駅名についての小話でほっと一息つける場所、それが駅名喫茶店です。皆様のおかげで、毎日繫盛しております。コメントもたくさん頂戴し、まさに喫茶店ぽくなってきました。
さて、今回は会社名(私鉄)を冠した駅名です。既に同名の駅名が存在する場合に、会社名をつけることが多いようです。地元の近鉄が1位だと予想しましたが、果たして結果は。
会社名(私鉄)を冠した駅名ランキング
第1位:京成〇〇 全22駅名
第2位:近鉄〇〇 全16駅名
第3位:西鉄〇〇 全13駅名
第4位:京急〇〇 全10駅名
第5位:山陽〇〇 全9駅名
京成、多いですね。JRとの競合区間が多いということでしょうか。
関東のお話は諸先輩方にお願いするとして、近鉄に関して今一度まとめておきます。
近鉄蟹江→蟹江(JR関西本線)
近鉄郡山→郡山(JR関西本線)
近鉄御所→御所(JR和歌山線)
近鉄下田→香芝(JR和歌山線) 2004年3月に下田から香芝へ改称
近鉄新庄→大和新庄(JR和歌山線)
近鉄丹波橋→丹波橋(京阪本線)
近鉄富田→富田(JR関西本線)
近鉄長島→長島(JR関西本線)
近鉄名古屋→名古屋(JR線、名鉄線、名市交、あおなみ線)名鉄線は名鉄名古屋
近鉄奈良→奈良(JR関西本線)
近鉄日本橋→日本橋(大阪メトロ)
近鉄八田→八田(JR関西本線、名市交)
近鉄宮津→? おそらく京都府内に宮津があるため
近鉄八尾→八尾(JR関西本線)
近鉄弥富→弥富(JR関西本線、名鉄)
近鉄四日市→四日市(JR関西本線)
奈良の駅名研究家様
本シリーズ、面白く拝見しております。
近鉄は路線長も長く、他社線との競合線区も多いのですが、旧国名を冠する駅も多いので、自社名を冠する駅となると、京成より少なくなるのでしょう。
歴史的に見ると、戦前の大軌・参急時代は、現在は旧国名を冠している西大寺、八木、中川等も自社名を冠していたのですが、両社合併で関西急行鉄道が発足した時点で、旧国名と自社名との区分けがなされたようです。(ただ伊賀神戸と伊勢神戸〈現:鈴鹿市〉のような例も当初からあったようですが)現在は「近隣地域に他社の同名駅がある場合は自社名、遠隔地に同名駅がある場合は旧国名」という原則に一応はなっていますが、「近鉄宮津」はこの区分けでは「山城宮津」となるべきところですね。
ほかにも「今里」(大阪メトロ千日前線、今里筋線)や「九条」(大阪メトロ中央線、京都市営地下鉄烏丸線)のような他社線同名駅があります。上記の原則からすると、それぞれ「近鉄今里」「大和九条」になるところですが、駅名改称にはそれなりのコストもかかりますので、そのままになっているのでしょうか。こういった「規則性と例外」を発見、分析するのも駅名趣味の面白さかと思います。
なお会社名ではありませんが、「電鉄〇〇」というのも昔は山陽、神鉄など結構あったようです。現在はどれくらい残っているのでしょうか。
まほろばの鉄趣味住人様
ご来店いただきまして、誠にありがとうございます。
電鉄〇〇ですが、
富山地鉄に5駅(電鉄石田、電鉄魚津、電鉄黒部、電鉄富山、電鉄富山駅・エスタ前)、一畑電車に1駅(電鉄出雲市)の計6駅ございます。
近鉄の九条(1921年開業)と今里(1914年開業)は、どちらも老舗駅ですね。改称のタイミングは幾度もあったかと思いますが、やはりコスト対効果だと私も思います。九条と今里は普通しか停まらない駅ですからね。
近鉄宮津については、原則通りですと山城宮津なのでしょうが、JR奈良線に山城多賀、山城青谷があり、JRの駅と混同されることを防ぐ意図があったのでしょうか。真相は当事者に尋ねてみたいところです。
奈良の駅名研究家 さま
駅名喫茶店にお邪魔します。扉を開けたら牛鈴が鳴るような昭和なお店ですかね。マスターはお若いと思いますが。
頭に鉄道会社名を冠した駅名も楽しく読ませていただきましたが、末尾に付けたものも各地にあるのでしょうか。例えば「野田阪神」とか。しかし「野田阪神」は阪神電鉄の駅名ではなく隣接する大阪メトロ千日前線の始発駅とややこしい。阪神電鉄の駅名は「野田」です。その昔、三条京阪・四条京阪などと親しまれてましたが、京阪電鉄の駅名ではなく地域の愛称でした。
前を通りかかったので、ちょっと一服させてもらいました。マスターは駅入場券の収集はされてませんか。
大阪通信員様
ご来店ありがとうございます。
末尾に会社名(大手私鉄、準大手私鉄)がつく駅名を調べてみましたが、コメントの通り、三条京阪と野田阪神のみでした。
阪神とつく駅名には、阪神国道もありますが、こちらも阪急今津線(今津南線)の駅名です。ちなみに、阪急〇〇という駅名は一駅もございません。
私は、記念の駅入場券が販売されていたら購入する程度ですね。
真面目な研究とは真逆の『有り得ない駅』を考えるのも、ジャンル(邪道な分野です:笑)の一つと考えます。
『ウソ駅』とか『usoca』など、著作権の関係で画像を出すのが憚られる部分も出てきますが、こんなのは、いかがでしょう?
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とある駅、でも来るのはC58だけ。
いっそ駅名を『シゴハチ』に変えては?
やま様
元は、白久駅ですね。
3回目の立ち寄りです。
2つ以上の運輸機関を経由する旅客・貨物を運送する場合に、関係機関間で連絡運輸の契約をしています。旅客輸送については複数事業者にまたがる乗車船券の発行を行い利用客の便宜を図りました。
そのため会社線の駅は、駅名が国鉄線とユニークにしなければならず、同一駅でない場合国鉄駅と区分する都合上駅名の前に会社名を付けました。
当初から鉄道として認可を受けた会社は、国鉄との連絡運輸を意識していましたが、路面電車から発達して軌道としてスタートした会社は、国鉄線と線路の軌間も異なり貨車の受け入れもないので、駅の命名にあまり気にしていなかったようです。そのため現在でも阪神電鉄の尼崎、西宮や京阪電鉄の六地蔵、宇治などJR線と同一名であり、阪急電鉄の宝塚、小林、今津などJR線に同一駅名が存在します。各都市の地下鉄も同様のようです。
会社名もそれぞれの会社に企業統合の歴史があるため駅名にもそれを反映しました。特に近鉄の場合は広範囲な合併を繰り返したため再三変更されました。近鉄奈良を例にとると
1914年「奈良」開業時
1928年「大軌奈良」大和盆地内の線路網の完成と参宮急行電鉄の設立後
1941年「関急奈良」大阪電気軌道と参宮急行電鉄が合併し関西急行鉄道が発足
1944年「近畿日本奈良」関西急行鉄道と南海鉄道が戦時統合
1970年「近鉄奈良」鳥羽線・難波線の開業
となります。
近年、JR西日本は、駅の新設や改称をする場合、近鉄など社線の駅と重複する場合、「JR三山木」、「JR長瀬」さらに「JR河内永和」のような名前を付けたので関係がさらに複雑になっています。
昭和40年代の連絡乗車券を貼り付けておきます。
快速つくばね様
駅名を探ると、その会社・土地の歴史が見えてきますよね。
お話にありましたJR〇〇の駅名ですが、JR淡路、
JR小倉、JR河内永和、JR五位堂、JR俊徳道、JR総持寺、JR長瀬、JR難波、JR野江、JR藤森、JR三山木、JR松山駅前があります。JR松山駅前は伊予鉄道の駅で、それ以外はすべてJR西日本の駅です。