されていて選べました。しかしその内に1番組だけになり、最近乗車した車両では、壊れて映らなかったり、列車案内それも乗車している列車ではなく以前に運用されていた列車案内しか見られませんでした。ここでは、始めは及第点が出せるのですが、補修維持管理をやらないので、折角の設備でも屑になって悪印象しか残らなくなります。

何でも新し物好きの人民です。先進国の見よう見真似をやりたがるのですが、技術やサービスを吸収できずで終ってしまう事が多い国民性を持っています。利用客が少ない商務車です。このサービスがいつまで続けられるか、それとも、もっと洗練されたものに進化するか見ものですね。

▲ 無線LANがあったがつながらなかったとの開業当初の情報もありました。1年近く経っているので問題は解決しただろうとPCを立ち上げてみました。すると、電波は強くひらってはいますが、自動接続できていません。手動での接続をあれやこれやと試しますと、接続できたとメッセージが出ましたので、インターネットサイトを開いてみましたら、表示されません。
しかしここで諦めません。IPアドレスを強制的に設定すれば、何とかできるのではとお嬢さんを呼びましたら、「すみません。インターネットは出来ません。」と、言い切られてしまいました。

電波は発していますので車上設備は問題ないと思います。地上設備がもともと出来ていないのか整備調整されていないからと思われます。それなら車上の無線LANを切っておけばと思ったりしますが・・・。
乗車していますCRH380BLは、昨年開業直後に車軸に亀裂が見つかると言う、大事故に直結する致命的欠陥のために、54編成全車がリコールされてドック入りしました。現在はまだ安全、正常に走らせるのが精一杯で、サービスは二の次になっているんだなあと、思いました。


▲ 南京近くなった11時20分頃に、お嬢さんがやって来て、「お食事をお持ちします。鶏料理か、豚肉料理のどちらかをお選びください。」と言われますので、豚料理を選びました。
食堂車に行って持ってこられたレトルト弁当を電子レンジで暖めて出てきました。東坡肉のような豚肉の角煮等々です。期待はしていませんでしたが、中々いけます。及第点にプラス丸一つです。
列車スピードは、300~307km/hの定速走行を続けていて、殆どは揺れもなく快適でしたが、途中2回ほど、ガタガタと左右上下に揺れる振動がありました。何か問題ありそうですね。
12:55 列車は定刻に上海虹桥に到着しました。

上海虹桥駅からは、地下鉄2号線で人民広場に出て、上海名物の焼き小籠包を食してました。そして、また2号線に乗って上海浦東空港に向かいました。
余裕の到着と思いましたが、2時間半前と結構良い時間になっていました。
JAL便に搭乗すればもう帰国した気分です。 離陸は夢の中、食事の時だけ起きていての関空着でした。29日間の春の中国鉄路の旅は無事に終わりました。

前に書きましたが、23時を過ぎて帰宅しますと珍しく家内が起きていて、「あらまあ、随分と引き締まった身体つきになったねぇ」と、ちょっと驚いて迎えてくれました。 2012年 春の中国鉄路の旅 総集編  へ続く

 

 

 

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