和田岬線


兵庫駅に進入する和田岬線DEプッシュプル列車 朝の上り、夕方の上りはほぼ空車である

この時点まだ旧ヤードに機回り線その他も若干残るが その後完全に撤去され再開発で高層住宅が立ち並んでいる 和田岬線発着も半高架ホームに

 和田岬線とは俗称で、正式には山陽本線の一部である。山陽鉄道時代からあって、かつては蒸気動車も運行していた。敗戦後はB50、その後鐘付で知られた8620が長らく働き、DD13を経てDE10が前後に付いたプッシュプルトレインに。そしてキハ35が取って代わり、さらに電化されて電車が。

地表の和田岬線ヤードから高架への接続ランプ線があり、かつてこの区間貨車押し上げ専用にD50が駐在していたのは以前に記した。高架の海側に35kgレールの線が1本あって5線になっており、兵庫-新長田間で列車線が電車線をくぐって山側になるのに並行し、鷹取に達する。すなわちこの35kgレールの線は、和田岬線-鷹取間のかつては貨物、その後は和田岬線電車を引き揚げる専用線なのである。勿論川車新製車の甲種輸送用にも使われる。

阪神淡路大震災の復旧時、この兵庫(高架上)-の線にも架線を張り、本線を1本ずつ復旧する助けとした。その後完全復旧後も架線は取り外されないまま。キハ35が老朽すると、何と和田岬線そのものも電化し、兵庫の和田岬線用ホームも半高架化し電車を投入。


兵庫を出るとぐるりと向きを変え和田岬に 阪神高速高架の向こうは川崎車両


プッシュプル列車和田岬に到着 この時点では折り返し列車の乗り込む通勤客も若干ある

乗客は100%定期客で、それも大方が三菱造船所の職員である。終点はかつて道路を横断して直接三菱に入っていたいたのも短縮し、道路の手前でカット。現在では完全無人駅になり、乗車券自販機もなく、定期客以外は和田岬から無札乗車せざるを得ないが、兵庫に「関所」があって、清算するようになっている。

いくら歴史があっても、肝心の三菱の通勤客が減り続けて、この線が黒字とは到底思えないが、先述のように山陽本線の一部なので、ここだけの収支や採算等は公表されていない。小生などは(電化前)三菱に線路をタダで呉れてやり、三菱に運行させりゃいいと思っていたが、国鉄―JRは何故か律儀に運行を継続。

三菱にしたら、職員の通勤手当が安くて済む=神戸市海岸線経由だと神戸か新長田からの定期券を上乗せせねばならないから、大助かりなのであった。逆に神戸市交通局は海岸線の開通で、当然和田岬線は廃止されると信じて三菱従業員輸送を見込んでおり、完全にアテが外れた。

それが今回和田岬線が急に廃止の方向に向かって進み出したのは、恐らく三菱神戸が大縮小ないし廃止されるからであろう。そんな事態が遠からず来ることは分かっているはずなのに、電化までして三菱に義理立てし続けたJRは理解を超える。廃止後は川車の甲種輸送もなくなるのか。随分少なくはなったが、鷹取で新製電車の一列を見るのは楽しいのだが。

なおこの写真撮影は1987年4月18日である。


片側のみ中央に引戸を設けた通勤専用客車オハ64車内 吊革はともかく窓の保護棒は超満員を想定しているが 三菱の職員が減り続け かつての超混雑を見ることはなかった

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