北のC62 全記録 〈21〉

昭和46年3月24日 C62単機区間で写す

1000キロ離れた地で、山科人間国宝さんとの奇跡的な出会いに興奮して、夜行列車で眠りにつき、まだ明けやらない大沼駅に降り立ちました。今までは、山線の重連区間でしたが、今期では初めてC62の単機の区間で写すことになります。C62の運用を見ても分かるように、朝の通勤列車、大沼発函館行きの126列車が、C62の間合い運用で唯一、普通列車を牽くC62となります。ただ連日の強行軍、夜行列車の連続で、やる気、元気も失せて来ました。4時33分、寝過ごさずに何とか列車から降りたものの、待合室でまた寝てしまい、ハッと起きると外はもう明るくなっています。あわてて外へ出てみると、五稜郭区から単機で回送されてきたC6215が、安全弁を吹き上げて、モクモクと煙を上げて、側線で待機していました。
大沼7時05分発の126列車、雪に覆われた駒ヶ岳をバックにして、C6215が発車して行く。点灯したヘッドライトが格好のアクセントとなった。

大沼駅の函館方の側線で、ポツンと一両で待機するC6215が猛煙を上げていた。さすがに雪はわずかに残るだけだったが、強風にあおられて、太い煙がなびいていた。

このカマは、前日、「ニセコ1号」で函館着、五稜郭区で夜を明かして、早朝、単機で大沼へ回送されて来た。大沼には、蒸機のための給炭・駐泊設備は無かったが、この先にたしか転車台があった記憶があり、向きを変えてから待機している。客車は、大沼に駐泊していた。

 

 

 

 

 

やがて留置されていた客車編成と連結、側線で待機する。蒸気暖房の煙が編成から立ち上がる。C62の迫力ポイント、後部を望遠レンズを通して見上げてみる。駅間での迫力撮影もいいが、駅で停車中をじっくり撮ってみるのもいいものだ。強烈な朝陽が、運転室付近をギラリと照らし出す。D51367の貨物が横の本線を通過して行く。左端の撮影者は、チロルハットにキャラバンシューズ、アルミ地肌の三脚と、当時の典型的な撮影スタイル。たくましいドレーンを吐いて、7時05分、大沼を発車、ほとんど平坦区間で客車9両牽引は、文字どおり朝飯前の仕業。

C62の運用

大沼で昼ごろまでタップリ写して、午後からの上下の「ニセコ」狙いで石倉~落部へ来た。噴火湾沿いを複線区間が続いていて、C62単機が走るとあれば、かつての山陽本線の海岸区間を彷彿させる光景となる。まずやって来るのが上り「ニセコ1号」。14時40分ごろの通過。連写するうち、牽引機がファインダーいっぱいに広がる。牽引はC6216、このカマも15号と一緒に前年に糸崎区から転属したカマだが、今期は連日2号機のオンパレードで、16号をゆっくり観察する時間も無かった。主灯と同じぐらいの、ずいぶん大きな補助灯を付けているのが分かった。続いて1時間後には、下り「ニセコ3号」が通るので、今度は国道へ上がってみた。この付近は、典型的な海岸段丘が続き、国道や集落は段丘上にある。朝に大沼で見たC6215が顔を現した。“本命!”と思った瞬間、手前から下り貨物が顔を出したのがチラリと見えた。あわてて画角を変えて、両者の出会いをとらえた。

 北のC62 全記録 〈21〉」への2件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
     思わず見事!と思いました。
     駒ヶ岳が噴煙を上げたら大変ですが、C62の煙は大歓迎、美しい!
    C62の牽引する客車列車は素晴らしいですね。引き込まれました。

    • マルーン様
      いつも、コメントを頂戴し、ありがとうございます。C62の煙さえ無ければ、駒ヶ岳の全体が見えたところですが、この場合は、駒ヶ岳が隠れてでもC62の煙、ですね。もともとC62は単機で平坦線を高速で走るように設計されたカマです。このように、普通列車を単機で牽くほうが、C62らしいシーンと言えます。

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